小菅努の商品アナリスト日記

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platinum/palladium

「北浜投資塾」プラチナ相場の見方を解説

大阪取引所の「北浜投資塾」で、プラチナ相場の見方を解説しました。
約10分の動画が全10本になります。


※下の画像をクリックすると「北浜投資塾」の該当ページに飛びます。

無題



 

経済再開で白金が安値修正

経済再開で白金が安値修正
需要と供給の双方が激変

 NY白金先物相場は、3月16日の1オンス=562.00ドルをボトムに、5月下旬には一時900ドル台を回復するなど、底固く推移している。急落前の1000ドル水準を回復するには至っていないが、概ね2月下旬以来となる約3か月ぶりの高値を更新している。

新型コロナウイルスは他の産業用素材と同様に白金需要に対しても大きなダメージをもたらし、需給緩和圧力が白金相場を大きく下押しした。各国で行動制限が行われた結果、自動車販売のみならず自動車生産にも壊滅的と言える被害が生じ、自動車排ガス用の触媒需要は大きく落ち込んだ。また、中国では宝飾品販売店の休業が進んだこともあり、価格が下落しても宝飾需要も伸び悩んだ。工業関連需要に関しても、各種プラント建設がストップしたことで、白金の需要計画に大きな影響が生じている。頼みの綱と言える投資需要も、投資家の関心は安全資産である金に集中し、需給緩和が決定的となった白金に関しては、割安感や下げ過ぎ感が強まったものの、買いを入れる動きは鈍かった。

ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の調査では、今年1~3月期の世界白金需要は164.9万オンスと、昨年10~12月期の174.2万オンスから大きく落ち込んでいる。

ただ、中国では3月、欧米でも4~5月にかけては行動制限を解除する動きが始まり、白金需要環境の改善期待が、白金相場の反発を促している。直ちに通常の需要環境に回帰できる訳ではないが、経済が動き始めていることで、需要の落ち込みは最悪期を脱したとの評価が優勢になっている。これは原油や非鉄金属相場などにも共通したテーマであり、「需要低迷」よりも「需要の回復傾向」が高く評価されている。

 もはや新型コロナウイルスの感染が広がる前のような需要環境に回帰しないといった見方もあるが、これからどのようなペースで需要環境の回復を進めていくことが可能かが、白金相場の反発力を決定づけることになる。

 一方、新型コロナウイルスは供給環境にも大きなダメージを与えた。白金鉱山(特に南アフリカの高深度鉱区)の操業はマンパワーに強く依存しており、新型コロナウイルスの感染対策で操業停止を迫られた地域も多い。更に、南アフリカでは一部鉱山会社で精錬施設の爆発事故が発生したこともあり、1~3月期の世界鉱山生産は128.3万オンスと、 昨年10~12月期の162.7万オンスを大きく下回っている。

 鉱山においても操業再開の動きが広がっているが、再び新型コロナウイルスの感染が広がるような事態になると、突然に供給が止まるリスクを抱えることになる。また、感染被害防止のために新たな操業体制の模索も求められている。需要ショックからの立ち直りの速さの背景には、こうした供給環境の急激な変化も影響している模様だ。
(2020/05/28執筆)
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2020年06月01日「私の相場観」

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意外と緩まなかったプラチナ需給、新型コロナウイルスのダメージは需要環境に留まらず

意外と緩まなかったプラチナ需給、新型コロナウイルスのダメージは需要環境に留まらず

自動車の排ガス触媒や宝飾品に使用されるプラチナ(白金)価格が大きく上昇している。東京商品取引所(TOCOM)プラチナ先物価格は、3月17日の1グラム=1,843円をボトムに、5月21日には一時2,950円まで上昇し、3月12日以来となる約2カ月半ぶりの高値を更新している。NYプラチナ先物価格も、3月16日の562.00ドルをボトムに、5月20日には一時943.00ドルまで値上がりしている。

新型コロナウイルスの感染被害は、プラチナ需要にも大きなダメージを与えた。自動車生産や工業プラント建設には急ブレーキが掛かり、行動規制の動きから宝飾品販売も大きなダメージを受けている。頼みの綱と言える投資需要も、投資人気は安全資産である金に集中し、プラチナに対する投資家の関心は高まらなかった。

ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)によると、今年1~3月期のプラチナ需要は164.9万オンスであり、前年同期の264.9万オンス、前期の174.2万オンスを大きく下回っている。原油や銅など他の産業用素材と同様に、新型コロナウイルス対策で経済活動を制限した余波が明確に確認できる状況にある。

それにもかかわらず3月下旬以降に急反発しているのは、一つには経済活動の正常化が始まっていることがある。自動車生産に関しては、中国では3月、欧州では4月、北米では5月に工場の再開報告が増えている。従業員の新型コロナウイルス感染を防止する必要性もあって、通常の生産体制には程遠い状態だが、最悪期は脱したとの安堵感がみられる。「需要の停滞」よりも「需要が回復に向かっているトレンド」が重視されているのだ。これは産業用素材全体、更には株式市場にも共通したテーマであり、各国で行動規制が緩和・解除され、プラチナ需要が緩やかなペースでも改善に向かっていることが高く評価されている。

一方、プラチナ市場独自の材料と言えるのが、新型コロナウイルスが需要環境と同時に供給環境にも大きなダメージを与えたことだ。新型コロナウイルスはプラチナを使用する産業に活動の縮小・停止を迫ったが、その一方でプラチナ鉱山も生産停止を迫られた。最大生産国である南アフリカの場合だと、3月26日深夜から4月16日深夜までの21日間、全国でロックダウン(都市封鎖)が行われ、マンパワーに強く依存する鉱山業界もその対象になった。プラチナ鉱山業界では、南アフリカの主要産業であること、医療用目的の供給も必要なことなどを理由に例外認定を要請していたが、実際には鉱山操業も大きなダメージを受けた。

加えて、アングロ・アメリカン・プラチナ(アムプラッツ)で鉱石の製錬を行うコンバーター・プラント(ACP)で2月に爆発事故が発生し、予定外の補修作業を求められたことも、鉱山生産を抑制した。

WPICによると、1~3月期のプラチナ生産高は177.3万オンスであり、前年同期の188.1万オンス、前期の218.3万オンスを大きく下回っている。ロシアやジンバブエの生産は総じて安定していたが、南アフリカで発生した減産圧力をカバーすることはできなかった。

結果的に、1~3月期のプラチナ需給は12.4万オンスの供給過剰となり、前期の44.1万オンスの供給過剰と比較すると、寧ろ需給バランスは引き締まった格好になる。新型コロナウイルスのプラチナ需給に対する影響としては、専ら需要環境に対するネガティブな影響が注目されていたが、それと同時に供給環境に対してもそのインパクトを相殺する規模のネガティブな影響が生じていたことが確認されていることが、プラチナ相場の安値修正を加速させている。

NYプラチナ先物市場では、5月22日終値で受け渡し時期が最も早い5月限の881.70ドルに対して、1年後に受け渡しが行われる2021年4月限が884.00ドルになっており、殆ど価格差が見られない状況になっている。通常、需給緩和局面では受け渡しが早い5月限に対してディスカウント圧力が発生するが、安定したサヤバランスは、新型コロナウイルスの影響では、予想されていた程にプラチナ需給バランスは緩和しなかったことを示している。

新型コロナウイルスがプラチナ需要のみならず供給にも大きなダメージを与えたことで、そのあまりに大きなインパクトが逆説的ではあるが、プラチナ需給が極端な供給過剰状態に陥ることを回避させた。
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

※図表はリンク先の記事参照。

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パラジウム相場の高騰再開

パラジウム相場の高騰再開
根強い供給不足への危機感

NYパラジウム相場が過去最高値を更新している。新型コロナウイルスの影響で中国では自動車生産・販売環境に大きな混乱が見受けられ、自動車排ガス触媒用の貴金属需要は下振れリスクが強く警戒される状況になっている。しかし、パラジウム市場では昨年に続く需給ひっ迫化に対して根強い警戒感があり、押し目買い優勢の地合が維持されている。年初の1オンス=1912ドルに対して、2月19日には2700ドルを突破する急伸地合が形成されている。

直接的なきっかけとしては、英精錬大手ジョンソン・マッセイが、2020年のパラジウム需給のひっ迫状態が続くとの見通しを示した影響が大きいだろう。中国や欧州などの排ガス規制が強化される中、ガソリン車用触媒の平均充填量は増加するとみられている。自動車業界では高価なパラジウム消費量を削減するための試みも始まっており、一部自動車メーカーは猿人からの排出物質を削減するための新たなプラットフォーム導入などによって、充填量の削減に成功している。ただ、排ガス規制強化に加えて、欧州では実路走行(RDE)試験の基準対応という新たな課題にも直面する中、自動車触媒用のパラジウム需要の急増傾向には歯止めが掛からない見通しになっている。欧州に関しては、1台当たりの充填量が二桁増になるといった推計もある。

電子部品分野でもパラジウム相場の高騰は問題になっており、金やニッケルなどの代替素材での対応も検討はされている。ただ、技術面で乗り越えるべきハードルが高いことに加えて、仮に代替素材を使う場合には工場のライン変更など大規模な設備投資が要求されることになり、価格高騰がパラジウム需要を抑制する動きは限定される見通しになっている。歯科分野では、パラジウム合金からセラミックなどへの需要シフトの動きも北米を中心に報告されているが、総需要に対する影響は限定される。
パラジウム相場の高騰を受けて、増産計画も増えているが、鉱山会社の合理化の動きから生産量の大幅な伸びは想定されていない。パイプライン在庫の放出なども継続するが、需要拡大圧力をカバーできるだけの供給量を確保できるのかは不透明感が強い。二次供給も昨年に大幅に増加していたため、伸び悩むとみられている。

通常、コモディティ価格が高騰すると、在庫売却の動きが活発化し、相場は鎮静化することになる。しかし、パラジウムに関しては十分な余剰在庫が存在していない。近年はパラジウム上場投資信託(ETF)から現物の引き出しが行われており、ロシアも政府在庫の一部を売却しているとみられる。ただ、価格が高騰しても在庫売却量は限定され、鉱山生産量が早期に大きく上振れすることも想定しづらい。価格が高騰しても供給不足状態の解消目途が一向に立たないことが、異常な高騰相場を正当化している。未経験の需給ひっ迫環境となっているだけに、どこが適正価格なのか、誰も把握できない状態に陥っている。
(2020/02/20執筆)
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2020年02月24日「私の相場観」

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過去最高値更新が続くパラジウム、年初から20%高

自動車の排ガス触媒や宝飾品などに使用される貴金属パラジウム価格が高騰している。年初からの12営業日中の11営業日が前日比プラスとなっており、しかも10営業日で過去最高値を更新している。昨年末の1オンス=1,909.30ドルに対して1月7日の取引で早くも2,000ドルの大台に乗せたが、その2営業日後の1月9日に2,100ドル、更に5営業日後の1月16日に2,200ドルと、短い時間で価格水準が激変している。

1月17日に付けた高値は2,298.80ドルに達しており、昨年末から既に最大で20.4%の急騰地合になっている。金融市場では米国株が連日の過去最高値更新となっていることが注目を集めているが、ダウ工業平均株価の昨年末からの最大上昇率が2.9%であることと比較しても、パラジウム相場の異常さは際立っている。

パラジウム相場は2016年から4年連続で上昇中であり、ここ最近になって突然に上昇している相場ではない。昨年も1年で712.10ドル(59.5%)の急騰相場になっている。ただ、今年は1月下旬時点で早くも315.60ドル(16.5%)となっているだけに、マーケットの注目度も高まっている。

背景にあるのは、世界各国における排ガス規制強化の動きだ。今、世界は脱化石燃料のトレンド上にあり、ガソリンや軽油などの化石燃料を使う伝統的な自動車から、環境負荷の小さい電気自動車(EV)へのシフトを進め始めている。ただ、当面は技術的にもコスト的にも全ての自動車をEVに代えることはできず、排ガス規制強化の形で環境負荷をできる限り限定する方向性にある。例えば、欧州では「Euro 6d」と言われる新基準の環境規制が今年1月から導入されている。中国も今年7月に現行規制の「国5」から更に基準を引き上げた「国6」を導入するが、既に北京や上海など一部地域では先行して規制強化が行われている。インドも今年4月に「BS-VI」規制を導入するが、これと同様の動きが世界的に広がりを見せている。

いずれも新基準に適合しない自動車は、販売停止や罰金などの対応を迫られることになり、新モデルの販売を断念する動きも広く報じられている。こうした中、自動車メーカーは排ガス用触媒貴金属の調達量を増やしており、貴金属調査会社GFMSは今年のパラジウムの自動車触媒用需要が昨年から3.0%増加するとの見通しを示している。

通常、ここまで短期間に価格が急騰すると、需要家の買い控えや消費量の抑制といった形で価格は鎮静化されることになる。しかし、現在はパラジウム相場の高騰よりも強化された新排ガス規制をクリアできないリスクの方が強く警戒されており、天井知らずの値上がりになっている。

実際に、パラジウム先物市場では、受け渡しまでの期間が短い期近物が、期間が長い期先物よりも大きく値上がりしている。通常は期近物より期先物の価格の方が高くなり、これを順サヤというが、この関係性が逆転した逆サヤは、現物市場の需給がひっ迫化している際に発生する現象になる。逆サヤの拡大、リースレートの上昇など、投機的な高騰相場とは言えない動きが多数観測されている。過去に経験したことのない価格水準とあって、どこがパラジウム価格の高値限界なのか、誰も分からない状態になっている。

では、増産すれば良いと考えられがちだが、パラジウムはプラチナやニッケルと同時に産出されるため、パラジウムの高騰で直ちに増産を進めるといった議論にはならない。しかも、主要生産国である南アフリカでは電力供給不安から既存の生産体制を維持できるのかさえも、疑問視される状況になっている。

パラジウムとプラチナの間には一定の需要代替性があるが、設備更新には数年単位の時間が必要なことに加えて、新排ガス規制クリアのためのぎりぎりの対応が繰り広げられる中、プラチナがパラジウムの半値以下の価格水準といっても、触媒用貴金属の切り替えといった冒険主義的なことも行われづらい。

過熱感は間違いなく強い。現在の上昇ペースが持続できるはずはなく、突然に急反落する事態になっても、当然と受け止められよう。ただ、拡大する需要に供給が対応できない構造問題が長期化している市場であり、上昇相場そのものが大きく修正を迫られる可能性は低い。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

※図表はリンク先の記事参照。

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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