【プラチナ】
NYMEXプラチナ先物相場が1オンス=1,000ドルの節目を上抜きました。今夏はこの1,000ドルで2度にわたって抵抗を受けた後、レンジを850~950ドルまで切り下げていましたが、年末を前に950ドルに続いて1,000ドルも上抜きました。チャート環境は一段と強気に傾き、500ドル刻みで上値切り上げを打診する見通しです。

プラチナ市場では、ボックス相場を前提としたアルゴ系ファンドが価格を支配する傾向が強くなっているため、1,000ドル戻り売りが失敗と確定すれば、取引レンジが切り上がるでしょう。

金相場は年末を前に終値で過去最高値を更新しています。来年の利下げサイクルを先取りしていますが、その流れでプラチナ相場も物色されることで、チャート環境の改善を促すことが可能かとの目線になります。

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NYMEXプラチナ先物相場(日足)

そしてもう一つ重要なポイントは、パラジウム相場が改めて軟化していることです。イギリスのロシア産金属制裁の思惑から急伸していましたが、改めて上値を圧迫されています。

パラジウム急騰 ロシア産金属の制裁で思惑買い
これは、白金族貴金属(PGM)全体の収益環境改善にブレーキを掛けることになります。最近のプラチナ相場の上昇でも、鉱山会社のリストラは不可避でしょう。

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NYMEXパラジウム先物相場(日足)


【金】
LBMAのLondon Fixingで金価格が過去最高値を更新しました。まだCOMEX先物相場が場中に付けた過去最高値(2,152.30ドル)には到達していませんが、ロンドン金価格は各種金投資商品の評価基準になるため、金投資の評価向上に直結します。

ロンドン金価格、過去最高値更新=LBMA
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/IRL2Y6UD55MVHEORZHXTKKUAUU-2023-12-27/

来年の利下げを織り込む動きが、金市場に限らずマーケット全体で広がっています。過熱感も指摘されていますが、22日に発表された11月PCEデフレーターがやはり金市場の地合を大きく変えたと見て良いでしょう。

参考:11月PCEデフレーター、6ヵ月年率換算で2%割れの衝撃

年末時点の価格が過去最高値を更新するのは確実な情勢であり、あとは12月4日に瞬間的に記録した2,100~2,150ドルのレンジでの経験値を増やしていく局面になりそうです。2,000ドル台は既に割高や過熱と指摘する声は聴かれなくなっています。

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COMEX金先物相場(日足)


【お知らせ】
大阪取引所のウェビナーの動画がYoututeで公開されました。12/16(土)開催分です。金、原油、トウモロコシ相場について、初心者向けの内容で構成しています。よろしければご覧ください。

コモディティ ・ マーケットの分析と2024年の展望
https://www.youtube.com/watch?v=auB2uLG2yDM