産金株の隆盛、石油株の衰退
資源株のトレンドが変わる

著名投資家ウォーレン・バフェット氏の率いるバークシャー・ハサウェイは、今年4~6月期に米銀行株を大量に売却する一方、産金大手バリック・ゴールドの株式2090万株、約600億円相当を購入していたことが明らかになった。

バフェット氏は、マーケットでは金嫌いで知られている人物の一人であり、従来から金には「有用性はない」として、利益を生み出す優良企業に対して、できるだけ多くの金額を長期にわたって投じる必要性を訴え続けていた。こうした中、金価格の動向に強い影響を受ける産金株に対する本格投資に踏み切ったことが注目を集めている。

今回投資したのは金上場投資信託(ETF)ではないため、金に対する直接投資を行っている訳ではない。あくまでも産金事業でバリック・ゴールドが収益を上げることを想定しての投資行動になる。しかし、米経済成長の最も大きな恩恵を受ける業種の一つである銀行株を大量売却して、その資金を産金株に投じたことで、マーケットではバフェット氏が新型コロナウイルスによる米経済の長期停滞、低金利環境を想定し、産金事業がある程度の長期にわたって高い成長率を持続する厳しい状況を想定しているのではないかとの見方が広がっている。バフェット氏は、金に対する従来の否定的な見解を変えたのか明らかにしていないが、今後の発言によっては新たな「援軍」、「応援団」を得た状態になるのかもしれない。

一方、アメリカの代表的な株価指数であるダウ工業平均株価を算出するS&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズは、ダウ工業平均株価から石油大手エクソン・モービルを除外すると発表した。ダウ工業平均株価は僅か30銘柄で米株式市場全体の動向を反映できるように構成されているが、現在の30銘柄では最も古い1928年から採用されてきたエクソン・モービルが、8月31日付けでダウ工業平均株価から除外されることになる。

現在のダウ工業平均株価では、エクソン・モービルの他にシェブロンが組み込まれており、石油会社は30銘柄中の2銘柄を占める状態が長期にわたって続いていたが、ついに1銘柄の時代に移行することになる。

脱化石燃料の動きに加えて、ESG投資に象徴される環境に配慮した企業投資を求めるブームもあり、石油株は投資家から敬遠される傾向が強くなっている。エクソン・モービルは「石油の世紀」を象徴する銘柄の一つだったが、もはや主要30銘柄の地位を維持できなくなっている。

しかも、事実上はエクソン・モービルの代替でダウ工業平均株価に新たなに正用されることになったのが、ソフト大手セールスフォース・ドットコムである。クライドによる顧客管理システムなどを主力にしており、米経済の軸足が「石油」から「データ」に移行していることを象徴する動きの一つと言えるかもしれない。
(2020/08/26執筆)
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2020年08月3日「私の相場観」

******************************************

マーケットエッジ(株)では、コモディティ市場と金融市場のレポート配信の他、講演のご依頼も承っています。まずはご相談下さい。

【お問合せ先】
マーケットエッジ株式会社 https://www.marketedge.co.jp/
E-mail  kosuge.tsutomu@outlook.com