小菅努の商品アナリスト日記

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coffee

コロンビアで、コーヒーからコカイン生産にシフト?


The lowest international coffee prices in a decade are leading many despairing farmers in Central and South America to abandon their farms, fuelling fears of an industry crisis.

コーヒー相場の低迷が深刻化していますが、ブラジルでは通貨レアル安の影響もあって農家収益に対するダメージは限定され、なかなか生産調整が進まない状況です。輸出は減るどころか増えており、昨年の過去最高の豊作に続いて、今年も豊作予想が優勢です。

コロンビア政府は補助金などでコーヒー農家支援に動いていますが、Financial Timesはコーヒー生産をあきらめてコカインの原料であるコカ生産にシフトしていると報じています。コロンビアでは、もともと低取得の農家がコカの生産に携わっていましたが、食料生産へのシフトを促すことで、コカイン生産を抑制することを目指していました。その受け皿の一つにコーヒーもありましたが、一部農家がコカの誘惑に負けてしまっている模様です。

具体的な数値が出ていないので(数字があるのでしょうか?)詳しいことは分かりませんが、コロンビアでコーヒー生産が減少する事態になると、違法薬物であるコカが増産されてしまうのでしょうか。やはり農産物は安ければ良いというものではありませんが、国境と関係なく流通する農産物に関しては、ブラジルでは問題ないがコロンビアでは悲劇といった地域間格差がどうしても生じてしまいますね。なお、コーヒーの需給分析的には、天候不順がないと少なくとも今後2年程度は厳しい相場環境になりそうです。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

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コーヒー価格が歴史的低迷

コーヒー価格が歴史的低迷
ブラジルの豊作が脅威に

コーヒー価格が急落している。国際指標となるICEアラビカコーヒー先物相場は、1年前の1ポンド=120セント水準に対して足元では100セントの節目割れ定着を打診する展開になっている。背景にあるのは、最大生産国であるブラジルからの強力な供給圧力である。

 ブラジル食糧供給公社(Conab)は昨年12月、同国の2018年のコーヒー生産高が過去最高となる6165万袋に達したと発表した。これは前年比で27%の急増となる。5月時点の5804万袋が9月時点では5990万袋まで引き上げられていたが、10~12月期に土壌水分を緩和する潤沢な降雨が観測されたこともあり、ついに6000万袋の大台に乗せている。

ブラジルのコーヒー生産は隔年で増産と減産を繰り返すが、18年は増産年となる表作に該当するため、もともと高めの生産水準が想定されていた。しかし、6165万袋の生産高はサプライズ感が強く、過去最大規模の供給圧力に直面する中、コーヒー相場は値下がり対応を迫られている。

19年は逆に裏作になるため、少なくとも18年の生産水準からは下振れすることが確実視されている。ただConabの推計だと5048万~5448万袋まで11.6~18.1%の減産見通しに留まっており、裏作としては驚異的な生産規模が想定されている。18年の豊作で積み上がった在庫に加えて、19年も現在の生産高見通しが実現すれば、20年の表作には更に強力な供給プレッシャーに直面する可能性も警戒され始めている。専ら供給サイドの要因で値下がり対応を迫られている。

通常だと、コーヒー相場は低迷すると農薬や肥料投資などが十分に行えず、病害の発生やイールドの低下によって、不作リスクが高まることになる。しかし、近年は生産技術の向上もあって豊作が当たり前の状態になりつつあり、潤沢な在庫をさばけない状態が恒常化するリスクさえ警戒され始めている。

従来の常識では、100セントを割り込めば農家が在庫売却を止めることで、相場は下げ止まることになる。実際に昨年9月に100セント台を割り込んだ際も、短期間で反発に転じている。13年や15年も100セントが近づくと荷動きの鈍化で下げ止まる傾向にあったが、今季は100セント割れが定着化している。

あまりに大量の荷を抱える中、従来よりも農家の在庫売却可能ラインが切り下がっている模様だ。また、ブラジル通貨レアルの水準が低くなっているため、通貨要因でもドル建てコーヒー相場の安値低迷が許容されている。何らかの天候障害が発生するか、レアル相場の急伸が見られないのであれば、コーヒー相場の本格的な反発は難しい情勢になりつつある。

(2019/03/20執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2019年3月25日「私の相場観」

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レアル安で加速するコーヒー安

レアル安で加速するコーヒー安
12年ぶりの安値を更新

焙煎用コーヒーなどに使用されるアラビカコーヒー相場が急落している。ICEコーヒー先物相場は、年初から5月にかけては1ポンド=120セント水準での取引が続いていたが、6月以降に下落ペースが加速し、8月にはついに100セントの節目も割り込む場面が観測されている。これは、実に2006年8月以来の安値更新であり、12年前の価格水準に回帰した格好になっている。

こうしたコーヒー相場急落の最大の要因は、ブラジル通貨レアル相場の急落である。米国の利上げサイクルが進む中、特に今年に入ってからは新興国通貨全体の下落傾向が目立つ状況になっているが、ここにきてレアルの下げ幅が際立って大きくなっているのだ。対ドルレートでみると、8月は29日時点で7月末から10.1%の急落相場になっている。

一般的に農産物の生産国通貨が下落すると、ドル建て換算した際の採算性が向上するため、供給量の増加圧力に直結することになる。アラビカコーヒーに関しては、世界全体の生産高の43.8%がブラジル一カ国で生産されている関係で、特にレアル相場の動向はコーヒー相場の動向に対して極めて大きな影響力を有している。そのレアル相場が対ドルで10%を超える急落となっていることは、ブラジルの農家にとっては売却収入が10%増加することを意味し、必然的に在庫売却圧力は強化されることになる。

特に足元ではブラジル産コーヒーが収穫期を迎えているため、世界各地に収穫済みの荷が出荷されるタイミングを迎えている。こうした中、レアル安はブラジルからの荷動きを必要以上に活発化させる可能性が高く、足元では余りに大量の荷が港湾に集まる中、出荷の遅れさえ報告される状況になっている。

すなわち、豊作環境でもともと需給緩和がイメージされ易かった相場が、レアル安の影響で下落ペースを加速させているのが現状である。では、なぜレアル相場は急落しているのか。一つがトルコリラ急落に象徴される新興国通貨の不安定化だが、ブラジル固有の材料として10月7日のブラジル大統領選に対する警戒感が指摘されている。汚職などで収監中のルラ元大統領が出馬に意欲を示しているが、世論調査では元大統領が高い支持率を得ている。実際にルラ元大統領の出馬が可能なのかは疑問もあるが、マーケットではブラジル世論が痛みを伴う改革ではなく、ポピュリズム性向の強い安易な財政拡張作にあることが強く警戒されている。

仮にこのままのペースでレアル安が続くと、コーヒー需給とは関係なく通貨要因のみで更に大きな値崩れを起こす可能性もある。9月には米国の追加利上げがほぼ確実視される中、レアル相場の下げ止まりが可能か否かが、コーヒー相場の行方を決定づけることになる。そして、これと同様の現象は砂糖相場でも観測されている。一部の国に生産が集中する農産物は、通貨環境によって急騰と急落双方のリスクを抱えることになる。
(2018/08/29執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年9月3日「私の相場観」

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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