緩やかな上昇続く天然ゴム
生産環境に混乱残る

 東京天然ゴム先物相場は、4月2日の1kg=138.30円をボトムに、6月入りしてからは150円台中盤から後半まで値上がりする展開になっている。新型コロナウイルスによる需要ショックが想定以上に早く解消に向かう中、安値修正の動きが優勢になっている。

 新型コロナウイルスは、天然ゴムの主要消費先であるタイヤ需要環境にも壊滅的な被害をもたらした。外出規制の影響で新車販売が落ち込むのみならず、自動車工場の稼働も停止したことで、タイヤ工場も操業停止や縮小を迫られた。しかし、中国では2月、欧米では4月が自動車市場のボトムだった可能性が高く、その後は需要環境の改善傾向が、ゴム相場を支援している。

 最大市場である中国では、2月の新車販売が前年同期比で79.1%減少したが、4月には早くも4.4%増とプラスに転じ、5月は更に販売が伸びた模様だ。地方政府が補助金や商品券の交付といった販売奨励策を導入したこと、自動車取得制限を緩和したことなどで、マーケットの想定を大きく上回るペースで販売環境が正常化している。米国でも、4月の新車販売台数はほぼ半減したが、5月には概ね8割水準を回復する動きを見せている。

 5~6月にかけては欧米でも自動車工場の稼働が再開しているが、新車用と買い替え用タイヤの販売はともに改善傾向を見せている。厳しい雇用や所得環境から、タイヤ販売環境が早期に正常化できるのかは疑問視する向きも多い。しかし、少なくとも最悪の状態を脱したとの安堵感はある。

 しかも、今季は供給サイドも大きなリスクを抱えている。例年であれば、乾季の4月が減産期のピークであり、5月以降は雨季への移行に伴い段階的に生産量が拡大し、年末に向けて増産シーズンに向かう。しかし、今季のタイ中央ゴム市場の集荷量は、4月と5月とでほとんど変化がみられず、減産期明けが明らかな遅れを見せている。

 産地気象環境には特段の問題が見られないが、新型コロナウイルスの影響で農業部門も大きなダメージを受けており、供給障害が発生している。特にゴムなどのきつい農作業を求められる業種では外国人の出稼ぎ労働者への依存度が高いが、新型コロナウイルスの影響で入国や就労ビザなどの点でトラブルが発生しており、6月入りした後も供給環境の改善が遅れている。

 このまま新型コロナウイルスの第2波がみられなければ、6月には需要環境が更に改善を見せるのはほぼ確実である。その際に供給環境の改善が見られないと、ゴム相場は上昇ペースが加速する可能性もある。4~5月にかけて膠着状態が続いていた産地相場も、6月入りと前後して上昇傾向を強めている。
(2020/06/04執筆)
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2020年06月08日「私の相場観」

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