トウモロコシ相場の高騰続く
3か月で在庫見通しが急変

米農務省(USDA)は11月10日に発表された需給報告において、2020/21年度の米国産期末在庫見通しを前月の21.67億Buから17.02億Buまで4.65億Bu引き下げた。8月時点では27.56億Buと潤沢な在庫環境が予想されていたが、その後の3カ月間で在庫見通しが一変したことが確認できる。これは前年度の19.95億Buを下回り、13/14年度以来の低在庫環境が予想されていることを意味する。

今季は作付け期から受粉期にかけて理想的な気象環境が実現し、USDAも8月時点では1エーカー当たり181.8Buと、過去最高のイールド見通しを示していた。しかし、その後は収穫期に向けてホット・アンド・ドライ(高温乾燥)傾向が強くなったこともあり、イールド見通しは3カ月連続で下方修正されており、直近では175.8Buに留まっている。豊作ではあるが、トレンドイールド(178.5Bu)を下回っており、記録的な豊作で増産が進み、在庫が急増するとのストーリーが消滅したことが明確に確認できる。

また、需要サイドからも需給引き締め圧力が強くなっている。USDAは輸出需要見通しを前月の23.25億Buから26.50億Buまで引き上げているのだ。前年度は米中貿易戦争の影響もあって17.78億Buに留まっていたが、過去最高の輸出需要が見込まれる状況になっている。今報告では中国の輸出需要見通しが前月の700万トンから1300万トンまで大きく引き上げられており、こうした中国の旺盛な需要の受け皿の一つとして、米国産トウモロコシ輸出が拡大するとの見通しになっている。

CBOTトウモロコシ先物相場は、1Bu=400セント台前半で底固く推移しており、昨年7月以来の高値を更新している。生産期には豊作期待から300セント台前半で低迷していた相場だが、過去3か月で需給見通しが一変する中、急ピッチな値上がり傾向が続いている。2015年から続く取引レンジの上限に差し掛かっているが、今回発表された需給報告からは、十分に正当化できる値動きになっている。しかも、足元ではラニーニャ現象の影響で南米産の生産高見通しに対する不確実性が高まっており、ブラジルやアルゼンチン産の生産高見通し引き下げが行われると、更に米国産輸出は拡大する可能性もある。

下落リスクとして警戒されるのは、急激な価格高騰で需要家の買い控え、いわゆるレーショニングが始まる事態である。しかし、足元では収穫期終盤で潤沢な在庫が確保されているにもかかわらず、現物ベーシス相場は高止まりしており、現物需給は依然として引き締まっていることが強く示唆されている。供給不安の高まりもあって、需要家が高値圏でも調達を急いでいることが窺える状況にある。欧米のパンデミックによる需要不安もあるが、このまま良好な輸出環境が維持される一方、グローバルな天候不順で供給不安も維持されると、450セントの節目突破からの一段高も想定される状況になる。
(2020/11/12執筆)
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2020年11月16日「私の相場観」

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