小菅努の商品アナリスト日記

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中国の2020年原油輸入量は過去最高、安値で在庫手当に成功

中国の2020年の原油輸入量は前年比7.3%増となり、過去最高を更新しました。パンデミックの発生する中で7.3%増は異常な高水準ですが、末端需要の高まりというよりも、在庫手当の影響が大きいようです。パンデミックによる需要消滅で各国は原油調達量を一斉に絞りましたが、中国は逆に在庫手当の好機と考えた模様です。当初は買い控えもみられましたが、4月に一気に調達量を増やし、9月頃まで大量購入を行いました。


独立系製油所が在庫を拡充したことに加えて、民間の備蓄業者も安値で買い付ける好機と考えた模様です。その後は輸入割当の消化、原油相場の回復で年末に向けて調達量を減らしましたが、それでも通年で7.3%増は良い数値です。


2020年は中国が原油需給緩和圧力を阻止する役割りを果たしたことが明確に確認できます。中国は極めて低コストな状態で大量の原油を調達した格好であり、製油所にとっては石油製品価格が上昇すれば大きな利益がもたらされる状況になっています。

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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】


原油在庫減と石油製品在庫増、バランスの乱れが目立つ

米エネルギー情報局(EIA)が発表した1月8日時点の米原油在庫は、前週比325万バレル減の4億8,221万バレルとなりました。これで5週連続の減少となり、昨年3月27日以来の低水準になっています。前年同期の4億2,851万バレルを依然として大きく上回っていますが、在庫の減少は素直に評価したい所です。

ただ、その一方で石油製品在庫は増加傾向にあります。これは、末端の需要以上の原油が製油所で処理されていることを意味します。例えばガソリン需要だと、前年同期比でのマイナス幅は殆ど変わっていません。これは製油所稼働率を大きく引き上げることは難しい状況にあることを意味しますが、製油所が必要以上の原油処理を進めていくと、原油在庫増加と製品在庫の減少が進み、石油在庫全体でみると、実は減少していないといった事態になりかねません。

原油と石油製品在庫をバランスよく取り崩していくことが、原油相場安定化のために求められます。原油+石油製品在庫でみると、実は2週連続で増加しています。


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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】


サルマン皇太子の善意、OPEC+の増産合意を打ち消す自主減産

1月5日に石油輸出国機構(OPEC)プラスの閣僚級会合が開催されました。4日の協議では結論が出ずに持ち越しとなっていましたが、結論としては協調減産の規模を1月の日量720万バレルから2月に712.5万バレル、3月に705万バレルまで、2ヵ月で15万バレル引き下げることになりました。対象はロシアが13万バレル、カザフスタンが2万バレルとなり、この二カ国が若干の増産対応を行うことが認められます。サウジアラビアが需要環境の急激な悪化を受けて減産枠維持を主張しましたが、ロシアは需要回復に自信を強めており、若干の増産対応という曖昧な結論になりました。

ただ、今会合の終了後にサウジアラビアは自主的に日量100万バレルの減産を実施すると発表しました。即ち、OPECプラスの政策合意とは関係なく、サウジアラビアが単独で100万バレルの供給を抑制するというものです。2~3月と期間が限定されますが、目先の需要環境悪化に対するサウジアラビアの危機感の強さが再確認できます。

おそらくこれで在庫を大きく取り崩すといった状態にはならず、米ゴールドマン・サックスは1~3月期に日量25万バレルの供給過剰になるとの見通しを示しています。ただ、4月以降のドライブシーズンに向けて需要が回復に向かうのであれば、原油相場の急落リスクを後退させるには十分な規模でしょう。サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は、サルマン皇太子の「善意(goodwill)」だと解説しています。

無題


















【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】


OPECプラスの協議難航、2月増産は可能なのか?

1月4日に石油輸出国機構(OPEC)プラスは2月の生産政策を決定する協議を行いましたが、結論を出すことができず、5日に継続協議扱いになりました。昨年12月のOPECプラス会合では、生産据え置き、もしくは減産強化を主張するサウジアラビアと、予定通りの増産開始を主張するロシアとの溝が埋まらず、1月に日量50万バレルと小規模な増産を行い、2月以降は毎月協議して判断を下す「段階的増産」によって両者が妥協を行いました。


その後は原油価格が高値安定化し、OPECプラスの増産対応に対して目立った抵抗は示していません。一方で、パンデミックの深刻化で需要環境は一段と悪化しています。こうした中、サウジアラビアは今度こそ増産を見送るべきと主張しましたが、ロシアが予定通りに追加増産を主張していることで、合意が形成できていない模様です。

パンデミックによる需要見通しの急激な悪化を考慮すれば、おそらくサウジアラビアの主張の方に正当性があるのでしょう。増産対応を急がず、パンデミックが一服して需要環境が改善した後の増産対応の方が論理的です。一方で、原油価格が高止まりしているのであれば、追加増産も問題はないとのロシアの主張にも一定の説得力があります。

この問題は、原油相場がワクチン開発の動きに呼応して将来の需要改善を先取りしすぎていることに原因があり、実際の需給とかい離した原油価格が、ロシアを必要以上に強気にさせてしまっているようです。どのような形で合意が形成できるのか、それとも協議が決裂するのか判断できる材料がありませんが、産油国(サウジアラビア)の実感と原油価格との間にズレがあることは間違いなさそうです。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

 

イラン・ソレイマニ司令官殺害から1年、きな臭くなる中東情勢

米国がイラン革命防衛隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害してから、間もなく1年になります。イランの首都テヘランでは、政府主催で追悼式が開かれました。対米強硬派の政権幹部からは、改めて米国への報復の決意も示されています。

米国ではバイデン政権が誕生し、核合意への復帰に対しては前向きとも言われています。しかし、議会で対イラン政策の転換(回帰)を実現するためには、イランの核・ミサイル開発を制限するための何等かの条件闘争が必要とみられています。

一方、イラン側は今年6月に大統領選挙を控えています。対米強硬派が議会で勢力を伸ばす中、大統領選の結果次第ではイラン側が態度を硬化させる可能性も十分にあるというよりも、そちらが現在のメインシナリオになりそうです。

2020年の原油相場の高値は、ソレイマニ司令官殺害による地政学リスクの高まりによって実現しました。現在、米軍はイランけん制の思惑もあってB52爆撃機を中東に派遣したとされています。ソレイマニ司令官殺害から1年、緊張感が高まる時間帯を迎えています。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】


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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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