コーヒー相場は1年ぶり高値更新
来年のブラジル減産を織り込む

コーヒー価格が急伸している。ICEアラビカコーヒー先物相場は、8~10月にかけて1ポンド=90セント台前半の安値圏で揉み合う展開になっていたが、11月には110セント台後半まで値上がりし、約1年ぶりの高値を更新している。

背景にあるのは、2020年にブラジル産のコーヒー生産高が落ち込み、世界的に在庫の取り崩しが進むとの見方があることだ。アラビカコーヒーは隔年で増産と減産を繰り返す生産サイクルを有しているが、20年は減産年にあたる。しかも、ブラジルでは降水量不足で土壌水分が不足しており、特にアラビカコーヒーの品質悪化や収量減減少のリスクが強く警戒されている。

米農務省(USDA)は、2019/20年度のブラジル産コーヒー生産高について、前年度の6480万袋(1袋=60kg)から5930万袋まで、8.5%減少するとの見通しを示している。これに伴い、世界生産高は1億5865万袋から1億6913万袋まで減少する見通しになっている。これは、ブラジルが前回裏作だった17/18年度の1億5865万袋を大きく上回っているが、世界的に在庫の取り崩しを促すのには十分な減産規模になっている。実際にUSDAは世界期末在庫について、前年度の3635万袋から3355万袋まで7.7%減少するとの見通しを示している。

こうした動きは最近になって突然に判明したものではないが、18/19年度産の収穫が終わって19/20年度の需給環境にマーケットの関心がシフトする中、ファンドが売りポジションの買い戻しや押し目買いを入れる動きを活発化させている。足元ではブラジルでも降水量が回復しているが、再び乾燥傾向が強まるような展開になると、更にリスクプレミアムが加算される余地を有している。

ただ、これがコーヒー需給のひっ迫化につながるとまで見ている向きは殆どいない。上述のようにブラジル産は大規模な減産が確実視されているが、過去の裏作と比較すると高水準の生産高が見込まれており、在庫も減少はするが、裏作年として特別に大きな変動までもが想定されている訳ではない。在庫水準からみれば、90セント水準で底入れした可能性が高いものの、120セント水準から更に大きく値上がりするような需給見通しにはない。ファンドの売りポジションの決済が進み易いが、新規で買いポジションを構築するような動きまでもが、本格化するとは考えられていない。

しかも、為替市場ではブラジル通貨レアルが軟化しており、ドル建てコーヒー相場は為替環境から強力な下押し圧力に晒されている。コーヒー相場は底入れしたものの、在庫通り崩し圧力は軽微かつ19/20年度に限定されたものであり、20/21年度には再び強力な在庫積み増し圧力に直面するのが確実視されている。大規模な天候障害の発生などがなければ、修正高の域に留まろう。
(2019/11/28執筆)
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2019年12月02日「私の相場観」

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