小菅努の商品アナリスト日記

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platinum/palladium

Sibanye StillwaterとAMCUが基本合意、ストは終結へ

Sibanye-Stillwater and AMCU conclude gold strike

− signing the 2018 three-year wage agreement* previously signed with National Union of Mineworkers (the NUM), Solidarity and UASA in respect of wages and conditions of service for the period 1 July 2018 to 30 June 2021 

− affirm commitment to conclude a peace pact within 30 days 

− abide by the decisions of the court and that no further appeals will be instituted or pursued 

− developing and implementing, along with other stakeholders, a plan to ensure a safe start and ramp-up of production post-strike, and to promote and ensure sustainable safe production together with the company 

出典:Sibanye-Stillwater(PDF

Sibanye-Stillwaterにおける労働組合AMCUのストライキが終結しました。昨年11月から5ヵ月にわたるストライキは、金鉱山のみならずプラチナ鉱山にも波及する兆しを見せていましたが、漸く最終合意に至っています。

1年目は5.5%、2~3年目は5.5%かインフレ率の高い方の賃上げが実施されることになります。基本的には11月14日にNUMやUASAなどと合意した賃上げ率と同じですが(参考:Sibanye-Stillwater signs three-year gold wage agreement with three unions)、4,000ランドの一時金、給料の前払い、負債管理や金融教育、ストからの職場復帰の交通手段提供など、幾つかの追加の各種補償を付け加えることで合意しました。

AMCUは、来週中には労働者が職場復帰するとの見通しを示しています。金鉱山のストライキがプラチな鉱山に波及する当面のリスクが解消されたことは、プラチナ相場急伸シナリオの一つが破綻したことを意味します。南アフリカでは、まだ電力供給問題などが残されていますが、5ヵ月間も労使でぎりぎりの調整を行う必要があったのか疑問視されるような合意内容で一つの問題がクリアされた格好になります。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

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プラチナ鉱山業界の新戦略発表されるも

南アフリカ鉱山カウンシル(Minerals Council South Africa)が新戦略を発表していますが、プラチナ業界の厳しさが再認識されます。
A NEW STRATEGY FOR THE PLATINUM SECTOR

At the end of 2018, more than 65% of PGM operations, representing 52% of PGM production were marginal or loss-making at prevailing prices

Approximately 89,964 jobs are currently at risk at these marginal operations

On an aggregated basis, total industry production costs measured in tonnes milled will increase by 29.6% between 1 April 2019 and 1 April 2021

By the end of 2021 Eskom tariff increases will result in 75% of PGM operations being marginal or lossmaking, representing 67.2% of production and threatening 111,766 jobs

プラチナ価格の低迷に加えて、国際需給の構造変化(労働争議、新規鉱山供給の横這いと弱い需要、リサイクルの拡大、生産性の低下、コストの上昇加速)への対応が課題として掲げられています。

特にコストに関しては、2018年末で生産量ベースで52%が限界コストラインもしくはそれ以下にもかかわらず、2019年4月から21年4月までに単位コストが29.6%増加することが見込まれています。電力料金が上がれば、67.2%が限界コストラインもしくはそれ以下になり、11万1,766人の雇用が危機に晒されるとの問題意識になります。

解決策としては、需要と供給双方への介入(例えば燃料電池のプロモーション)、官民の協力などが掲げられていますが、従来の延長線上のものばかりです。とにかく、価格とコストとのバランスが崩れているのがプラチナ鉱山業界が疲弊している最大の要因ですが、「Structural changes(構造変化)」に対して有効な施策がなく、場当たり的な対処から抜け出せていません。やはり時間を掛けて、市場が主導する需給調整を進めていくしかないのでしょうか。

無題














(画像出所)Minerals Council South Africa

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過去最高のETF残高が押し上げるプラチナ価格

過去最高のETF残高が押し上げるプラチナ価格

 プラチナ価格が急伸している。NYプラチナ先物相場は、昨年12月から今年2月中旬にかけては1オンス=800ドル水準で上値の重い展開が続いていたが、2月下旬以降は段階的に価格水準を切り上げており、足元では900ドルの節目を窺う展開になっている。これは、昨年6月中旬以来となる約10カ月ぶりの高値更新になる。

 プラチナ相場に関しては、これまで供給過剰環境を背景に上値の重い展開が続いていた。南アフリカのプラチナ鉱山業界団体ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の推計だと、2019年は総供給842万オンスに対して総需要は774万オンスに留まり、68万オンスもの供給過剰が発生する見通しになっている。

 パラジウムやロジウム価格の高騰で鉱山生産が落ち込まない一方、脱ディーゼル車や新車市場の縮小で排ガス触媒用需要が伸びず、更には中国経済の減速で宝飾市場が縮小するなど、何重にもわたるネガティブ材料に直面している結果である。

 この流れに修正を迫っているのが、プラチナ上場投資信託(ETF)に対する投資人気の高まりである。プラチナ価格が長期低迷する中、プラチナETFは購入した投資家が損切りを迫られる展開が繰り返されており、投資人気が急速に落ち込んでいた。しかし今年に入ってから、特に2月入りと前後して投資人気に火がついたのだ。昨年末の投資残高は202万9,592オンスだったが、それが1月末に210万1,094オンス、2月末に222万4,005オンス、3月末に248万5,578オンスとなり、今月はついに過去最高となる250万オンスを突破している。年初からの累計だと47万7,865オンスもの投資需要が創出されている。

 プラチナETFは一般投資家には馴染みが薄いかもしれないが、投資家から集めた資金でプラチナ地金を購入するファンドであり、プラチナETFの投資残高増加は、投資用地金需要の増加に直結することになる。ペーパー投資である先物取引とは異なり、需給環境に変化をもたらす現物投資の一種になる。

 このため、現在のペースでプラチナETF買いの動きが続くと現物投資需要が急増し、プラチナ市場における「2019年は供給過剰」という市場コンセンサスが否定され、場合によっては「2019年は予想外の供給不足」といった結果になりかねない状況になっている。

 マーケットでは、先行して急伸したパラジム価格とパラジウムETFとの関係性を巡る経験から、プラチナ価格が上昇すれば、いずれプラチナETFは利益確定目的で売却されるといった見方が強い。しかし、昨年12月以降は既に4ヵ月連続でプラチナETFの投資残高は増加しており、4月もこの流れが踏襲されそうな状況になっている。

 仮にプラチナETFを保有する投資家が十分な利益が得られたと判断して利益確定の売却に踏み切ると、プラチナETFは「需給の引き締め項目」から「需給の緩和項目」に一変することになる。プラチナETFは一種の地上在庫としての機能を果たすため、売却が行われると改めて需給バランスシートに組み込まれ、白金需給を供給超過の方向に傾けることになる。

 ただ、なぜプラチナETFの投資人気に火がついているのか明確な理由が分からないだけに、予想外の供給過剰化の回避、更には供給不足化のリスクが、プラチナ価格を大きく押し上げている。金価格やパラジウム価格に対する割安感が評価されている可能性が高いと考えているが、プラチナの主産国である南アフリカの電力供給不安といった鉱山生産のリスクを指摘する向きもある。いずれにしてもプラチナETFの投資人気がいつまで続くのかが、プラチナ価格が長期上昇トレンドに発展するのか、一時的な反発に留まるのかの鍵を握ることになる。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)過去最高のETF残高が押し上げるプラチナ価格(Yahoo!ニュース)

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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