温暖化排出ガスを実質ゼロにする政府の「カーボンニュートラル宣言」は、自動車メーカーに与える影響が注目されがちですが、当然に末端のガソリンスタンドにも影響を及ぼすことになります。ガソリンの使用が減る、もしくは使用しない事態になれば、現在のガソリンスタンドの経営形態は維持できません。

ENEOSホールディングスの杉森務会長は日本経済新聞のインタビューに対して、「今後はCCS(二酸化炭素の回収・貯留)や水素などよりクリーンなエネルギーにシフトしていく必要」があるとして、2021年3月をめどに長期目標を表明する予定を明らかにしています。

短期目線ではハイブリッド車(HV)向けのガソリン販売に期待を寄せる一方で、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)でも燃料補給の拠点が必要であり、ガソリンスタンドがその役割を担おうというものです。

ただ、HVはガソリン消費量を削減し、EVの充電は敢えてガソリンスタンドがその役割を果たさなくても可能であり、現に通常の商業施設などでも充電設備は設定され始めています。EV用充電施設として、ガソリンスタンドである必要性は殆どありません。

このため、「中心になるのは水素分野だ」との話になる訳ですが、水素社会はガソリンスタンド網をある程度まで維持することが可能なレベルまで成長するのでしょうか。経営難からガソリンスタンドの数が減れば、消費者のEVやFCVシフトが加速するきっかけになり、更に自らの首を絞めることになりかねません。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】