OPECが追加減産を検討
ロシアは慎重姿勢崩さず

世界経済の減速で国際原油需給の緩みが警戒される中、産油国サイドの動きが活発化している。現在、石油輸出国機構(OPEC)やロシアなどの「OPECプラス」は日量120万バレルの協調減産を行っており、来年3月までは現在の政策を維持することで合意している。この政策は一定の効果を上げており、原油需給バランスの極端な乱れを阻止してきた。しかし、このまま世界経済の減速が進むと、当然に原油需要の伸びも鈍化することになり、2020年の国際原油需給が再び緩むリスクが警戒され始めている。

今年は12月5日にOPEC総会、6日にOPEC加盟国と非加盟国の会合が予定されているが、OPECのバルキンド事務局長は「あらゆるカードがある」として、追加減産対応にも含みを持たせている。中東産油国の一部からも、再び原油需給が緩和して原油価格が急落する事に対して高いレベルの警戒感が示されており、追加政策調整を巡る議論が活発化している。

産油国経済を考えれば、「減産率」よりも「原油価格上昇率」の方が大きくなれば、原油売却収入は拡大することになり、減産対応が正当化される。一方で、相次ぐ減産対応は市場シェアの喪失を意味し、石油市場への影響力の低下、国内石油産業の縮小、販売競争の激化などの副作用を生じることになる。また、米国のシェールオイル生産は一時期との比較では鈍化しているものの、大規模な増産体制が維持されている。OPECプラスの減産強化で原油価格を押し上げると、シェールオイルの増産体制が強化され、OPECプラスの市場シェアを米国に譲り渡すだけの結果に終わる可能性も浮上する。

こうした観点からロシアは大規模な協調減産政策に慎重であり、ノバク・エネルギー相は追加減産の議論は行われていないとして、必要な際には「微調整」を行うとの立場に留めている。ロシア石油会社からも、現行の協調減産体制が終了する来年3月までは、政策調整の必要性はないといった発言も報告されている。エネルギー省筋は、米国のシェールオイル増産が鈍化していることを協議で考慮すべきとして、追加減産対応に疑問を投げ掛けている。

OPEC総会までは残り1カ月だが、今後1カ月はぎりぎりまで調整が続けられることになる。最終的には、追加減産対応が必要な状況になるとみられるが、1)追加減産対応で合意できるのか、2)合意できるとすればどのような時間軸になるのか、3)追加減産の規模はどうするのかなど、多くの不確実性を残した状態にある。政策調整の可能性が浮上していることで、原油相場が50ドル台を大きく割り込む必要性は薄れているが、60ドル台確立を打診することは困難だろう。中東産油国経済が破綻せず、かつ、シェールオイル増産が加速しない価格水準として、50~60ドルをコアとしたレンジの居心地が良い。
 (2019/11/29執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2019年11月04日「私の相場観」

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