ゴムの値下りリスク高まる
減産期の織り込みは終了

東京商品取引所の天然ゴム先物相場は、昨年11月21日の1kg=151.00円をボトムに今年1月21日の193.40円まで急伸したが、2月上旬は180円水準まで高値から下押しされる展開になっている。年末年始の急伸地合に関しては特段の新規材料は見当たらない。年末にかけて原油や株価が急落したことを考慮すれば、寧ろ急落しても違和感のない相場環境であった。しかし、ゴム相場は季節サイクルを織り込む形で、約2カ月で28.1%の急伸地合を形成した。

天然ゴムは、穀物などとは異なり樹皮を削って樹液を採取するため、原則として年間を通じて生産が可能である。ただ、乾季にはゴムの樹液の出が悪くなるため、一般的には生産活動が鈍化し、殆ど集荷が行われなくなる。地域的な違いはあるものの、例年だと4月に減産シーズンのピークが到来する傾向にある。このため、期先が減産期に差し掛かると、ゴム相場に対しては季節的な上昇圧力が発生する傾向にあり、昨年と同様に今年も年末年始を挟んだ上昇圧力が観測されている。

ただ、季節性を反映して上昇したのであれば、減産期が生産期に移行すれば、ゴム相場の上昇は正当化できなくなる。既に東京ゴムの期先限月は7月限になっており、一般的にこの時期にまで減産状態が続いていることはない。5~6月に関しては、乾季が長期化するハードウィンタリングと呼ばれる異常気象になると減産状態が維持されるが、期先限月の季節要因は値上がりよりも値下りを支持することになり、これが足元でゴム相場の上値を圧迫する背景になっている。過去のデータを振り返ってみても、2~6月のゴム相場は下落する傾向が強く、概ね季節トレンドに沿う形の反落局面を迎えた状態と評価している。

高値は2018年1月が216.30円だったの対して今年1月は193.40円であり、同じ季節要因で上昇した相場だが、10.6%値位置が切り下がっている。ゴム相場のマクロ環境としては、需給緩和による値下がり傾向が続いていることが確認できる。このため、季節性による値下りリスクが警戒される局面だが、仮に生産期に向けて高値を維持するシナリオが存在するとすれば、それは生産国の市況介入だった。減産期に生産・出荷制限をおこなえれば、季節性に基づく値下り圧力を否定できる可能性もあるためだ。

このため、昨年10~12月期から市況対策の議論は活発に行われていたが、実際には何ら目立った動きはみられない。12月、1月と議論は続けられていた模様だが、上述のように季節性でゴム相場が反発したこともあり、生産国の介入意欲は一気に後退しており、現時点では介入の議論は立ち消えになっている。季節性に基づく上昇相場が、季節性に基づく下落相場に転換する時期を迎えている。このまま生産国が無為無策の状態を維持すれば、一気に160円水準まで下げる可能性もある。
(2019/02/06執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2019年2月11日「私の相場観」

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