米ジョージア州の上院2議席の決選投票では、接戦となりましたが民主党が2議席を獲得し、大統領、上院、下院のいずれも民主党が支配権を握る状態になることが決まりました。1月20日にバイデン氏の大統領就任式が行われますが、バイデン新政権では政策運営における議会の制約が弱まり、大規模な財政出動が行われるとみられています。

これは当然に国債発行によるファイナンスが行われるため、国債需給の緩みに対する警戒感から米長期金利は1%の節目を突破する展開になりました。経済の過熱化、債務膨張によるインフレ懸念の高まりもあり、金利上昇圧力が本格化しています。

金利を生まない金にとっては、こうした金利上昇圧力はネガティブであり、実際に長期金利が1%を突破した1月6日の取引で、COMEX金先物相場は前日比45.80ドル安の1,908.60ドルと急落しました。このままバイデン政権誕生で金利上昇が進み、金相場は値崩れを起こすのでしょうか。

ただ、今回の金利上昇はインフレ期待の上昇と連動しているため、実質金利環境には大きな変動がありません。金相場は1%突破のヘッドラインに慌てて急落しましたが、金利要因で値崩れを起こすリスクは限られそうです。実際に米金利上昇に対してドルは瞬間的に上昇で反応しましたが、すぐに軟化しています。

また、金利上昇は金融市場や実体経済にも動揺をもたらすため、そのこと自体が金利上昇の制約になります。特に株式市場では歴史的低金利環境が前提条件になっているため、その前提が崩れると株価急落が警戒されます。いずれかの時点で金利水準を引き上げていくことが理想ですが、まだパンデミックの有事の際であり、本格的な金利上昇が金相場の値崩れを促すのは時期尚早でしょう。米連邦準備制度理事会(FRB)の反応が注目されます。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】