小菅努の商品アナリスト日記

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中国

年初から大連鉄鉱石相場が急伸中

【鉄鉱石】
年初から大連鉄鉱石先物相場が急伸しています。2023年末の1トン=973.5元に対して、1月3日の高値は1,025.5元に達している。2021年8月上旬以来の高値を更新しています。

何か大きな材料が浮上したといよりも、中国政府の景気対策期待を織り込んでいる模様です。

Iron Ore extends gains as further support from Beijing expected
習近平国家主席の年頭所感において、「景気回復の前向きな流れを加速し、長期的な経済の安定を実現しなければならない」と発言した影響なども指摘されています。

習近平氏「経済の安定実現」 年頭所感、台湾統一に意欲

中国株は安値低迷状態が続いていますが、鉄鉱石相場の2年5カ月ぶりの高値更新が本物であれば、コモディティ価格全体は中国経済の減速リスクを過度に織り込んでいる可能性が警戒されます。鉄鉱石相場の急伸が一時的な異常値の形成なのか、他コモディティ相場高に先行した動きなのか見極めが必要な環境になっています。

鉄鉱石先物が1年半ぶり高値から下落ー中国の住宅市場巡る悲観論で

「ゴールドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレー、UBSグループを含む大手10社は、中国の不動産建設が3年連続で縮小する方向にあるとの見通しを示した。不動産セクターは同国の鉄鋼需要の40%近くを占める。」

なお、昨年12月の調整局面ついては、金融各社が2024年の中国不動産建設縮小見通しを示した影響が指摘されていましたが、現状では鉄鋼生産の落ち込みを織り込むことは拒否されています。

無題
大連鉄鉱石先物相場(日足)


【お知らせ】
大阪取引所のウェビナーの動画がYoututeで公開されました。12/16(土)開催分です。金、原油、トウモロコシ相場について、初心者向けの内容で構成しています。よろしければご覧ください。

コモディティ ・ マーケットの分析と2024年の展望
https://www.youtube.com/watch?v=auB2uLG2yDM

  

中国が食料安保を強化か、ついに遺伝子組み換えの生産開始に向かう

【穀物】
中国が食料安全保障を強化していることが窺えます。米国産大豆にとっては、需要抑制要因として注意が必要な動きです。

中国、1─11月飼料の大豆ミール使用11%減 食料安保強化で

中国政府統計によると、1~11月期の大豆ミール需要は前年同期から11%、444万トン減少しました。2023年の飼料需要は前年の14.5%から1.5%低下する見通しですが、大豆換算で910万トンの需要減少要因です。飼料分野で大豆ミールの使用を削減し、他の油脂植物や乾燥蒸留粕(DDGS)の使用を増やしている模様です。大豆(大豆ミール)は輸入依存度が高いこともあり、飼料項目の分散が図られています。

中国、遺伝子組み換えトウモロコシと大豆の種子会社承認

 一方、中国政府は遺伝子組み換えのとうもろこしと大豆の趣旨について、生産・流通・販売を認める企業を発表しました。中国政府は遺伝子組み換えに慎重姿勢を維持し、輸入に際しても厳格な管理を行っていましたが、ついに国内企業に遺伝子組み換え関連商品の提供を認めることになります。

どの程度のペースで普及するのかは不明ですが、米国内のとうもろこしや大豆生産量が上向けば、必然的に海外からの輸入量が削減される可能性が高まります。

これら二つの動きがリンクしているのか断定はできませんが、食料安全保障の強化が急がれていることが強く窺えます。これがウクライナ産の供給抑制の影響か、米中関係悪化の影響か、更には台湾有事に備えた動きかは分かりませんが、中国のこうした取り組みが成功すれば、世界の穀物市場は安定供給を確保できる可能性が一段と高まります。


【穀物】
12月26日のシカゴ穀物相場は小麦を中心に堅調に推移しました。年末前の持高調整の影響もありますが、ウクライナ情勢が久し振りに材料視されています。

ウクライナ軍、ロシアの大型揚陸艦を破壊と発表 巡航ミサイルを使用

ウクライナがクリミアでロシア軍の強襲揚陸艦を破壊し、黒海の戦闘激化が警戒された模様です。クリミア半島付近での戦闘が激化すれば、必然的にウクライナとロシア双方の穀物輸出が影響を受ける可能性が高まります。

最近の傾向として、こうした地政学リスク絡みの買いは一時的なものに留まる傾向が強いものの、注意は必要でしょう。

無題
CBOTとうもろこし先物相場(日足)


【お知らせ】

大阪取引所のウェビナーの動画がYoututeで公開されました。12/16(土)開催分です。金、原油、トウモロコシ相場について、初心者向けの内容で構成しています。よろしければご覧ください。

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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