小菅努の商品アナリスト日記

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gold/silver

金200トンを積んだロシア軍艦発見!?

韓国企業シニル・グループが、ウルルン島近海で日露戦争中の1905年に日本の連合艦隊によって沈められたロシアの軍艦DONSKOII(ドンスコイ)を発見したと発表しました。金塊と金貨で200トンの金が積まれていると報じられています。



TBS NEWS=日露戦争のロシア軍艦発見、金塊などが中に?

まだ未確認なのでなんとも言えませんが、これが事実だとすると金市場でも無視できない規模です。専門家ではないのでそもそも全長92.96メートルの軍艦に200トンの金を積載する能力があるのかも分かりませんが、昨年の新産金が3,298トンだったのと比較すると、200トンはその6.1%に相当する規模です。

これが地上在庫として金需給に還流するのかも不明ですが、仮に市場で売却されると金価格に対するダメージは無視できない規模になるでしょう。

無題














(画像出所)TBS NEWS

一方で、まだ1グラムの金も発見された訳ではありません。関連企業の株価押し上げを意図したものではないかとの観測もあります。また、韓国領海で埋蔵船の荷を引き上げるには推定価格の10%に相当する発掘保証金を納付する必要があるそうですが、そのために必要な必要は約1.5兆円と現実的ではありません。しかも、仮に金が発見されたとしても、ロシア軍艦内の埋蔵金の所有権はロシアにある可能性もあります。

シニル・グループは、引き揚げ費用のために仮想通貨を販売することを検討中との報道もあります。詳細なスキームは出てきていませんが、自己資金ではなく外部からのファイナンスも少なくともある程度の規模で想定している模様です。

「ロシア軍艦から埋蔵金発見か?」というロマン溢れるニュースですが、株価押し上げや仮想通貨による資金調達が目的だとすると、一気に胡散臭い話に変わってしまいます。ここ最近だと、2015年ナチスの金塊や宝石を積んだ列車が発見されたとの発表が16年の発掘調査で否定されたのがありますが、この種のニュースは「発見か?」と騒いでいる間が一番楽しい時間なのかもしれません。

最近の金相場の急落は、こうした200トンの金発見を先取りした動きとなると面白いロジックになりますが、関係ないでしょうね。実際に、この発表が行われた後の金相場は目立った反応を見せていません。

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6月の金ETF売りは2017年7月以来で最大でした

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、6月の金上場投資信託(ETF)は49.3トンの純減になりました。4月が71.2トン増、5月が14.0トン増と金ETF買いの流れが続いていましたが、6月にはその流れが一変したことが確認できます。今年は2月にも6.7トン減となっていましたが、月間ベースでは2回目の純減です。49.3トン減は、2017年7月の67.9トン減に次ぐ規模です。この17年7月はフランス大統領選のリスクプレミアムが剥落したタイミングになりますが、それに次ぐ規模の資金流出が発生しています。
無題
















地域別だと、北米が売り込んでいます。北米は5月も29.6トン減となっていましたが、5月は欧州が25.6トン増になったことで、世界全体としては残高減少は回避されていました。しかし、6月は北米が44.4トン減、欧州が0.5トン増であり、米通商リスクが高まる中で米系投資家が金からドルに対する資金シフトを進めたのは明らかです。

1~6月期だと63.0トン増ですが、米系投資家の金ETF売りが6月の金相場圧迫の一因になりました。この流れが変わるのかが、7月の金相場の反発力を決定づけることになりそうです。

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米国債を売り、金を買うロシア中銀

ロシアが外貨準備における米国債の削減に動いています。2017年4月時点の1,049億ドルに対して、直近の今年4月時点では451億ドルに留まっています。これが外貨準備の減少に伴う動きであれば分かり易いものですが、実際には原油価格回復と連動してこの間の外貨準備は急増しています。つまり、米国債購入圧力が強まり易い局面で、寧ろ積極的に米国債保有を削減しています。

【米国債保有高(国別)】
無題













(出所)Department of the Treasury,US

もちろんロシア政府は公式にその理由を説明するようなことはありませんが、今年に入ってからのトレンドであり、特に4月にその動きが加速したことからは、トランプ政権の対外政策が強硬さを増していることと無縁ではないでしょう。

一般に外貨準備として米国債が志向されるのは、米国の信用に裏付けられた「無リスク(risk free)」性にあります。準備資産を米国債で運用するのは、常識ともいえるオペレーションでした。しかし、ロシアは少なくとも自国にとって米国債は「無リスク」ではないと考えている模様であり、戦略的に米国債を手放しています。

そして、これとは対照的に購入量が増えているのが金です。4月時点での過去1年間に193.9トンの購入が報告されている。もはや中国を上回る規模の金保有国になっています。もちろん、戦略的に米国債を握ることで、米国のファイナンス面での命綱を握るという選択肢もあります。中国などは明らかにカードとして米国債保有残高の多さを利用しています。しかし、ロシアに関しては米国債離れを選択しています。トランプ政権の対外政策が厳しさを増す毎に、外貨準備政策を変更する第二、第三のロシアが誕生することになりそうです。

無題

















【ロシアの金準備資産】
Q1_2000_Q1_2018_Gold_Reserves__Tonnes

















(出所)WGC

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中立金利から考える金の最後の買い場

ドルインデックスの上昇が続いています。6月15日に続いて、19日、20日、21日と3営業日連続で年初来高値を更新しています。その一つの要因として、米金融政策の正常化圧力の強さがあるのは間違いないでしょう。欧州中央銀行(ECB)は年内の資産購入終了に道筋をつけましたが、その先の利上げについては未だ見通しづらい状況です。日本銀行に至っては、そもそも緩和政策修正の道筋が描けていません。着実に利上げサイクルを消化するドルに資金シフトが発生するのは当然と言えるかもしれません。

一方で、利上げサイクルには終着点が存在し、無制限な利上げが許容される訳ではありません。本質的に金利上昇は経済、インフレを抑制するものであり、どこかに限界があります。いわゆる中立金利の議論です。景気を過熱も冷却もさせない金利水準が、当面の利上げサイクルの目安になります。

この中立金利ですが、現在の米金融当局者のコンセンサスは2.9%となっています。今年3月に0.1%引き上げられましたが、ざっくりとここ最近の流れを振り返ると3%前後の水準になります。つまり、ここが一応の利上げサイクルの終着点の目安になります。

一方、現在のフェデラル・ファンド(FF)金利のターゲットは1.75~2.00%であり、中心の1.875%で計算すると、残りの利上げ余地は1.025%になります。利上げサイクルが始まった2015年時点だと、中立金利が3.3%、FF金利ターゲットが0.25~0.50%とあって2.925%の利上げ余地が残されていましたが、そろそろ利上げサイクルの終着点も意識する必要性が浮上しています。

実際にセントルイス連銀ブラード総裁は5月31日に東京都内で開かれたセミナーで、中立金利が低いとして、予見できる将来は金利を現行水準に留めるべきだと主張しています。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁も6月1日、あと3回の利上げで中立金利に到達するとして、暫くは中立金利を上回る水準までの利上げを想定するも、経済成長抑制に作用し始めるとの見通しを示しています。

問題は、この中立金利は把握するのが極めて難しいことです。例えば、実質経済成長率が1.8%、PCEインフレが2.0%と想定されていることを考慮すれば、名目成長率から3.8%との推計も成り立ちます。この場合だと、利上げ余地は現在の1.025%から1.925%まで跳ね上がります。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)も分からないと本音を隠していません。

ただ確かなことは、利上げ余地が乏しくなってくれば、ドル相場高・金相場安を進める余地は限定されることです。金市場に限定しても、概ね利上げサイクル終了時期と前後して、金相場は底入れから上昇トレンドに転換する可能性が高まります。今後1~2年の金価格の下げた所はボトム圏になり、中長期投資家にとっては絶好の買い場になるというのが、過去の米金融政策と金価格との関係から導かれる価格見通しになります。

そして、トランプ政権が誕生した2017年以降の議論は、こうした米金融政策の飽和状態を待たずに、トランプ政権発のドル安圧力が金相場の底入れを前倒しするか否かとの視点で展開されています。つまり、本来であれば金相場の底入れは2019~20年頃に訪れることになりますが、通商リスク・財政リスクなどが米金融政策環境と関係なくドルを押し下げ、金価格を十分に押し下げない可能性が想定されています。

2017年型の相場環境を想定すれば底値把握のための時間は短く、それと異なる相場環境を想定すれば今後1~2年で安値を買い拾えば十分ということになります。

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米金融政策の逆風続く金

米金融政策の逆風続く金
退避ニーズの創出可能か

6月12~13日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)は、金価格にとって厳しい内容になった。3月に続く0.25%の追加利上げは想定通りだったが、当局者の2018年と19年のフェデラル・ファンド(FF)金利見通しが引き上げられたためだ。3月時点では18年が2.1%、19年が2.9%、20年が3.4%との金利軌道が想定されていたが、6月時点では18年が2.4%、19年が3.1%まで上方修正されている。これは年内に更に2回の利上げが想定されていることを意味することになる。詳細にみると、年3回までの利上げ予想が7人に対して、4回以上の利上げ予想が8人であり、まだ実際に年4回の利上げが可能かは不透明感が残されている。それでも、声明文からは、低金利政策のフォワード・ガイダンスが削除され、中立金利の早期到達見通しが示され、利上げ路線の堅持が強調されている。

18年のPCEコアインフレが3月時点の1.9%から2.0%までの微調整に留まる中で、6月時点で早くも年4回の利上げ見通しに傾斜するのには違和感もあるが、これで当面は年3回よりも4回の利上げ見通しの織り込みを迫られることになり、米金利上昇・ドル高圧力が金相場に対してはネガティブに作用することになる。CMEのFedWatchによると、既に年内4回の利上げ確率は55%程度まで織り込まれているため、改めて金相場が急落するような必要性は乏しいが、米金融政策要因では、金価格が上昇する必要性は一切見当たらない状況にある。

仮に利上げを上回るペースでインフレが進めば、実質金利の低下に伴い金市場に対して買いが膨らむ可能性はある。ただ、現状ではインフレの暴走リスクまでは想定されておらず、米金融政策要因からは1300ドルでの底入れ論は支持できない。

一方で、米国に加えて欧州でも進む金融政策の正常化圧力は、新興国市場を不安定化させている。トルコリラ、ブラジルレアル、南アフリカランド、メキシコペソなど、投機筋が脆弱性のある通貨を狙い打ちにしている。トルコは大規模な利上げ、ブラジルは為替介入の可能性を示唆するなど通過防衛策を強化しているが、米欧の政策正常化圧力が進むことが金相場の上値を抑える一方、それに伴う新興国市場の不安定化が金相場の下値をサポートする構図にある。

現時点では、金上場投資信託(ETF)に対する退避ニーズなどは確認できず、短期スパンの金相場の地合は良好とは言い難い。欧州の政局不安で欧州系投資家の金買いは観測されているが、米系投資家は「投資環境の不安定化」よりも「米金利上昇・ドル高圧力」の方を強く警戒している。ただ、秋の中間選挙に向けてトランプ政権の通商・外交政策も投資環境に大きな不確実性をもたらしており、改めて非金融政策要因がドル売り・金買いを促す流れに対しては高いレベルの警戒感が残されている。(2018/06/13執筆)

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(出所)中部経済新聞2018年6月18日「私の相場観」

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。仮想通貨、為替、株価指数などもカバーしています。

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