小菅努の商品アナリスト日記

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ビットコインと金の相関関係、トレンドを共有できるのか

年末年始を挟んで暗号資産ビットコイン(BTC)相場が大きく動きました。法定通貨に対する代替通貨という視点では金と同じロジックを共有するマーケットと言える一方、代替通貨間での競合も警戒される状況にあります。

ドル建ての金とビットコインの相関係数を2015年以降の週足で計算すると+0.72と、かなり強めの相関が出ています。年毎だと2015年が-0.67、16年が+014、17年が+0.45、18年が+0.58、19年が+0.73、20年が+0.48となっています。ビットコインの低迷していた15年や16年時点では目立った相関は見られませんでしたが、17年以降はある程度の相関関係を認めることができます。もちろん、偶然の一致の可能性もありますが、19年後半以降にビットコインと金が同時に大きく上昇し始めたことからは、ドルに対する代替通貨のニーズが高まったことが窺えます。

ビットコイン価格の高騰を歓迎すべきか警戒すべきか、今年の金市場では活発な議論が行われそうです。金相場の値上がり、値下りといったトレンドが機関投資家によるビットコインの認知で変わることはないと考えていますが、従来と比較して金融市場などの変動に対する反応が鈍くなる可能性は想定しておく必要がありあそうです。

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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

年明け後もBTCの急伸続く、新たな機関投資家の買いか?

年明けと週末が重なり主要マーケットが休場となる中、暗号資産ビットコインが急伸しています。1ビットコイン=3万ドルを完全に突破しています。そのCoinpostは、「米最大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースProから、ビットコインが3万5000BTC(1160億円相当)超出金されたことが分かった。」と報じています。

詳細は当事者にしか分かりませんが、金額の大きさからはOTC取引で機関投資家がビットコインを購入した可能性が高そうです。自己投資なのか、購入したビットコインで新しい金融商品を組成する動きかは分かりませんが、機関投資家によるビットコイン投資のトレンドを再確認する動きと言えます。

既に生命保険増すミューチュアル、投資会社スカイブリッジ・キャピタルなどがビットコインへの投資拡大を行っていることが確認されています。特にリップル(XPT)の取引環境が急激に悪化する中、暗号資産市場内でビットコインの相対的な評価が高まっている影響もありそうです。

これがドルに対する退避ニーズだった場合には、金相場にとってはマクロ環境の強気を確認する一方、ビットコインとの競合が警戒されることになります。



【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】



ビットコイン価格が過去最高に、金投資家はこの動きをどうみるべきか

今年最後の米連邦公開市場委員会(FOMC)が終了しましたが、このタイミングで暗号資産ビットコイン(BTC)価格が急伸しています。ドル建てでは1BTC=2万ドルの節目を初めて上回りました。2017年11月に1万ドルを突破してから、実に3年1カ月で1万ドル超の値上がりを実現した格好になります。その間に大きな乱高下を経験しましたが、基調の強さが再確認できます。

今年10~12月期に入ってからは、特に機関投資家のBTC投資参入が各所で報告されていますが、2万ドルの節目突破を受けて、機関投資家の物色意欲が更に強まる好循環に突入するのではないかとの見方も広がっています。機関投資家の参入とBTC価格の上昇のどちらが先かは、「卵か鶏か」の議論になってしまいますが、いずれにしてもBTCの投資環境が大きく変わっていることは確かでしょう。CMEのBTC先物の出来高、取組高をみても、明らかに投資ステージが変わっていることが窺えます。

FOMC後は金価格も急騰していますが、ワクチン開発後も強力な金融緩和スタンスへのコミットが確認された影響が、ドルに対する代替通貨への投資ニーズを高める構図が確認できます。当局者は2023年までのゼロ金利政策継続見通しを確認し、更に資産購入プログラムの解除時期についても、完全雇用とインフレ目標の達成というターゲットが設定されています。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、景気動向次第では追加緩和も辞さない姿勢を確認しています。ワクチン開発による経済正常化期待が強くなっていますが、結局はまだ金融政策も財政政策も支援の手を緩めることが可能な状態にはないことが確認できます。

BTCと金がともに高騰していますが、ここで考えさせられるのは、金投資ニーズの一部がBTC投資によって吸収されている可能性です。BTCと金は法定通貨という代替通貨では共通の利害関係にありますが、一方で代替通貨に対する投資対象としては競合関係にもあります。これまでは金の圧倒的な優位性が認められていましたが、機関投資家もBTC投資に参入するとなると、話は変わってきます。もしBTCの存在がなければ、金相場は最近の安値修正局面で更に大きく上昇していたのかもしれません。価格としては逆相関にはなりませんが、BTC市場が成長に向かうのであれば、それに見合ったペースで代替通貨に対するニーズを拡大していかなければ、BTCの成長が金投資需要に対しては足かせになってしまいます。BTCと金の関係性を改めて考えさせられる状況になっています。

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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

11月の金ETFは今年初の売り越し、資金はビットコインに向かった?

産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、11月の金上場投資信託(ETF)の投資残高は前月比107.07トン減の3,792.86トンとなった。北米が62.27トン減、欧州が42.43トン減、アジアが0.36トン減となっており、欧米を中心に金ETFの保有高を削減する動きが広がったことが確認できる。

金ETFの投資残高が前月比マイナスとなるのは今年初めてであり、100トン以上の減少となると2016年11月以来、ちょうど4年ぶりのことになる。1~11月通期でみると916.20トン増であり、前年同期の386.04トン増を大きく上回った状態に変化はみられない。ただ、11月に投資家の金に対する評価が大きく揺れ動いたのは間違いなさそうだ。

この11月は、3日に米大統領選の投票が行われ、9日には米ファイザーが新型コロナウイルスのワクチンにおける治験成功と緊急使用の申請許可を行う方針を発表している。投資家が大きな不安心理を抱いていた「米大統領選」と「新型コロナウイルスのワクチン開発」を巡る不確実性の後退が、安全資産としての金を保有するニーズを低下させたと言えよう。

11月のNY金先物相場は、1オンス当たりで前月比99.00ドル安の1,780.90ドルと急落し、4カ月連続で下落している。8~10月は金ETF購入の動きが鈍化したとは言っても、平均で41.39トン/月のペースで投資残高は増加し続けていた。11月の投資残高減少が「米大統領選」と「新型コロナウイルスのワクチン開発」を受けての一時的な売却圧力にとどまるのか、それとも本格的な資金引き揚げの初期動向なのかが注目されることになる。

■金ETF市場から流出した資金は、ビットコインへ?

一方、金ETF市場から流出した資金がどこに向かったのかも注目されている。通常だと、安全資産に対する投資ニーズが低下したことで金ETFが売却されたのであれば、その資金はリスク資産の代表格である株式市場に流入したと考えられる。実際にそうした傾向もあるのだろうが、それと同時に暗号資産(仮想通貨)のビットコインなどに対する資金シフトが行われているとの見方もある。

法定通貨に対する代替通貨との視点に立てば、金とビットコインは似たような役割を期待されることになる。ただ、これは代替通貨の視点では金とビットコインが競合関係にあるとも言え、代替通貨に対する投資ニーズの分散が、金からビットコインに対する資金シフトを促している可能性が指摘されている。暗号資産ファンド(例えばグレイスケール)に対する資金流入と、金ETFからの資金流出はタイミング的にはほぼ一致している。

ビットコインが過去最高値を更新したことが話題を集めたが、その一つの要因が金とビットコインとの間の資金シフトの場合には、金市場の資金フローに構造的な変化が生じ始めた可能性がある。

法定通貨の減価、インフレなどのリスク、ポートフォリオの分散ニーズなどの受け皿として、ビットコインが金に匹敵する資産クラスになり得るのかはここ数年にわたって議論されてきたが、機関投資家がビットコインファンドの新規購入にとどまらず、金ETFからビットコインファンドに資金も移し始めると、金市場に対する逆風、ビットコイン市場に対する追い風が構造的なものになるリスクを抱えている。
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)11月の金ETFは今年初の売り越し、資金はビットコインに向かった?(Yahoo!ニュース)
※図表はリンク先の記事参照。

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金とビットコインの同時高が意味すること 問われる法定通貨の信認

貴金属の金に続いて、暗号資産(仮想通貨)のビットコイン価格も高騰し始めた。Refinitivのデータによると、週末の7月26日に1ビットコイン=1万ドルの節目を突破したが、28日には一時1.14万ドル台まで値上がりし、今年の最高値を更新している。既に金価格が1オンス=1,900ドル台に乗せて過去最高値更新を窺う展開になっていたが、このタイミングでのビットコイン価格の急騰は、ドルや円といった法定通貨に対する信認低下を反映した動きではないかと指摘されている。

各国通貨は法律によって強制通用力を担保されているため、一般的に法定通貨(法貨)と呼ばれることになる。究極的には国の信用が通貨価値を裏付けている。例えば、日本では日本銀行法によって「日本銀行が発行する銀行券は、法貨として無制限に通用する」とされており、国内においては日本銀行券を使った債務弁済を拒否することはできない強制力を有している。

一方、金やビットコインには管理者が存在せず、金の場合だと希少性のある実物、ビットコインの場合だと複雑なブロックチェーン技術によって、その価値が担保されている。各国の法律とは関係なく通用力を有しているため、法定通貨に対して代替通貨といった呼称もある。

金とビットコインには共に様々な価格変動要因があるため、必ずしも同一の値動きをする訳ではない。実際にここ数か月は金価格が高騰していたのに対して、ビットコイン価格には目立った変動がみられなかった。しかし、ここにきて金とビットコインが同時に高騰し始めたことは、法定通貨に対する代替性が評価され、投機マネーが金とビットコインを同時に物色し始めている可能性を示唆している。

現在、世界各国の中央銀行は新型コロナウイルス対策で強力な金融緩和策を展開中である。米国では、米連邦準備制度理事会(FRB)がゼロ金利政策に加えて無制限の資産購入策(量的金融緩和策)を展開しており、大量のマネーを供給し続けている。その一方で、米政府は巨額の財政出動を伴う大型景気対策を次々と発動しており、国の信用が損なわれかねない状態に陥っている。

マーケットでは、新型コロナウイルス対策という有事にあって、金融緩和も財政政策も容認せざるを得ないとの消極的な支持が優勢である。しかし、新型コロナウイルスが終息に向かう目途は立たず、景気も長期停滞を迫られるのではないかとの警戒感は根強い。低金利環境は長期化の様相を呈しており、インフレ率を考慮に入れた実質ベースだと米国も含めてマイナス金利状態に陥っている国も少なくない。

しかも、米国はこのタイミングで米中関係の緊迫化を促しており、これまでの「有事のドル買い」が、ここにきて「有事のドル売り」に転換し始めている。投資家のドル資産に向ける視線は厳しさを増しており、従来の法定通貨間における安全通貨とリスク通貨との区分では対応できない状況に陥り始めている。

ドル急落、金価格高騰、ビットコイン価格高騰が同時に進行していることは、マーケットが法定通貨に対して不信認を突き付け始めた危険な兆候とみるべきなのかもしれない。金もビットコインも保有しているだけでは金利などを収入を生むことがないが、それでもドルを金やビットコインに交換しておきたいと考える向きが増え始めているのだ。
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

※図表はリンク先の記事参照。

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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