〔アナリストの目〕白金上昇のカギ握る投資需要、現状は自立反発

内外で白金相場が急反発している。ニューヨーク先物相場は、昨年12月から続く1オンス=800ドル水準でのもち合い相場を上放れし、昨年11月中旬以来の高値となる800ドル台後半まで値位置を切り上げている。パラジウム相場が需給逼迫(ひっぱく)懸念から過去最高値更新を続ける中にあっても低迷状態が続いていたが、米中通商交渉が終わる当初期日だった2月15日を境に大幅上昇に転じている。

基本的な評価は、グローバルなリスクオン傾向がもたらしたショートスクイーズになろう。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、大口投機筋の売りポジションは昨年11月20日から今年2月19日までの間に2.2倍の規模に膨れ上がっており、2月12日時点では一時的に売り越しに転じている。

こうした中、米中通商協議の進展観測やブレグジット先送り観測に代表される政治リスクの軽減、さらには2月末にかけて発表された米経済指標が一定の底堅さを見せたことで、過度の景気減速懸念が後退していることがリスク資産全体を押し上げ、その流れの中で白金相場も安値修正を迫られた格好になる。

米利上げサイクルの休止、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内でバランスシート縮小を停止する可能性を示唆するなど、流動性環境の環境もリスク資産全体にポジティブに機能したもようだ。実際、白金の他に銅などの非鉄金属、天然ゴム、原油なども同様の急伸地合いを形成しており、マクロ投資環境の評価修正に主導された安値修正の値動きと言える。

問題は、これで白金需給の緩和評価が修正されるかとなるが、そこまでの強気評価は必要ないだろう。英ジョンソン・マッセイ社は2月の需給報告で2017年が49.8万オンスの供給超過になり、今年も「供給過剰は変わらないと予想される」と総括している。パラジウムなども含めたバスケット価格に目立った変動が見られない中、白金相場の低迷が進んでも生産調整の動きは鈍い。

排ガス規制強化の流れで自動車触媒は新車販売鈍化でも底入れに向かうとみられ、工業関連需要も石油化学や燃料電池などの分野で強めに推移するとみられている。しかし、中国の白金宝飾市場縮小のトレンドに変化はみられず、投資需要が劇的な改善を見せない限り、白金需給要因での本格反発は求められない。

実際に、定期市場では順ざや(期近安・期先高)傾向が維持されており、通常の需給見通し改善局面でみられる順ざやの縮小、逆ざや(期近高・期先安)化といった動きは確認できない。800ドルの節目水準は18年の世界同時金融危機時にもサポートされた水準であり、700ドル台からの急落対応までは求められないが、引き続き750〜850ドル水準をコアレンジとして想定しておきたい。

仮に安値修正の動きが本格的な上昇トレンド形成にまで発展するのであれば、カギを握るのは投資需要になる。特に白金上場投資信託(ETF)は1〜2月期のみで19万オンスを超える投資残高を積み増しており、白金価格上昇でも持ち高調整を見送り、さらに投資残高を積み増しするような動きがみられると、需給見通しが大きく変わる可能性がある。

価格上昇と連動して、白金ETFは売却されて逆に需給緩和要因に転換するというのが市場コンセンサスだが、その見通しが外れた際には900〜1000ドルまでコアレンジが切り上げられる。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(2019/03/04執筆)
(出所)時事通信社「アナリストの目」2019/03/04

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