欧州連合(EU)の交渉担当者は、輸送用燃料としてのパーム油使用を2030年までに中止することで合意したことを明らかにしました。政治的な影響も大きいためにまだ難航が予想されますが、2023年までは19年の水準に抑制し、その後は30年までに中止する方向で調整が進みます。

Reuters=EU to phase out palm oil from transport fuel by 2030

EUは温室効果ガス排出量を30年までに1990年比で40%以上削減することを法律で規定していますが、その一環になります。一般的には、植物を使うバイオ燃料は環境にフレンドリーと認識されていますが、欧州委員会の「2015年調査」では、パーム油や大豆油は直接的な温室効果ガスの排出は抑制されますが、生産のための森林破壊、泥炭地の排水による農地整備などで、間接的に温室効果ガスを大量に排出していると結論づけています。

温暖化対策が化石燃料からバイオ燃焼にも広げないと温室効果ガス削減目標は達成できない程に厳しい状況と言えますが、成長が続いてきたバイオ燃料にとって初めてともいえる大きな逆風が吹いています。現時点では、環境への影響が最も大きいとされるパーム油と大豆油に限定された議論ですが、バイオ燃料の生産環境にまで政策担当者の視線が向かっていることは大きな変化です。

こうしたEUのパーム油輸入停止については、昨年10月に2021年以降にパーム油を域内のバイオ燃料計画から外す方針が固まっていたことで規定路線に沿った動きともいえますが、マレーシア、インドネシア、タイなどの農村部に与える影響も大きそうです。

かといって、コーヒーや天然ゴムに作替えしても、現状では収益環境の厳しさは変わらない見通しです。ここ数年は価格低迷を嫌った天然ゴムからパーム油への生産シフトの動きも報告されていましたが、東南アジアの農家にとっては何を生産するのがベストなのか、難しい判断が求められます。

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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

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