小菅努の商品アナリスト日記

金、プラチナ、原油、天然ゴム、穀物、農産物などのコモディティ市場をメインに、為替、株価指数などもカバーしています。

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再浮上してきた中国リスク、パンデミック再発を回避できるのか

中国で新型コロナウイルスの感染被害が、広がり始めています。1日当たりの新規感染者数は100人台とあって、欧米はもちろん日本と比べても少ない数値になっています。しかし、中国全土で感染者の報告が増え始め、一部地域ではクラスターも発生しています。また、変異種の感染も確認されています。

中国当局はこの状況に強い危機感を抱き、感染が報告されると直ちに都市封鎖を行い、これ以上の感染拡大を封じ込めようとしています。また、春節に向けて規制前のPCR検査の義務付けなど、春節がパンデミック再発のきっかけになることを回避するための施策も導入しています。

次々にPCR検査を迫り、感染が確認されたら隔離、都市封鎖と、感染症対策のみで見れば理想的な対策を講じることができる国です。ただ、もし中国が感染被害をコントロールできなかった場合には、資源需要環境は激変します。買い遅れた向きにとっては最後の押し目買いのチャンスになるのでしょうが、春節を無難に乗り切ることができるか、マーケットは徐々にリスクテイクに慎重スタンスに傾斜しています。リスクテイクのレベルを一段階引き下げるべきでしょう。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

中国で第二波のリスク、非鉄金属で利食い売り

中国で新型コロナウイルスの新規感染者数が100人を超えました。欧米と比較するとゼロに近い数値ですが、中国で100人を超える感染者が報告されたのは7月以来のことです。北京隣接の河北省は第一波でも深刻な感染状態になりましたが、ここで再び感染者が増えている模様です。中心都市の石家荘では約1,000万人がPCR検査を受けた上で自宅待機が命令されています。中国政府が、封じ込めに本気であることが窺えます。

一方、2月には旧正月を控えており、大規模な人の移動は避けられない状況です。中国で第二波が発生すると、コモディティ需要環境は一変するリスクを抱えています。まだ数十人規模の新規感染者数に留まっているため、マーケットも本気で中国の需要減退を警戒している訳ではありません。ただ、中国でも新型コロナウイルスのリスクが高まっていることは間違いなく、これまでバイデン新政権のインフラ投資への期待などから高騰していた非鉄金属市場で利食い売りを進める動きが目立ちました。

新たな危機の始まりなのか、感染被害コントロールの中での一時的な混乱なのか、今後の展開に注意が必要です。「中国は感染被害をコントロールしている」ことが、コモディティ市場の大前提になるため、その前提が崩れるとショックは甚大です。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

資源価格は上昇傾向が続き易い

資源価格は上昇傾向が続き易い
2021年の商品市場を見通す


2021年のコモディティ市場は、新型コロナウイルスのパンデミックをどのようにして消化していくのかが問われることになる。20年は需要環境の急激な悪化を背景、原油価格が一時マイナス化するなど価格急落圧力に晒されたが、年後半は需要の回復フェーズ移行、供給制約の解消の遅れ、各国の金融緩和や財政出動拡大、ドル安、異常気象ラニーニャ現象などを手掛りに逆に高騰に転じる動きが目立った。


ドル建て相場の年間騰落率だと、原油は20.5%安となったが、金が24.4%高、白金が10.4%高、同が25.8%高、トウモロコシが24.8%高、大豆が37.2%高など、逆に値上がりした銘柄の方が多く、「高騰」といっても過言ではない状況になっている。過去最高値を更新したダウ工業平均株価が7.2%高に留まっていることと比較しても、コモディティ市場が一気に強気に傾いたのは明らかである。21年はこの流れが維持されるのか、それとも修正を迫られるのかが焦点になる。


最も注目されるのはパンデミックの行方になるが、春先に各国でワクチン接種が本格化し、年後半には経済活動がある程度まで正常化に向かう展開が、現在の基本シナリオになっている。特に新興国・途上国についてはコロナ禍前の経済規模を回復することに成功する見通しであり、資源需要は全般的に刺激され易い状態が想定される。年後半には需要回復が本格化する見通しであり、このタイミングでどこまで上値を伸ばせるのかが問われる。


加えて、金融緩和政策と財政政策の刺激も続き易い。米連邦準備制度理事会(FRB)は向こう3年にわたるゼロ金利政策へのコミットを示し、量的緩和政策に関しても当面は継続せざるを得ない状況が続くとの見方が強い。財政政策に関しても、これまでの対応はいずれも有事対応の「止血」であり、今後は「治療」が求められることになる。バイデン次期米大統領は、積極的な財政出動を行う方針を再確認している。クリーンエネルギー分野の大型インフラ投資も計画しており、政策的にも拡張的な財政政策が展開され易い。資源価格全体の底上げに寄与しよう。


一方、為替市場ではドル安傾向が鮮明になっている。米国の巨額の財政赤字と経常赤字、実質金利の大幅なマイナス化が、ドルの上値を圧迫している。20年末の価格を基準にすると、仮に5%のドル安でも金は95ドル、原油は2.5ドル、トウモロコシは24セント、大豆は66セント押し上げられる計算になる。


農産物市場に関しては、ラニーニャ現象の行方にも注目したい。気象庁によると冬場の間はラニーニャ現象が続くが、春以降は正常の状態になる可能性が徐々に高まる見通しになっている。ただ、20年の供給制約の影響で主要農産物の在庫はタイト化しており、これまで以上に天候不順に対しては脆弱なマーケット環境になる。主要生産地の気象環境によっては、突発的な急伸リスクを抱えた地合が、21年にも持ち越されよう。

(2021/01/06執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2021年1月11日「私の相場観」

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2020年は銀が好成績、原油は依然として安値低迷

2020年のコモディティ市場の騰落率ですが、主要マーケットの中では銀相場が最も大きく上昇しました。概ね1.5倍の値上がりになっています。金や農産物市場も全般的に底固さが目立ちました。逆に、悪い意味で目立つのが石油市場であり、依然として2割程度の減価状態になっています。

パンデミックの石油市場に対するネガティブインパクトの大きさが再確認される一方、コモディティ市場全体としては、焼け太りとも言える堅調な値動きになっています。政策支援による資産価格の上昇圧力、ラニーニャ現象による天候不順、そしてドル安と、2020年のコモディティ市場は底固さが目立ちました。


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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

原油は一時無価値に、金は最高値

原油は一時無価値に、金は最高値
2020年の商品市場を振り返る

2020年の商品市場は、新型コロナウイルスのパンデミックに振り回される展開が続いた。1月には米中通商協議が第一段階の合意に到達したことで、マーケットでは景気動向に対して楽観的な見方が強く、今年は11月の米大統領選をどのように乗り切るのかが最大のテーマになるとみられていた。しかし、2~3月にかけて中国で発生したとみられる感染被害が欧州、米国と世界全体に拡散すると、商品市場は大きなショックに直面した。パンデミック対策はロックダウンに代表される行動規制が基本であり、経済活動が急激に縮小したことが、原油や金属相場を大きく押し上げた。象徴的だったのは4月に原油相場は史上初のマイナス価格を付けたことであり、急激な需要減少圧力に供給環境が対応しきれずに、米国では在庫貯蔵能力の限界問題が、「タダでも原油を要らない」といった特殊な環境を作り出した。

しかしその後は、パンデミックとの闘いが長期化の様相を呈すると、各国は経済活動の停止で感染終息を目指す方針を取り下げ、ワクチン開発までの時間稼ぎに政策スタンスを修正した。ある程度の行動規制を導入しつつも、経済活動を止めないことが重視され、年後半には産業用素材市況は概ね反発傾向を強めた。原油相場の場合だと、石油輸出国機構(OPEC)プラスの需給管理が成功したこともあり、12月には1バレル=50ドルの節目目前の値位置を回復している。

一方、20年は農産物市場も荒れた値動きを見せた。作付け期には豊作確実とみられていたが、夏場に異常気象であるラニーニャ現象が発生し、実際には各国で生産障害が発生した。米国では受粉期にホット・アンド・ドライ(高温乾燥)傾向が強まり、シカゴ穀物市場ではトウモロコシが昨年9月以来、大豆が14年6月以来の高値を更新している。中国で大規模な洪水被害が発生したことで、同国が国内食料需給を安定化させるために、大規模な輸入に踏み切った影響もあろう。米国産トウモロコシと大豆はともに13/14年度以来の低在庫環境が予想されている。

また、天然ゴム相場も東南アジアの豪雨・洪水、パンデミックによる労働力不足などを背景とした供給障害から、17年2月以来の高値を更新している。一時は新車販売の落ち込み、タイヤ工場の稼働停止などから1kg=130円台を割り込んだが、11月には290円台まで切り返した。

パンデミックは実体経済の減速から、各国に大規模な金融緩和や財政出動を迫った。この結果、低金利環境やドル安環境が、安全資産としての金相場を大きく押し上げた。8月には過去最高値を更新しており、「原油価格のマイナス化」と「金価格の過去最高値更新」が1年間で同時に実現したことは、パンデミックが商品市場に与えた影響の大きさを明確に物語っている。

(2020/12/24執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2020年12月28日「私の相場観」

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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