イランのザンギャネ石油相が輸出国機構(OPEC)に対して、米国からの経済制裁に対して同国に対する支援を要求していることが明らかになりました。米国は、核合意からの離脱と同時にイランに対して経済制裁を科す方針を示していますが、それにイラン単独ではなくOPECとして対抗することを要求した格好になります。
Reuters=UPDATE 1-Iran seeks OPEC support against U.S. sanctions - letter
イランがこうした要請の根拠として掲げているのがOPEC憲章第2条になりますが、これは集団または個別で加盟国の利益を守ることを確認する一般条項であり、石油政策とは必ずしも関係ない今回の米国の経済制裁の動きに対して、OPECがイランと共同歩調をとることを要請するのは無理がありそうです。
【OPEC憲章第2条】

(出所)OPEC
ただ、ザンギャネ石油相はこれと同時に、現在マーケットで話題になっている協調減産政策の見直し議論には反対する意向を明らかにしました。一部加盟国が勝手にOPECを代表したような形で増産メッセージを発していることに強い不満を示しています。明らかにサウジアラビアを念頭に入れたものであり、6月OPEC総会ではサウジ=イランの対立が顕在化する可能性が浮上しています。
かつてとは異なり、仮にイランが協調減産緩和から造反してフル増産に踏み切ったとしても、米国の経済制裁が実施されればイランが増産を行う余地は殆ど存在しません。その意味ではイラン抜き政策調整を合意したとしても何ら問題はありませんが、イランの支援要請に対して同じシーア派のイラクなどが同調する動きをみせると、OPEC総会が波乱を起こす可能性が浮上します。これまで少なくとも石油政策においては強力な結束が保たれた状態が維持されてきましたが、対応を誤ると政治、軍事、経済に加えて石油政策でもサウジとイランとの対立が先鋭化する可能性があります。
サウジに接近するロシア、距離を保つイランと、OPECの枠組みは大きな転換期を迎えているのかもしれません。
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】
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マーケットエッジ(株)では、コモディティ市場と金融市場のレポート配信の他、講演のご依頼も承っています。まずはご相談下さい。
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イランがこうした要請の根拠として掲げているのがOPEC憲章第2条になりますが、これは集団または個別で加盟国の利益を守ることを確認する一般条項であり、石油政策とは必ずしも関係ない今回の米国の経済制裁の動きに対して、OPECがイランと共同歩調をとることを要請するのは無理がありそうです。
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ただ、ザンギャネ石油相はこれと同時に、現在マーケットで話題になっている協調減産政策の見直し議論には反対する意向を明らかにしました。一部加盟国が勝手にOPECを代表したような形で増産メッセージを発していることに強い不満を示しています。明らかにサウジアラビアを念頭に入れたものであり、6月OPEC総会ではサウジ=イランの対立が顕在化する可能性が浮上しています。
かつてとは異なり、仮にイランが協調減産緩和から造反してフル増産に踏み切ったとしても、米国の経済制裁が実施されればイランが増産を行う余地は殆ど存在しません。その意味ではイラン抜き政策調整を合意したとしても何ら問題はありませんが、イランの支援要請に対して同じシーア派のイラクなどが同調する動きをみせると、OPEC総会が波乱を起こす可能性が浮上します。これまで少なくとも石油政策においては強力な結束が保たれた状態が維持されてきましたが、対応を誤ると政治、軍事、経済に加えて石油政策でもサウジとイランとの対立が先鋭化する可能性があります。
サウジに接近するロシア、距離を保つイランと、OPECの枠組みは大きな転換期を迎えているのかもしれません。
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