【とうもろこし】
米税関・国境取締局(CBP)は12月17日、テキサス州とメキシコを結ぶ二つの鉄道橋を封鎖しました。メキシコからの不法移民の流入に歯止めが掛からず、入管業務の適正化を目的としたものです。今、これがとうもろこし相場に対して新たなネガティブ材料として注目を集めています。

US closes two rail bridges to Mexico amid migrant surge

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閉鎖されたのは、上の地図で緑で囲った「El Paso」と「Eagle Pass」です。ここを経由してメキシコからの不法移民が米国内に流入することを阻止する目的です。

一方、これでこの二つのルートの鉄道輸送が止まった際に、悲鳴を上げているのが米国とメキシコの農業関係者です。ここを経由して米国からメキシコにとうもろこしを輸出できなくなったため、米国サイドからみると輸出減少要因、メキシコサイドからみると家畜向け飼料の供給減少要因になっています。

Mexican poultry farmers warn US-Mexico rail bridges closure will impact trade

メキシコ家禽生産者組合(UNA)によると年間1,700万トン以上の飼料を必要としていますが、米国からの黄色とうもろこしの25%、大豆ぺーストの63%が、この二か所を経由して輸入されているそうです。メキシコ産の鶏肉や卵の生産が飼料不足のリスクに直面しています。



ミシシッピ川の水位低下、パナマ運河の水位低下など、米穀物業界が直面するロジスティックスの問題が一つ増えたとの評価も可能なようです。

米とうもろこし業界にとってメキシコは最大顧客のため、混乱を放置するようなことはないと見られます。ただし、今後も移民対策が穀物輸送リスクに直結することもあり得るとの認識が求められます。


【原油】
米ダラス連銀が「Dallas Fed Energy Survey」の2023年第4四半期版を発表しました。

Dallas Fed Energy Survey
https://www.dallasfed.org/research/surveys/des/2023/2304

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エネルギー会社幹部を対象にした調査ですが、2024年末のWTI原油価格予想は、75.00~79.99ドルが最頻値になっています。12月6~14日の調査ですが、70ドル台に予想は集中しており、70ドル台中盤から後半を前提に経営計画を策定している企業が多いことが窺えます。

このため、80ドル台だと増産圧力、70ドル台前半だと減産圧力が、想定よりも強まるとの見通しになるでしょう。この辺の価格が中心帯になりやすい状況になっています。