今年の原油価格は低位安定へ
40~65ドルのレンジ想定

2019年のNY原油先物相場は、1バレル=40~65ドルをコアレンジとして想定している。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界石油需要は前年比で日量140万バレル増が見込まれている。世界経済に対する下振れ圧力が強まるも、原油価格の水準が大きく切り下がる中、今年の130万バレル増とほぼ同水準の需要拡大圧力が想定されている。米中貿易戦争がいつまで続くのかといった不確実性も抱えているが、深刻な需要減退リスクまでは想定されていない。

一方で、米エネルギー情報局(IEA)の推計では、米国の産油量は18年が前年比で日量153万バレル増だったのに対して、19年は118万バレル増が想定されている。増産ペースは鈍化するものの、シェールオイルの増産圧力は続くことで、世界石油需要の伸びの約85%は米国の増産によって吸収されることになる。18年はイラン産原油の供給が急激に落ち込んだことで、大幅な在庫積み増しは回避されたが、今後はイラン産原油の供給量が低迷状態で落ち着きを取り戻すと、国際原油市場は改めて過剰供給に対する懸念と向き合う必要性がある。

石油輸出国機構(OPEC)やロシアは1~6月期に日量120万バレルの減産対応を行うことで合意しており、IEAの推計では減産合意が100%遵守されれば、4~6月期には再び在庫取り崩しが開始され、年後半の需要期も一定規模の減産対応が継続されるのであれば、大幅な供給過剰は阻止される可能性が高い。

ただ、あくまでもシェールオイルの増産圧力が現在の想定レベルに留まることが必要不可欠であり、改めて原油価格を大きく押し上げることで、シェールオイルの増産ペースを加速させることまでは許容されていない。このため、60~65ドル水準が年間の高値圏になる見通し。仮にここから更に70ドルといった価格水準を打診するのであれば、地政学要因に基づく供給障害の発生が求められる。リビア、ベネズエラ、ナイジェリア、そしてイランなど供給リスクを抱えた地域は多く、これらの地域で供給障害が発生し、シェールオイルの増産加速が許容できる状態になれば、65ドル水準を上抜く可能性が浮上する。

逆に値下りリスクとしては、世界経済の減速が加速し、株価急落などリスクオフ化が決定的になる展開が想定される。ただ、40ドル台中盤ではシェールオイルの増産圧力にブレーキが掛かり、また、OPECやロシアなど伝統的産油国も財政難から市況対策に乗り出す可能性が高く、40ドル割れを打診するような展開が長期化することもないだろう。

今後もシェールオイルの大規模な増産を前提条件にせざるを得ず、過度の原油高が要求されるのは、大規模な供給障害が発生した時に限定されることになる。18年は米政府の対イラン制裁がその役割を果たしたが、それに匹敵する供給障害が発生しないのであれば、50ドル台をコアにOPECとシェールオイルの共存できる環境を目指すことになる。
(2019/01/02執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2019年1月7日「私の相場観」

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