小菅努の商品アナリスト日記

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palm oil

「持続可能なパーム油のための日本ネットワーク(JaSPON)」への期待


イオンやライオンなど18企業・団体は11日、食品や洗剤などで使われるパーム油の持続可能な調達を目指す団体を設立した。森林を破壊して植えたアブラヤシを原料とするパーム油を使っていないことを示す国際認証を取得し、関連商品を日本で広める。国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」に対応し、環境配慮の経営姿勢を打ち出す。

団体名は「ジャパン・サステナブル・パーム・オイル・ネットワーク(JaSPON)」。花王や資生堂など日用品や食品メーカーなども参加している。


資源生産の「持続可能性」は、地球規模の課題になっています。これまで企業は、いかに安価で資源を調達できるかを最重要視してきましたが、今やそのような企業活動は認められていません。特に投資家が企業活動が正しく行われているのかを厳しくチェックする中、環境を破壊するような資源生産は認められていません。

こうした中、東南アジアで産出されるパーム油は、大規模な森林破壊を伴うとして、大きな批判を浴びている農産物の一つになります。パーム油を取引している企業としては、購入・販売の停止と言う選択肢もありますが、日本では昨年10月22日に「持続可能なパーム油のための日本ネットワーク(JaSPON)」の立上げ宣言が行われ(参考:「持続可能なパーム油のための日本ネットワーク(JaSPON)」の立ち上げ宣言を行ないました 花王)、環境破壊を行わない持続可能性を模索する動きが始まっています。

このJaSPONが4月11日に正式に設立されました。パーム油生産で環境に負荷を与えていないか、労働者を酷使していないか、違法な生産活動は行われいないかなど、厳しいチェックが行われ、持続可能なパーム油の調達を企業の枠組みを超えて目指します。消費者にとってはコスト高に直結する動きですが、50年後、100年後の地球を考えた際に、こうしたコストは現代人が負担すべきものというのが、現在の国際コンセンサスになっています。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

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バイオ燃料も環境にやさしくない、EUは規制強化へ

欧州連合(EU)の交渉担当者は、輸送用燃料としてのパーム油使用を2030年までに中止することで合意したことを明らかにしました。政治的な影響も大きいためにまだ難航が予想されますが、2023年までは19年の水準に抑制し、その後は30年までに中止する方向で調整が進みます。

Reuters=EU to phase out palm oil from transport fuel by 2030

EUは温室効果ガス排出量を30年までに1990年比で40%以上削減することを法律で規定していますが、その一環になります。一般的には、植物を使うバイオ燃料は環境にフレンドリーと認識されていますが、欧州委員会の「2015年調査」では、パーム油や大豆油は直接的な温室効果ガスの排出は抑制されますが、生産のための森林破壊、泥炭地の排水による農地整備などで、間接的に温室効果ガスを大量に排出していると結論づけています。

温暖化対策が化石燃料からバイオ燃焼にも広げないと温室効果ガス削減目標は達成できない程に厳しい状況と言えますが、成長が続いてきたバイオ燃料にとって初めてともいえる大きな逆風が吹いています。現時点では、環境への影響が最も大きいとされるパーム油と大豆油に限定された議論ですが、バイオ燃料の生産環境にまで政策担当者の視線が向かっていることは大きな変化です。

こうしたEUのパーム油輸入停止については、昨年10月に2021年以降にパーム油を域内のバイオ燃料計画から外す方針が固まっていたことで規定路線に沿った動きともいえますが、マレーシア、インドネシア、タイなどの農村部に与える影響も大きそうです。

かといって、コーヒーや天然ゴムに作替えしても、現状では収益環境の厳しさは変わらない見通しです。ここ数年は価格低迷を嫌った天然ゴムからパーム油への生産シフトの動きも報告されていましたが、東南アジアの農家にとっては何を生産するのがベストなのか、難しい判断が求められます。

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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