小菅努の商品アナリスト日記

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ブラジル

USDA1月需給報告、とうもろこし相場の低迷を追認

【穀物】
米農務省(USDA)が1月12日に需給報告(WASDE)を公表しましたが、とうもろこし先物相場の低迷が追認されました。

注目されていた南米産のとうもろこし生産高見通しですが、ブラジル産は1億2,900万トンから1億2,700万トンまで200万トンの下方修正になっています。干ばつ傾向で厳しい数値が出てくる可能性も警戒されていましたが、この程度であれば想定の範囲内と評価されています。

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2月報告以降で更に下方修正が行われる可能性もありますが、イベントリスクとしてみると無難に消化した格好です。この数値によっては、最近のブラジル降雨を手掛りとした売りが止まる可能性も想定されましたが、逆にダウントレンドを追認する結果になりました。

また、ここにきて米国産の輸出環境悪化のリスクも指摘され始めています。
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ブラジルの安定供給が見込まれるのであれば、ブラジル産の調達を志向する需要家も増えているようです。ここ2週間の週間輸出成約高の数値は低調です。このまま輸出が停滞すると、とうもろこし相場の地合が更に悪化するリスクが高まります。

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CBOTとうもろこし先物相場(日足)


【お知らせ】

1/16(火)16:00~ラジオ日経「マーケット・トレンドDX」に出演します。原油相場についてお話する予定です。


穀物相場の低迷、ブラジルの降水量予報はどうなっている?

【穀物】
シカゴ穀物相場の低迷が続ています。とうもろこしは2020年12月以来、大豆は21年12月以来の安値を更新しています。最大の要因は、ブラジルの降雨見通しです。今季は干ばつ傾向が強いものの、降雨によって土壌水分環境が改善していけば、作柄へのダメージは限定できるとの思惑があります。

GRAINS-Corn, soy hit multi-year lows as oil sinks, rains aid Brazil crops

"After dryness in Brazil in November and December, Brazil's crop weather is improving and the debate will be about how much larger the crop will be," said Matt Ammermann, StoneX commodity risk manager.

11月と12月の乾燥後、ブラジルの天候が改善しています。

実際の降水量予報を見てみましょう。まずは1月8~14日です。比較的まとまった降雨が予想されています。

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次に15~21日です。少し降水量は減りますが、干ばつが警戒されるような予報にはなっていません。

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ブラジル産の大量供給が見込まれる状況になれば、必然的に中国など需要家は米国産の調達を抑制することも選択肢になります。ブラジルの天候改善で売り、米国産の輸出鈍化で売りと、二段階構成になります。

気象予報次第で地合は一変する可能性がありますが、ブラジル降雨の一点で売り込む地合が続いています。この地合を変える動きの有無が焦点になりますが、1月12日に米農務省(USDA)が需給報告と四半期在庫(12月1日時点)を発表します。この二つの統計がイベントリスクになります。

無題
CBOTとうもろこし先物相場(日足)


東京金融取引所のWeekly Reportです。よろしければご覧下さい。
原油ETF証拠金取引:2024年01月09日号


【お知らせ】
大阪取引所のウェビナーの動画がYoututeで公開されました。12/16(土)開催分です。金、原油、トウモロコシ相場について、初心者向けの内容で構成しています。よろしければご覧ください。

コモディティ ・ マーケットの分析と2024年の展望
https://www.youtube.com/watch?v=auB2uLG2yDM

 

ブラジルの降雨予報の上値圧迫が続く穀物相場

【穀物】
年初の取引でシカゴ穀物相場が急落しています。年末年始のブラジルで降雨が観測されたことが嫌気されています。とうもろこし3月限は一代安値を更新しました。



StoneXは、ブラジルのトウモロコシと大豆生産高見通しを引き下げています。降雨が観測されているとはいえ、高水量が例年を大きく下回っていることで、厳しい生産環境にあることには変わりないとの評価です。

StoneX no longer sees record soybean crop in Brazil in 2023/24

しかし、マーケットでは単純にブラジルの降雨の有無が重視されている以上、気象予報次第の地合が続くことになります。乾燥予報に変わる見込みで押し目を買い拾うのか、降雨継続を見込んで戻りを売り込むのかの対応ですが、現在のトレンドは依然として下向きです。

無題
CBOTとうもろこし先物相場(日足)


1月4日の大発会前。今日は一日原稿仕事でした。かなりの分量で疲れました。


【お知らせ】
大阪取引所のウェビナーの動画がYoututeで公開されました。12/16(土)開催分です。金、原油、トウモロコシ相場について、初心者向けの内容で構成しています。よろしければご覧ください。

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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