穀物価格が高騰することは、生産国にとって光と影があります。光はもちろん、高値で輸出できることですが、影は国内でも食糧価格の高騰は大きな問題になることです。このため、穀物価格が高騰すると、国内価格の安定を優先するため、国際市場に供給を渋る動きが生じることは珍しくありません。厳しいものだと輸出停止、軽いものだと税率引き上げになりますが、ロシアでは3/1から6/30まで小麦の輸出関税引き上げが計画されています。25ユーロ/トンから50ユーロまで倍増させる計画になっています。
トウモロコシや大豆とは異なり、国際小麦需給は必ずしもタイト化している訳ではありません。ただ、ロシア産の市場に対する供給が抑制されれば、米国産やウクライナ産などに需要シフトが生じ、不足の混乱が生じることになります。
既にアルゼンチンが1~2月のトウモロコシ輸出を停止していますが、ロシア産小麦の供給に不透明感が強くなっています。これでも問題が解決しない場合には、輸出停止といった更に強硬な対応策が講じられる可能性も想定しておくべきでしょう。
シカゴ小麦週足。価格が上がると、生産国は国内価格安定化を優先するために出し渋り、それが更に高騰を招く。アルゼンチンはコーン輸出停止中。ただ、ウクライナは今の所、小麦輸出政策変えないと。 https://t.co/JTmNl8KXLo pic.twitter.com/BXjDVU1P0Y
— 小菅 努 (@kosuge_tsutomu) January 16, 2021
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】