小菅努の商品アナリスト日記

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新型コロナで原油価格が今年最安値を更新、本格化する産油国の調整

新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済の先行き不透明感が強まる中、原油価格が改めて値下がりしている。指標となるNY原油先物価格は、2月4日の1バレル=49.31ドルで下げ一服となり、20日の54.66ドルまで急反発していたが、25日の取引で再び50ドルの節目を割り込み、26日は昨年1月以来の安値となる49ドル台中盤まで値下がりしている。

中国における新規感染者数の増加ペースが鈍化する中、2月中旬は新型コロナウイルスの感染被害が徐々に終息に向かい、世界経済も段階的に正常化に向かうとの期待感が強くなっていた。しかし、22日以降は韓国、イタリア、イランなどで感染経路が把握できない新規感染者が大量に報告されていることで、中国から世界各地への感染被害拡大が進んでいるとの警戒感が広がっている。

ここで注目されるのは、産油国の動向だ。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどのいわゆるOPECプラスは、追加減産対応の議論を行っているが、結論を出すことができていない。2月4~6日に開催された合同専門委員会(JTC)では、昨年12月に日量120万バレルから170万バレルまで拡大した協調減産枠を、更に50万バレル拡大することが勧告された。

中国を筆頭に世界経済が急減速したことで、石油需要見通しも急激に悪化し、国際原油需給バランス・価格が不安定化していることに対応するものである。OPEC加盟国は総じてJTCの勧告内容を受け入れているが、ロシアが更に減産規模を拡大することに慎重姿勢を崩しておらず、未だに明確な態度を示すことができていない。当初はJTCの勧告に対して1週間程度で立場を明らかにするとしていたが、3月6日に予定されているOPECプラス会合に結論を先送りしている。

OPECは原油価格の急落に強い危機感を抱いており、当初は2月中旬にも緊急会合を開催して、直ちに追加減産を実行に移し、原油需給・価格の安定化を目指す意向を有していた。しかし、ロシア国内では追加減産による市場シェアの喪失にも強い警戒感があり、減産期間の延長には理解を示しているものの、減産規模の拡大には慎重姿勢を示していない。追加減産勧告に対する態度を保留したまま、時間ばかりが経過している状況にある。

こうした中、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は25日、「OPECプラスは責任のある対応を行うと信じている」として、間接的にロシアに対して追加減産対応への支持表明を促した。ロシア政府と協議を続けており、協調関係には自信を持っているとして、原油需給・価格の安定化にOPECプラスが協調対応を継続するとの見通しを示した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の電子版は21日、新型コロナウイルスへの対応でサウジアラビアとロシアとの間に意見対立があり、OPECとロシアの協調関係が終わる可能性を報じている。アブドルアジズ・エネルギー相は「全くばかげている」とこの報道を完全否定している。しかし、ロシアが3月6日の会合までに減産規模の拡大に支持表明ができない場合、1)更に協議を継続するのか、2)ロシア抜きでOPECのみで追加減産を実施するのか、3)OPECとロシアの協調関係を終了させるのか、サウジアラビアは極めて難しい選択を迫られることになる。

サウジアラビアとロシアの協力関係は、中東における米国のプレゼンスが低下しているここ数年、石油政策のみならず政治、経済、軍事と広範囲にわたっており強化されている。このため、簡単に石油政策における協調関係が破綻になる可能性は低いが、来週にかけてのロシアの動向は極めて大きな意味を持つことになる。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)新型コロナで原油価格が今年最安値を更新、本格化する産油国の調整(Yahoo!ニュース)
※図表はリンク先の記事参照。

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ガソリン価格は2週連続で下落、新型肺炎の影響はこれから

資源エネルギー庁の「石油製品価格調査」によると、2月3日時点のレギュラーガソリン小売価格の全国平均は1リットル=151.2円となり、前週から0.3円値下がりした。これでガソリン価格の値下がりは2週連続になる。

昨年10月の米中通商合意を受けての世界的な株高環境、更に今年は年初に中東の地政学リスクが高まったことを背景に、1月20日には2018年11月26日以来の高値となる151.6円まで値上がりしていた。しかし、その後は国際原油価格が急反落していることもあり、2週間で0.4円という緩やかなペースではあるが、ガソリン価格は値下がりし始めている。

このような値動きだけをみると、中国を中心に広がりを見せる新型コロナウイルスの感染被害の影響が出始めたと勘違いされ易い。しかし、現在のガソリン小売価格に対する新型コロナウイルスの影響は限定的だろう。原油調達コストとガソリン価格との間には2~3週間程度のタイムラグが発生するのが一般的であり、足元の原油安は主に1)米国とイランとの全面的な軍事衝突が回避されたことに伴う安堵感、2)季節的な国際原油需給の緩和見通しを反映したものに過ぎない。

新型コロナウイルスの影響を織り込むのはこれからであり、ガソリン価格は更に値下がりし易い。NY原油価格をみてみると、1月8日の1バレル=65.65ドルをピークに、2月4日には一時49.31ドルまで、最大で24.9%急落している。ただ、足元のガソリン小売価格の急落はこの急落地合の初期段階の値動きを反映したものに過ぎず、これから原油価格が突然に急反発するようなことがなければ、更に値下がりする可能性が高い。

国内指標となる東京商品取引所(TOCOM)のガソリン先物価格(期近物)は、1月8日の1キロリットル=6万2,400円から、2月5日時点では5万0,520円まで、最大で1万1,880円下落している。1リットル当たりだと11.88円の値下がりであり、このまま国際原油価格の低迷状態が続けば、ガソリン価格は昨年9月17日の142.90円水準まで更に下落する可能性も十分にある。

中国の新型コロナウイルスは、市民生活のみならず実体経済にも大きな影響を及ぼしている。各国が中国との間で、そして中国国内でもヒトとモノの移動を制限する動きが強くなっており、輸送用エネルギーとしてのジェット燃料、重油、ガソリンなどの需要は大きく落ち込んでいる。

中国国内の製油所は末端の石油製品需要の減少に対応するため、2月には製油所稼働率を大幅に引き下げる方針とみられる。当然に原料である原油のニーズも低下することになり、輸入契約のキャンセル、輸入量の削減といった動きも報告され始めている。このまま中国経済の停滞が更に深刻化、長期化すると、原油価格の低迷状態が日本のガソリン価格も更に押し下げる可能性が高まる。

新型コロナウイルスに伴う原油安効果がガソリン価格に反映されるのはこれからである。人の集まる観光地へのドライブは躊躇されがちな状態だが、ガソリン価格はドライバーの財布に優しい状態に向かい易い。
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

※図表はリンク先の記事参照。

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OPECプラスは緊急会合開催か? 一変した産油国の危機感

新型コロナウイルスの感染被害は、感染被害拡大に対する漠然とした不安心理から、実体経済減速に対する警戒感へと、ステージを切り上げつつある。これに応じて、産油国の動きも活発化し始めている。

NY原油先物相場は、中東情勢が緊迫化した1月8日の1バレル=65.70ドルをピークに、1月31日終値で51.60ドルまで急落している。当初は石油輸出国機構(OPEC)も、一時的なパニック状態に過ぎないとの楽観的な見方を示していた。例えば、1月27日にOPECのアルカブ議長は、「世界の石油需要への影響は小さいだろう」として、状況を注視するが対応は不要との認識を示していた。27日にはサウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相も、「石油需要への影響は極めて限定的にも拘らず、主に心理的な要因や極端にネガティブな見通しの影響を受けている」として、過剰反応は不要との認識を示していた。

しかし、30日には世界保健機関(WHO)が緊急事態を宣言するのと前後して、中国経済、更には世界経済への影響が警戒される事態になる中、いよいよ対策に乗り出し始めている。OPECバスケットプライスが60ドルの節目を完全に割り込んだことも、産油国の危機感を高めている模様だ。

OPECやロシアなどのいわゆる「OPECプラス」は、協調減産によって石油需給・価格の安定化を目指しているが、本来であれば3月6日に4月以降の対応を協議する予定になっていた。しかし、ここにきて政策調整に慎重だったロシアも対応に前向きな姿勢を示しており、2月4~5日にオーストリアのウィーンで緊急会合を開催する方向で調整が進んでいる。まだ正式な発表は行われていないが、OPECプラスも現状を「有事」と考え始めていることが確認できる。

OPECは今年の世界石油需要について、昨年の日量9,977万バレルから1億0,098万バレルまで122万バレル(1.2%)増加すると予想している。この数値を前提に政策調整を行っているが、中国や世界経済が急減速すれば、需要が予想されていた程に伸びず、大幅な供給過剰状態に陥る可能性が高まることになる。

対策といっても、現時点では世界石油需要がどの程度の影響を受けるのかは、誰も精度の高い推計を行うことができない状態にある。ヒトとモノの移動が制限されれば、航空機のジェット燃料、船舶の重油などの需要が落ち込むのは必至であり、経済活動が停滞すれば原油需要そのものが大きく落ち込む可能性もある。一方で、通年ではそれ程大きな影響は生じないとの見方もあり、難しい対応を迫られることになる。

「3月末までとされている減産期間の延長」、「減産規模の拡大」のいずれか、もしくは両方が通常の選択肢になる。ただ、いずれにしても数日間で産油国も対応を一変せざるを得ない程に、新型コロナウイルスの脅威が急激に高まっていることは間違いなさそうだ。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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