トルコ中央銀行は10月22日に開催した金融政策会合で、主要政策金利の1週間物レポレートを10.25%で据え置くことを決定した。マーケットでは1.75%の追加利上げが予想されていたため、この決定は予想外で意外感が強く、トルコリラは急落している。

リラ/円相場は会合直前の13.43円をピークに、一時13.11円まで最大2.4%の急落地合になっている。対ドルでもほぼ同様の値動きがみられ、ともに過去最安値を更新している。

トルコ中央銀行は前回9月24日の会合において、レポレートを8.25%から10.25%まで引き上げている。これは約2年ぶりの利上げであり、声明文では「インフレが予想以上に上昇した」と指摘していた。その後発表された9月消費者物価指数は前年同月比11.75%上昇と8月の11.77%上昇から下振れしたが高止まりしており、更にアゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突などの地政学リスクがリラ相場を一段と押し下げる中、マーケットではインフレ抑制、通貨防衛のための追加利上げは不可避とみていた。

しかし今会合の声明文では、「インフレ見通しに対するリスクを抑制するために取られた金融政策と流動性管理の措置を受けて、金融状況の大幅な引き締めが達成された」として、9月の利上げで目的は達せられたとの評価が下されている。

現実にはインフレ見通しが一段と悪化する中で、利上げの目標が達成されたとの評価には意外感があり、マーケットでは経済ではなく政治で利上げ打ち止めが決断されたのではないかとの懐疑的な見方が広がっている。エルドアン大統領が景気抑制要因となる利上げに反対姿勢にあることは周知されている。このため、経済環境からは今後の金融政策を予想することが困難、かつ、不透明な金融政策フレームに早くも逆戻りしたのではないかとの懸念が広がっている。すなわち、トルコ中央銀行がインフレや通貨価値コントロールの役割を政治的要因で放棄してしまったとの疑惑が再燃しているのである。

トルコリラ相場が改めて過去最安値を更新する動きは、マーケットが今回の利上げ見送りの判断の妥当性に疑問を投げ掛けたと評価できよう。地政学リスクの解消も進まない中、下向きのボラティリティの高まりが警戒される地合が続く見通しだ。
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

※図表はリンク先の記事参照。

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