小菅努の商品アナリスト日記

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ブラジルで穀物輸送ルートの橋が崩落


ブラジルで6日未明、北部パラ州の川にかかっていた橋が倒壊し、同国北部の主要港に接続する道路が一部不通となった。今後、大豆やトウモロコシなどの輸出に影響が出る可能性がある。ブラジルでは1月に鉱山ダムが決壊し、鉄鉱石の輸出が落ち込む事態が発生したばかり。脆弱なインフラが世界の商品市況に影響を与えるリスクが相次ぎ露見している。

大手紙エスタド・ジ・サンパウロ(電子版)は6日、今回の事故の影響を受ける港はブラジルの大豆の輸出の10~20%を占めるという農業専門家の声を伝えている。ブラジルの穀物輸出は米国と並び世界最大級。


“It will probably take years for that bridge to be rebuilt,” he said by telephone.

The consultant noted the bridge was located some 50 kilometers (31 miles) from Belém, capital of Pará state, where three major grain loaders operate, including Archer Daniels Midland Co, Bunge Ltd and Hidrovias do Brasil SA.

Melby said barge traffic would not be affected on the Tocantins and Amazon rivers, which use river ports including Vila do Conde and Barcarena. Some 10 to 20 percent of the soy grown in Brazil’s center west is delivered by road at those ports, he said.

出典:Reuters



ブラジル北部で大西洋に隣接するパラ州の河に掛かっている橋が崩壊しました。フェリーが橋脚にぶつかった影響です。この橋は、内陸部から北部港湾とを結ぶ穀物の主要輸送ルート上にあるため、穀物輸出フローにも影響が生じる可能性があります。各種メディアの報道だと、ブラジル中西部の大豆輸出の10~20%がこの橋を使って港湾まで輸送されている模様です。

人命救助が優先されているために詳細は不明ですが、普及までには年単位の時間が必要との輸送業者の声も報告されています。代替輸送ルートは存在する模様ですが、輸送経路の修正は間違いなくコスト増大要因になります。よりコストの低い輸送ルートが存在するのであれば、最初からそちらを使用していますからね。

ブラジルは現在、大豆、トウモロコシ(一期作)がともに収穫期の終盤に差し掛かっていますが、ただでさえ脆弱なインフラで輸送の遅れが警戒されているタイミングで、重要輸送ルートが破綻してしまいました。米国産輸出価格に押し上げ圧力が発生すると、シカゴの定期相場でもサポート要因になります。週明けのスポット市場の動向に注目したい所です。

もっとも大きな影響を受けるのは中国ですが、米中通商協議への影響まで想定しておく必要があるでしょう。

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(画像出所)Google Map

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大豆在庫見通しの引き上げ続く、米中首脳会談は転換期になるか

大豆在庫見通しの引き上げ続く、米中首脳会談は転換期になるか

米国産大豆需給が緩和している。米農務省(USDA)が11月8日に公表した最新の需給報告(WASDE)では、2018/19年度の米国産大豆の期末在庫見通しが前月の8.85億Bu(在庫率は20.7%)から9.55億Bu(同23.3%)まで引き上げられている。これで大豆在庫見通しの上方修正は5カ月連続のことになる。

今季は収穫期に秋の長雨に見舞われた結果、大豆のイールド(単収)は前月の53.1Bu/エーカーから52.1Buまで、今季初の下方修正になっている。過去最高のイールド環境に変化は見られないが、これによって生産高見通しは前月の46.90億Buから46.00億Buまで下方修正されている。

しかし、今報告では輸出需要見通しが前月の20.60億Buから19.00億Buまで大幅に下方修正された結果、在庫見通し引き上げのトレンドに修正を迫ることはできなかった。

こうした厳しい需要評価の背景にあるのは、米中貿易戦争である。大豆は中国が世界最大の輸入国であり、18/19年度は世界で輸入される大豆総量1億5,227万トンに対して、中国のみで9,000万トンと、約6割の世界シェアを有している。この中国が貿易戦争の報復課税でコスト高になり、しかも通商交渉のツールとして政治的要因からも米国産大豆の輸入量を抑制する中、米国産大豆需給は緩和している。

当然に中国の大豆需要が消滅した訳ではないため、米国産の代わりとして南米産大豆への引き合いが強くなっている。南米では逆に品薄感が強くなっている。このため、従来であれば南米産大豆を調達していた消費国が、貿易戦争の影響で割安になった米国産大豆調達に動いているため、必ずしも「中国の米国産大豆輸入減少=米国産大豆の輸出減少」となる訳ではない。しかし、サプライチェーンの混乱は米国産大豆の輸出見通しを4年ぶりの低水準にまで押し下げており、豊作で緩和していた米国産大豆需給を、需要サイドから更に緩和させる状況に陥っている。

無題















米国産大豆の期末在庫は13/14年度には僅か0.92億Bu(在庫率は2.6%)に留まっていたが、14/15年度以降は豊作の影響もあって5年連続で在庫積み増しが進む見通しになっている。17/18年度の4.38億Bu(同10.2%)から9.55億Bu(同23.3%)までの在庫急増が予想されているが、米中貿易戦争の影響が否定できない状況にある。

それだけに、11月30日~12月1日の20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせて予定されている米中首脳会合の結果次第では、米国産大豆の輸出需要見通しが大幅に引き上げられる可能性を抱えている。これまでの反動もあって中国が米国産大豆の輸入再開に踏み切れば、大豆需給の緩和状態を否定することは難しいものの、在庫の余剰感は薄れることになる。

実際に、11月1日に米国のトランプ大統領と中国の習国家主席が電話会談を行ったことが確認されると、CBOT大豆先物相場は10月末の1Bu=851.75セントから11月2日の900.75セントまで急伸し、8月20日以来の高値を更新している。

今年の大豆相場は、豊作と米中貿易戦争の影響で安値低迷状態が続いているが、米中首脳会談の結果によっては900~950セント水準までコアレンジを切り上げる可能性を抱えている。トランプ大統領の決断に強く依存する予想が難しいイベントだけに、11月末から12月初めにかけて大豆相場はこのまま安値低迷状態で年末を迎えるのか、それとも安値是正に向かうのか、大きな分岐点を迎えることになる。

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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)大豆在庫見通しの引き上げ続く、米中首脳会談は転換期になるか(Yahoo!ニュース)

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過去最高の豊作が実現

過去最高の豊作が実現
シカゴ穀物相場は軟調

米穀倉地帯では2018/19年度産の収穫が本格化し始めている。春先の作付けから夏の受粉期を過ぎ、成熟した穀粒を農地から回収する時期を迎えている。今年は世界的に熱波が深刻化し、それは米国においても例外ではなかった。主要穀倉地帯ではノースダコタやサウスダコタ州などでも土壌水分不足が深刻化し、十分な収量を確保できるのか疑問の声も上がっていた。しかし、天候相場を通じてみると不作を招くまでの深刻な干ばつ被害が発生した訳ではなく、最終的には豊作実現がほぼ確実な情勢になっている。

米農務省(USDA)の最新報告によると、トウモロコシのイールド(単収)見通しは181.3Bu/エーカーであり、前年度の176.6Buを2.7%上回る過去最高の豊作状態が報告されている。これでトウモロコシのイールドが過去最高を更新するのは3年連続であり、多少の天候トラブルでも傾向イールドを大きく上回るのが可能な状態になっている。品種改良や農業技術進展の影響などが指摘されているが、従来の気象環境とイールドとの関係性を見直す必要性さえ浮上している。

大豆のイールド見通しも52.8Buであり、前年度の49.1Buからは7.5%の上振れになる。これは16/17年度に次ぐ過去最高の更新であり、今年はトウモロコシと大豆がともに過去最高のイールドを記録する歴史的な豊作環境が実現したことになる。

ただ、マクロ需給環境の評価はトウモロコシと大豆とで大きく異なる。トウモロコシに関しては、2年連続で作付面積を削減していることもあり、総供給量ベースだと16/17年度の169.37億Buをピークに168.79億Buまで小幅ながら減少する見通しになっている。即ち、作付面積の減少が豊作ショックをある程度まで相殺する見通しになっている。一方、総需要は3年連続で過去最高を更新する見通しであり、期末在庫だと16/17年度の22.93億Buから17/18年度が20.02億Bu、18/19年度が17.74億Buと、急ピッチな在庫減少傾向が想定されている。

例年、収穫時期を迎える9月のトウモロコシ相場は軟化し易いが、過去の在庫率と価格との関係性をみると、9月の1Bu=350セントを割り込むような展開には過熱感が強い。例年9月前後にトウモロコシ相場は底入れする傾向にあり、現状は年間最安値を出し尽くす時期との評価になる。

一方、大豆は作付面積の十分な削減が進まないこともあり、5年連続で在庫積み増しが想定されている。期末在庫見通しは17/18年度の3.95億Buから8.45億Buまで急増する見通しであり、大豆相場が大きく上昇する余地は殆んど存在しない。しかも、米中貿易摩擦で中国向け輸出に不透明感が強く、更にはアフリカ豚コレラ(ASF)といった飼料需要環境に対する不透明感を高める動きもある。仮に底入れしても本格反発は難しく、安値低迷状態が続こう。
(2018/09/19執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年9月24日「私の相場観」

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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