コーヒー相場や安値低迷か
6年ぶりの高在庫水準へ

 ICEコーヒー先物相場は、1ポンド=100セントの節目を下抜き、約8か月ぶりの安値圏で取引されている。昨年12月には一時142.45セントまで値上りしていたが、今年は4月以降に売り圧力が強まり、断続的に値位置を切り下げる展開になっている。背景にあるのは、ブラジルの大規模な増産によって国際コーヒー需給が6年ぶりの緩和状態に陥ると予想されていることだ。

 ブラジルのコーヒー生産は隔年で増産と減産を繰り返すサイクルにあるが、2020/21年度は増産(表作)年に該当する。このため、ブラジルの増産で需給が緩むことは広く予想されていたが、その増産圧力が従来の想定を上回る可能性が高まっているのだ。

 米農務省(USDA)によると、20/21年度の世界コーヒー生産高は前年度比915万袋(1袋=60kg)増の1億7609万袋が見込まれているが、ブラジル産のみで860万袋の増産が予想されている。今季のブラジルでは、総じて良好な気象環境に恵まれたことで高イールドが実現する見通しになっている。5~6月にブラジルではアラビカコーヒーの収穫作業が始まっているが、新型コロナウイルスの影響で例年と比較すると若干の遅れが報告されているが、今後は過去最大のコーヒー生豆が市場に供給される見通しになっている。しかも、ブラジル通貨レアルが過去最安値圏にあることで、ブラジルの農家は安値でも出荷意欲が強いとみられ、これから強力な供給プレッシャーの発生が確実視されている。

 一方、世界コーヒー需要は前年度比234万袋増の1億6628万袋と、強力な増産圧力に対応した伸びは期待できない状況になっている。新型コロナウイルスの影響がコーヒー需要にどのような影響を及ぼすのかは不透明だが、カフェやレストランなどへの外出が手控えられると、コーヒー需要に対して下押し圧力が発生することになる。実際にコーヒーチェーン最大手スターバックスは、アメリカ、カナダ、中国などで相次いで大規模な閉店を行うと発表している。今後はテイクアウト用の店舗展開を増やすとしているが、アフター・コロナの社会がコーヒー需要にどのような影響を及ぼすのかは、手探りの状態にある。

 20/21年度の世界コーヒー期末在庫は4148万袋が見込まれているが、これは前年度の3510万袋を18.2%も上回っている。これから各国で収穫作業が順調に進めば、大量の在庫が生産国と消費国の双方で発生することになり、コーヒー相場は90セント割れの可能性も含めた安値低迷状態が続き易い状況にある。新型コロナウイルスは中南米で依然として感染被害が広がり続けているため、収穫や流通、出荷にトラブルが発生すると短期的な需給ひっ迫感が浮上する余地はある。しかし、通常の供給体制が維持できるのであれば、需給緩和状態がコーヒー相場の低迷状態を促そう。

(2020/06/18執筆)
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2020年06月22日「私の相場観」

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