メキシコペソと他高金利通貨との違い

メキシコ中央銀行は12月20日の政策決定会合において、政策金利を0.25%引き上げ、8.25%としました。12月1日に就任したロペスオブラドール新大統領の経済政策による先行き不透明感に対して、いち早く対応を示した格好になります。

新興国と言えば、トルコを筆頭に高インフレ環境でも経済成長を重視して利上げを躊躇する傾向が強いものですが、メキシコ中銀は他の新興国中銀とは明らかに異なる政策スタンスを採用しています。同一視していると、メキシコペソの持つ実力を見誤ります。

メキシコ中銀は、多少の経済成長の下振れを容認してでも、通貨価値のコントロールを重視するスタンスを採用しており、インフレ抑制のためであれば躊躇なく利上げに踏み切ります。これは、新興国通貨・高金利通貨としては、他新興国にはみられない大きなメリットになります。どうしても、新興国通貨や高金利通貨とひとまとめにされがちですが、インフレによる通貨価値の棄損が大きな問題となっているトルコや南アフリカとは同一視すべきではない通貨です。

逆に他新興国のような急激な経済成長は見込まれていませんが、近年の傾向としては米国に対して5~6%前後のプレミアムを加算した金利環境を維持することで、海外投資家の資金をメキシコに還流させるシステムを構築しています。8月に新興国通貨が軒並み値崩れを起こした局面でもペソは底固さを維持したことは、金融政策が有効に機能していることを示しています。

2018年は年初の対円レートを100とすると、12月24日時点で南アフリカランドが83.1、トルコリラが70.2まで下落したのに対して、メキシコペソは97.0と、ほぼ年初の相場水準を維持しています。ドルの98.0はアンダーパフォームしましたが、1)米国の4度にわたる利上げ、2)原油相場の急落、3)第4四半期のリスクオフ環境、5)ロペスオブラドール新政権の不透明感とネガティブ材料が重なる中で、安定した通貨環境を実現したことは、メキシコ中央銀行の通貨管理能力の強さを明確に物語っています。

メキシコのインフレ率も5%前後と決して低くなく、中銀も一時的との比較ではインフレ環境が安定化しているものの、まだ高過ぎるとの評価を下しています。しかし、実質金利がマイナス化するような利上げ対応の遅れはみられず、高金利通貨のメリットを享受する投資スタイルであれば、メキシコペソにはトルコリラや南アフリカランドにはない大きなメリットがあります。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)「大起ニュース」2019年1月7日

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