50ドル台を回復した原油相場
減産開始で下値不安は後退

NY原油先物相場は、昨年12月24日に1バレル=42.36ドルまで値下りしたが、年初からは安値修正の動きが活発化しており、約1カ月ぶりに50ドル台を回復する展開になっている。年末・年始で国際原油需給環境・見通しに大きな変化が生じている訳ではないが、年初からは昨年12月に石油輸出国機構(OPEC)やロシアなどが合意した日量120万バレルの減産対応が開始されることもあり、投機売りのポジションが巻き戻されている。

昨年12月時点では、減産合意が実現したものの、1)合意内容が着実に履行されるのか、2)原油需給リバランスに十分な規模なのかが疑問視され、原油相場の下げ止まりを促すことに失敗していた。しかしロイター通信の調査だと、サウジアラビアは昨年12月時点で既に日量40万バレルの減産に踏み切っており、少なくとも減産合意に関しては、高いレベルの遵守率が期待できる状況になっている。昨年10月以降の原油相場急落に対する産油国の危機感は強く、ロシアやUAEなどの主要産油国も減産合意の着実な履行に意欲を示している。

問題は、日量120万バレルの減産対応が需給バランスの安定化に十分な規模か否かだが、マーケットでは需要端境期となる1~3月期には供給過剰が発生する可能性があるものの、4~6月期以降には逆に供給不足状態に回帰する可能性が高いとの見方が強い。

グローバル経済の減速懸念で需要下振れに対する警戒感も根強いが、原油価格の水準が大きく切り下がったことで、特に大幅な落ち込みは想定されていない。国際エネルギー機関(IEA)なども、2018年実績と同レベルかそれを上回る需要の伸びを想定している。もちろん、グローバル経済がリセッション(景気後退)に陥るのであれば、18~19年にみられたような原油相場の低迷状態が支持されることになり、改めて40ドル水準まで値下りする。ただ、成長鈍化に留まり、原油相場の急騰が見られないのであれば、需要環境について過度に悲観的になる必要はないだろう。

今後は減産合意を着実に履行できるか否かが焦点になるが、日量120万バレルの減産対応が早期に実現するのであれば、40~45ドル水準は下げ過ぎとの評価になり、50~55ドルのレンジに過熱感は乏しい。株価やドル相場の動向にも注意が必要だが、オーバーシュート気味の安値修正を打診する局面になる。

一方で、現在の需給見通しでは本格的な価格上昇までは許容できない。需給リバランスが実現するためには、あくまでもシェールオイル生産が現在の見通しに留まることが必要であり、原油高が加速してシェールオイルの増産ペースも加速するような事態までは許容できない。仮に60ドルを大きく上抜くような展開になると、改めて供給過剰リスクへの対応を迫られることになり、当面は55ドル前後の値位置が上値目途になろう。
(2019/01/09執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2019年1月14日「私の相場観」

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