小菅努の商品アナリスト日記

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天然ゴム、国内在庫急増で実勢悪い

天然ゴム、国内在庫急増で実勢悪い

天然ゴム先物相場(RSS)は、2月上旬の1kg=180円水準に対して3月4日の209円50銭まで急伸し、昨年1月以来の高値を更新した。中国の全国人民代表大会を前に、景気刺激策への期待感が上海株価の急伸を促し、つれて上海ゴム相場も急伸した結果である。しかし、その後は上海株価が高止まりする中でも上海ゴム相場は急反落に転じ、つれて東京ゴム先物相場も180円水準まで軟化する、いわゆる「往って来い」型の値動きになっている。

その間の東商取生ゴム指定倉庫在庫をみてみると、1月末の7890トンが2月末には9477トンまで急増し、3月20日時点ではさらに1万2095トンまで急増している。特に2月下旬以降は神奈川地区に3旬連続で1000トン以上の入庫が報告されており、価格高騰が産地から国内に荷を呼び込んだことは明らかである。昨年4月の直近ピークとなる1万3792トンに迫っており、このまま現在の入庫ペースが維持されると、4月上旬にも1万5000トンに到達する可能性も想定しておく必要がある。

こうした在庫積み増し圧力と整合性が取れるように、納会値は1月限の199円50銭が2月限の190円60銭、3月限の180円30銭と、毎月10円程度のペースで値下がりしている。期先限月は昨年11月以降、最大で58円50銭(38.7%)もの急伸相場を形成したが、ゴム需給の実勢を反映しない高騰相場が需給をゆがめ、価格低下圧力が発生しているのが現状と言えよう。

生産国は、ゴム相場の反発と減産期にタイミングを合わせて輸出規制を導入することで、ゴム相場のコアレンジ切り上げを意図していた。本来であれば4月1日からスタートする予定だったが、タイでは総選挙を経ても政権樹立ができない政治の空白状態に陥っており、比例代表の結果が判明する5月まではタイ抜きでの市況対策となる。インドネシアとマレーシア当局者は困惑を隠せておらず、輸出規制の実効性が担保できるのか不透明感が強くなっている。

ゴム需給の実勢の悪さを反映するように、東京ゴム先物相場はきれいな順サヤを形成しており、典型的な弱気の相場パターンになっている。これから産地は減産期のピークに向かうことになるが、期先限月は逆に生産期のピークに向かうことになる。過去30年の月別騰落率だと4月は平均で2.6%安であり、全ての月の中で最悪のパフォーマンスになっている。そして6月が2.1%安で二番目のパフォーマンスの悪い月であり、季節性からみても3月高値を上抜くのは難しいだろう。

必要以上の値上がりがもたらした需給緩和圧力、そして弱気に傾斜しやすい季節性を背景に、値下がり傾向は維持されよう。200日移動平均線のある170円台中盤を下抜き、150〜160円水準まで改めて値下がりするリスクを想定したい。
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(2019/04/01執筆)
(出所)時事通信社「アナリストの目」2019/04/02

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タイのゴム輸出規制参加は5月20日から

Indonesia, Malaysia Thailand agree to cut rubber exports

Indonesia, along with two other members of the International Tripartite Rubber Council (ITRC) -- Malaysia and Thailand – will cut the export of natural rubber in an attempt to stabilize the commodity’s global price.

Starting April 1, Indonesia will cut rubber exports by 98,160 tons over the next four months, while Malaysia will cut the export by 15,600 tons and Thailand, the largest rubber producer, will cut 126,240 tons starting May 20.

The Trade Ministry’s head of trade assessment and development agency, Kasan Muhri, said the move was part of the ITRC’s sixth Agreed Export Tonnage Scheme (AETS), which aimed for a combined reduction of rubber exports of 240,000 tons.

出典元:The Jakarta Post

第6次AETSの詳細がなかなか明らかにされていませんでしたが、インドネシアから具体的な数値が報告されています。

・タイ 12万6,240トン
・インドネシア 9万8,160トン
・マレーシア 1万5,600トン

となります。タイの政局をめぐる混乱で予定通り実行されるのか不透明感も強くなっていましたが、4月1日からの実行が確認されています。ただ、タイについてはやはり国内承認手続きが遅れている模様であり、5月20日と遅れて開始されることになります。

毎月の輸出規制量が一定と仮定すると、本来だと4月は6万トン程度の輸出削減が予定されていましたが、タイの遅れによって2万8,440トンに留まる計算です。マーケットの大きな反応は一段と期待しづらい数値になってしまいました。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

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ゴムの値下りリスク高まる

ゴムの値下りリスク高まる
減産期の織り込みは終了

東京商品取引所の天然ゴム先物相場は、昨年11月21日の1kg=151.00円をボトムに今年1月21日の193.40円まで急伸したが、2月上旬は180円水準まで高値から下押しされる展開になっている。年末年始の急伸地合に関しては特段の新規材料は見当たらない。年末にかけて原油や株価が急落したことを考慮すれば、寧ろ急落しても違和感のない相場環境であった。しかし、ゴム相場は季節サイクルを織り込む形で、約2カ月で28.1%の急伸地合を形成した。

天然ゴムは、穀物などとは異なり樹皮を削って樹液を採取するため、原則として年間を通じて生産が可能である。ただ、乾季にはゴムの樹液の出が悪くなるため、一般的には生産活動が鈍化し、殆ど集荷が行われなくなる。地域的な違いはあるものの、例年だと4月に減産シーズンのピークが到来する傾向にある。このため、期先が減産期に差し掛かると、ゴム相場に対しては季節的な上昇圧力が発生する傾向にあり、昨年と同様に今年も年末年始を挟んだ上昇圧力が観測されている。

ただ、季節性を反映して上昇したのであれば、減産期が生産期に移行すれば、ゴム相場の上昇は正当化できなくなる。既に東京ゴムの期先限月は7月限になっており、一般的にこの時期にまで減産状態が続いていることはない。5~6月に関しては、乾季が長期化するハードウィンタリングと呼ばれる異常気象になると減産状態が維持されるが、期先限月の季節要因は値上がりよりも値下りを支持することになり、これが足元でゴム相場の上値を圧迫する背景になっている。過去のデータを振り返ってみても、2~6月のゴム相場は下落する傾向が強く、概ね季節トレンドに沿う形の反落局面を迎えた状態と評価している。

高値は2018年1月が216.30円だったの対して今年1月は193.40円であり、同じ季節要因で上昇した相場だが、10.6%値位置が切り下がっている。ゴム相場のマクロ環境としては、需給緩和による値下がり傾向が続いていることが確認できる。このため、季節性による値下りリスクが警戒される局面だが、仮に生産期に向けて高値を維持するシナリオが存在するとすれば、それは生産国の市況介入だった。減産期に生産・出荷制限をおこなえれば、季節性に基づく値下り圧力を否定できる可能性もあるためだ。

このため、昨年10~12月期から市況対策の議論は活発に行われていたが、実際には何ら目立った動きはみられない。12月、1月と議論は続けられていた模様だが、上述のように季節性でゴム相場が反発したこともあり、生産国の介入意欲は一気に後退しており、現時点では介入の議論は立ち消えになっている。季節性に基づく上昇相場が、季節性に基づく下落相場に転換する時期を迎えている。このまま生産国が無為無策の状態を維持すれば、一気に160円水準まで下げる可能性もある。
(2019/02/06執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2019年2月11日「私の相場観」

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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