資源価格は上昇傾向が続き易い
2021年の商品市場を見通す


2021年のコモディティ市場は、新型コロナウイルスのパンデミックをどのようにして消化していくのかが問われることになる。20年は需要環境の急激な悪化を背景、原油価格が一時マイナス化するなど価格急落圧力に晒されたが、年後半は需要の回復フェーズ移行、供給制約の解消の遅れ、各国の金融緩和や財政出動拡大、ドル安、異常気象ラニーニャ現象などを手掛りに逆に高騰に転じる動きが目立った。


ドル建て相場の年間騰落率だと、原油は20.5%安となったが、金が24.4%高、白金が10.4%高、同が25.8%高、トウモロコシが24.8%高、大豆が37.2%高など、逆に値上がりした銘柄の方が多く、「高騰」といっても過言ではない状況になっている。過去最高値を更新したダウ工業平均株価が7.2%高に留まっていることと比較しても、コモディティ市場が一気に強気に傾いたのは明らかである。21年はこの流れが維持されるのか、それとも修正を迫られるのかが焦点になる。


最も注目されるのはパンデミックの行方になるが、春先に各国でワクチン接種が本格化し、年後半には経済活動がある程度まで正常化に向かう展開が、現在の基本シナリオになっている。特に新興国・途上国についてはコロナ禍前の経済規模を回復することに成功する見通しであり、資源需要は全般的に刺激され易い状態が想定される。年後半には需要回復が本格化する見通しであり、このタイミングでどこまで上値を伸ばせるのかが問われる。


加えて、金融緩和政策と財政政策の刺激も続き易い。米連邦準備制度理事会(FRB)は向こう3年にわたるゼロ金利政策へのコミットを示し、量的緩和政策に関しても当面は継続せざるを得ない状況が続くとの見方が強い。財政政策に関しても、これまでの対応はいずれも有事対応の「止血」であり、今後は「治療」が求められることになる。バイデン次期米大統領は、積極的な財政出動を行う方針を再確認している。クリーンエネルギー分野の大型インフラ投資も計画しており、政策的にも拡張的な財政政策が展開され易い。資源価格全体の底上げに寄与しよう。


一方、為替市場ではドル安傾向が鮮明になっている。米国の巨額の財政赤字と経常赤字、実質金利の大幅なマイナス化が、ドルの上値を圧迫している。20年末の価格を基準にすると、仮に5%のドル安でも金は95ドル、原油は2.5ドル、トウモロコシは24セント、大豆は66セント押し上げられる計算になる。


農産物市場に関しては、ラニーニャ現象の行方にも注目したい。気象庁によると冬場の間はラニーニャ現象が続くが、春以降は正常の状態になる可能性が徐々に高まる見通しになっている。ただ、20年の供給制約の影響で主要農産物の在庫はタイト化しており、これまで以上に天候不順に対しては脆弱なマーケット環境になる。主要生産地の気象環境によっては、突発的な急伸リスクを抱えた地合が、21年にも持ち越されよう。

(2021/01/06執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2021年1月11日「私の相場観」

******************************************

マーケットエッジ(株)では、コモディティ市場と金融市場のレポート配信の他、講演のご依頼も承っています。まずはご相談下さい。

【お問合せ先】
マーケットエッジ株式会社 https://www.marketedge.co.jp/
E-mail  kosuge.tsutomu@outlook.com