膠着状態が続く原油相場
バイデン勝利だと原油高

NY原油先物相場は1バレル=40ドルの節目を挟んで明確な方向性を打ち出せない展開が続いている。新型コロナウイルスの感染被害を受けての需要ショックはピークを脱する一方、石油輸出国機構(OPEC)プラスの協調減産が高い合意順守率を維持する中、過剰在庫圧縮の動きは続いている。8月にOPECプラスは減産規模を縮小したが、需給バランスに大きな歪みが発生することは回避されており、改めて急落対応を迫られる必要性は薄れている。一方で、新型コロナイルスの感染被害は冬に向けて拡大し始めており、今後も安定的に需給リバランスを進めていくことが可能なのかはマーケットの見方も割れている。この結果、下値は固いが上値も重い、リスクバランスが中立に近い相場環境が続いている。

国際エネルギー機関(IEA)は冬の需要期に当たる10~12月期に大規模な在庫取り崩しが可能と強気の見通しを示している。ただ、コロナ禍の影響で「ゴールポストが動き続けている」として大きな不確実性を指摘している。一方、OPECは7~9月期が在庫減少圧力のピークであり、10~12月期、更に2021年は緩やかなペースでしか在庫減少は進まないとの慎重な見方を示している。

10月19日にはOPECプラスの合同閣僚監視委員会(JMMC)が開催されたが、そこでは最悪の場合には21年は日量20万バレルの供給過剰になるとの見通しが示されていたことが明らかになっている。9月段階ではあらゆる想定の下で供給過剰は想定されていないとの見通しが示されていたが、その後の1か月で欧州、南北米、アジアを中心に新型コロナウイルスの感染被害が急速な広がりを見せる中、今後も過剰在庫の圧縮を進めることができるのか、不透明感が強くなっている。

ただ、OPECプラスは追加の政策調整の可能性も示唆し、原油需給・価格管理に自信を示している。サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は、原油の空売り筋は「地獄のような苦しみを味わうだろう」として、OPECプラスの需給管理に疑問を投げ掛けることを強く牽制している。11月30日にOPEC総会、12月1日にOPECプラス会合が控えており、OPECプラスとしては来年1月に予定されている協調減産規模の縮小(=増産)を見送る可能性も示唆している。

一方、11月3日には米大統領選を控えているが、世論調査で優勢が伝えられているバイデン元副大統領は、クリーンエネルギーへの転換を主張しており、シェールオイル開発に関しては制限を強化する方針を打ち出している。オフショアの国有地における新規開発、シェールオイル開発におけるフラッキング規制などが選挙公約として掲げられている。短期的には大規模な財政出動で石油需要が増える一方、シェールオイル生産にブレーキが掛かると、政策要因で原油相場に上向きのエネルギーが発生する可能性も想定したい。

(2020/10/21執筆)
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2020年10月26日「私の相場観」

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