小菅努の商品アナリスト日記

マーケットエッジ(株)代表/商品アナリスト・小菅努の公式ブログです。コモディティ市場をカバーしています。

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商品市場全般

2024年のコモディティ相場見通し

【コモディティ】
あけましておめでとうございます。

2024年のコモディティ相場について、年初の時点の見通しです。

◆貴金属
金相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げサイクル入りから支援を受けよう。特に年前半は米金利低下・ドル安環境からの支援が想定され、2023年の過去最高値更新が打診される見通し。2,200ドル台乗せが打診される。中央銀行の金買い継続、地政学リスクの高まりなども支援材料になろう。ただし、年後半は利下げの織り込み終了を受けて、金融政策要因の買いは息切れする見通し。米大統領選を巡る不確実性、景気減速などの安全資産に対する投資需要を喚起する形で上昇トレンドは維持する見通しだが、年後半価格環境は不安定化しやすい。

プラチナ相場は底入れ評価から、上値追いの展開になろう。金相場と同様に年前半はFRB利下げサイクル入りからの支援が強まる見通し。需要に供給が追い付かない需給ひっ迫構造も相場を支援しよう。チャートは1,000ドルを突破しており、1,100ドル台へのレンジ切り上げが打診される。鉱山会社は生産調整を本格化し、人員整理の動きによっては労働争議が発生する可能性もある。

◆金属
銅相場はじり高傾向になろう。世界経済(特に中国経済)の減速懸念が上値を圧迫する展開は続く。ただし、価格低迷で増産対応の鈍さが目立ち、このままの価格水準では脱炭素時代の需要をカバーすることが難しくなる。下値不安は限定され、徐々に安値修正を打診しよう。9,000~1万ドル水準は十分に見通すことができる。

ニッケル相場は安値低迷が続く。世界経済減速による需要不安に加えて、インドネシア増産などが需給緩和圧力をもたらす。過剰供給から在庫積み増しが進む可能性が高く、下振れリスクを維持しよう。1万5,000ドル割れで1万ドル台前半にレンジを切り下げる見通し。

◆原油
原油相場は上値の重い展開になろう。世界経済の減速で需要不安が強い。一方、米国、ブラジル、ガイアナなど石油輸出国機構(OPEC)以外からの増産圧力は維持される。OPECが更に生産量を大幅に削減することは難しく、需給均衡状態を維持できるか否かの目線に留まり、価格リスクは下向きになる。70ドル割れから値崩れのリスクは低いが、地政学要因で供給不安が浮上しなければ、相場を大きく押し上げるのは難しい。

◆穀物
在庫積み増しによる価格鎮静化が続く見通し。とうもろこしと小麦は繰越在庫の水準が高く、平年並みの気象環境でイールドが崩れなければ、在庫積み増しが可能とみられる。2023年の急落で大きな値崩れは想定されないが、下値切り下げのリスクを残そう。大豆も作付面積拡大でようやく在庫減少に歯止めが掛かる見通し。ウクライナ戦争、世界気象環境などが不確実要素になる。とうもろこしは400セント台中盤、小麦は500セント、大豆は1,200セント台がコアレンジになる見通し。


【お知らせ】
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コモディティ ・ マーケットの分析と2024年の展望
https://www.youtube.com/watch?v=auB2uLG2yDM

 

2023年コモディティ相場の騰落率

【コモディティ】
2023年のコモディティ取引が終了しました。主要なドル建てコモディティ相場の騰落率を計算したのが下のグラフになります。

一見したロブスタコーヒー、ココア、アラビカコーヒーといったソフトマーケットの底固さが目立ちます。砂糖も急騰していましたが、年末前に利食い売りが入ったことで上げ幅を削りました。エルニーニョ現象の直撃を受けた農産物価格が記録的な高騰相場になりました。

金も13.4%高と堅調でした。漸く利上げ終了の議論が展開されたことに加えて、中東で新たな戦争の勃発、中央銀行の金買い継続といった動きを背景に底固さが目立ちました。

逆に大きく値を崩したのがニッケルですが、インドネシアの大規模増産で国際需給が緩んでいます。パラジウムもロシア産を敬遠する動きから、急落対応を迫られました。天然ガスは暖冬と記録的な生産水準の影響です。

穀物も軒並み2022年までの高騰相場の反動安になりました。大規模な天候障害の発生が回避され、需給が一定の落ち着きを取り戻した銘柄が多かった影響です。

原油は年間を通じて売買が交錯しました。最終的にはマイナス圏に沈んでいます。需要不安と非石油輸出国機構(OPEC)の増産が上値を圧迫しました。

銅やアルミといった非鉄金属は、大きな値動きになりませんでした。年前半は中国経済の不調に上値を抑えられましたが、値崩れを回避しています。

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【コモディティ】

こちらが円建ての騰落率です。7.6%の円安効果が大きかったことが窺えます。

天然ゴムの上昇率が大きくなっていますが、年後半にエルニーニョ現象の直撃を受けたこと、在庫取り崩しが加速した影響です。

金は円安とドル建て金相場の高騰で21.6%高と良好なパフォーマンスでした。ドバイ原油とプラチナは、円安効果で辛うじて前年比プラスになっています。

とうもろこしとパラジウムは、ドル建て相場急落の影響を円安で相殺しきれませんでした。


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大晦日ですね。私はまだ仕事が終わっていませんが…。
良いお年をお迎えください。


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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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