小菅努の商品アナリスト日記

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南アのパンデミックが深刻化、白金供給は大丈夫?

南アフリカで新型コロナウイルスの感染者が急増しています。保健当局の発表だと、6日の新規感染者数は2万1,000人を超えています。昨年圧の第一波のピークが1万3,000人台ですが、南半球の夏場にそれ以上に感染被害が深刻化している状況は重く受け止めるべきでしょう。このまま感染拡大が続くと、ロックダウン(都市封鎖)が更に強化され、鉱山活動そのものや、サプライチェーンにも大きな混乱が生じる可能性があります。

実際に、昨年はパンデミックによる需要ショックよりも供給ショックの方が大きく、白金需給はタイト化しました。南アフリカ一か国に供給を高いレベルで依存しているため、南アフリカがパンデミックのショックを回避できれば安定供給が見込まれる一方、ショックに見舞われると他コモディティ以上に供給制約が強まる関係性にあります。

ロックダウンの強化がなくても、鉱山や港湾、輸送といった部門でクラスターが発生すると、短期的な品薄感が一気に強まる可能性もあります。南アフリカ通貨ランドは、ロックダウン強化を見込んで急落対応を迫られていますが、鉱山活動は正常の状態を保つことができるのでしょうか。白金相場の急騰シナリオの一つとして、南アフリカのパンデミックの展開状況、それに対する政府の対応にも注意が必要でしょう。

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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】


トルコ中銀は2会合連続の利上げ、やればできる子に

トルコ中央銀行は12月24日の金融政策決定会合において、主要政策金利である1週間物レポ金利を15.00%から17.00%まで引き上げました。11月にも4.75%の大幅利上げに踏み切ったばかりですが、インフレ圧力に歯止めが掛からない中、2会合連続の利上げに踏み切りました。トルコ中央銀行は9月に利上げ政策への転換を行いましたが、累計で8.75%の利上げが実施された形になります。

異常ともいえる利上げペースは、異常なインフレ圧力に対する対応です。トルコのインフレ率は昨年10月の+8.55%でボトムを打ち、今年は4月の+10.94%が最低となっています。10月は+11.89%でしたが、11月に+14.03%まで大きく上振れしたことで、放置できない問題と評価された模様です。

無題


















トルコでは、エルドアン大統領が景気制約となる利上げに強く反発しており、これまでは二桁のインフレ率に対して、金融政策ではなく国有銀行を通じた介入で対応してきたと見られます。しかし、その結果として外貨準備が失われ、それが更にリラ安・高インフレを促す悪循環に陥る中、今年は利上げ政策への転換が実現しています。

11月に就任したアーバル総裁は、「長期的なインフレ率の低下がみられるまで、引き締め策を維持する」として、インフレファイターとしての姿勢を鮮明にしています。エルドアンは各所で不満を示していますが、少なくとも短期スパンでは利上げによるインフレ抑制の必要性を認めざるを得ず、積極的な支持とは言えなくても黙認はしています。

まだ12月のインフレ率は出てきていませんが、今回の利下げで政策金利は11月のインフレ率を3%程上回っています。実質金利で3%を確保できれば、先進国の金利が失われる世界にあって、投資家のリスク選好性さえ高まれば、リラに投機マネーが流入する余地は十分にあります。

トルコに関しては、地政学リスクも抱えているために投資家がリラ買いに慎重にならざるを得ませんが、少なくとも実質金利環境はリラ安支持からリラ高支持に変わっています。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

トルコ中銀、2%利上げ

トルコ中銀は予想外の利上げ見送り 金融政策の不透明感強まり、リラは過去最安値を更新

トルコ中央銀行は10月22日に開催した金融政策会合で、主要政策金利の1週間物レポレートを10.25%で据え置くことを決定した。マーケットでは1.75%の追加利上げが予想されていたため、この決定は予想外で意外感が強く、トルコリラは急落している。

リラ/円相場は会合直前の13.43円をピークに、一時13.11円まで最大2.4%の急落地合になっている。対ドルでもほぼ同様の値動きがみられ、ともに過去最安値を更新している。

トルコ中央銀行は前回9月24日の会合において、レポレートを8.25%から10.25%まで引き上げている。これは約2年ぶりの利上げであり、声明文では「インフレが予想以上に上昇した」と指摘していた。その後発表された9月消費者物価指数は前年同月比11.75%上昇と8月の11.77%上昇から下振れしたが高止まりしており、更にアゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突などの地政学リスクがリラ相場を一段と押し下げる中、マーケットではインフレ抑制、通貨防衛のための追加利上げは不可避とみていた。

しかし今会合の声明文では、「インフレ見通しに対するリスクを抑制するために取られた金融政策と流動性管理の措置を受けて、金融状況の大幅な引き締めが達成された」として、9月の利上げで目的は達せられたとの評価が下されている。

現実にはインフレ見通しが一段と悪化する中で、利上げの目標が達成されたとの評価には意外感があり、マーケットでは経済ではなく政治で利上げ打ち止めが決断されたのではないかとの懐疑的な見方が広がっている。エルドアン大統領が景気抑制要因となる利上げに反対姿勢にあることは周知されている。このため、経済環境からは今後の金融政策を予想することが困難、かつ、不透明な金融政策フレームに早くも逆戻りしたのではないかとの懸念が広がっている。すなわち、トルコ中央銀行がインフレや通貨価値コントロールの役割を政治的要因で放棄してしまったとの疑惑が再燃しているのである。

トルコリラ相場が改めて過去最安値を更新する動きは、マーケットが今回の利上げ見送りの判断の妥当性に疑問を投げ掛けたと評価できよう。地政学リスクの解消も進まない中、下向きのボラティリティの高まりが警戒される地合が続く見通しだ。
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

※図表はリンク先の記事参照。

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やはり分かっていないトルコ中央銀行


トルコ中央銀行は25日、政策金利である1週間物レポレートTRINT=ECIを24.00%に据え置いた。据え置きは予想通り。また将来の引き締めに関する文言を撤回し、ハト派姿勢に転換した。

中銀は声明では「物価に影響を及ぼす諸要因を注視しつつ、目標に沿った物価の維持に向け金融政策スタンスを決定する」と表明。同時に従来の「必要に応じて一段の金融引き締めを実施する」との文言を削除した。

出典:Reuters

トルコ中央銀行は4月25日の会合で、声明文から「必要に応じて一段の金融引き締めを実施する」との文言を削除しました。これは政策調整の方向性が利上げであるとのフォワードガイダンスの修正を意味し、次の政策変更が利上げではなく利下げの可能性を高めることになります。

一応は、昨10月時点で25.24%に達していたインフレ率が今年に入ってから20%を割り込んでいるため、インフレ抑制のための利上げの必要性が薄れている結果とも言えます。しかし、直近で19.71%のインフレ率、しかも原油高、通貨安が加速する中で、マーケットはこうしたフォワードガイダンス修正に明確な拒否反応を示しています。

このような政策調整はインフレ率が一けた台まで低下した後で議論しても遅くはないはずですが、トルコ中央銀行は利下げをしたくて仕方ないようです。明らかな政策のミス判断であり、誰もがトルコ売りを加速させると分かる政策調整を行ってしまう点に、現在のトルコ金融政策の問題の根深さが示されています。トルコリラは投資対象として不適格でしょう。


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BOJがフォワードガイダンス修正、動かないリスクか?

日本銀行は、海外経済の動向や消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、少なくとも 2020 年春頃まで、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。

日本銀行は4月25日の金融政策会合において、上記のようにフォワード・ガイダンスの修正を行いました。従来は政策金利の引き上げを「当面の間」行わないとしていましたが、それを「少なくとも2020年春頃まで」と明確化した格好です。

期限を切ったという意味ではタカ派とも言えますが、あくまでもこれは最低ラインであり、インフレ環境の改善がなければ、欧州中央銀行(ECB)などと同様に更に先送りされることになるでしょう。あまり大きな意味がないフォワードガイダンスとも言えますが、世界的に低金利環境の長期化圧力が強まる中、現在の世界の金融政策環境では動かないことが通貨高(=円高)を招きかねない状況にあります。緩和姿勢の強化を打ち出す必要性が高まる中、無難なカードを切ったということでしょう。

インフレ率引き上げがうまくいっていないことが再確認できると同時に、日本銀行が円高リスクを強く警戒していることが窺えます。


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(出所)日本銀行(PDF

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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