ガソリン小売価格が160円台に
11月は値下りする見通しだが

資源エネルギー庁が発表した石油製品の店頭小売価格調査によると、直近の10月22日時点のレギュラーガソリン価格は、全国平均で1リットル当たり前週比0.4円高の160.0円となった。8週連続の値上がりであり、160円台乗せは2014年11月4日以来のことになる。16年3月には一時112.0円まで値下がりしていたが、そこからの2年半で48.0円(43%)もの大幅な値上がりになる。

米国が5月にイランに対する経済制裁を決定したことで、国際市場からイラン産原油の供給が排除されており、需給ひっ迫化が国際原油相場を大きく押し上げた結果である。指標となるNY原油先物相場の場合だと、16年2月の1バレル=26.05ドルをボトムに、今年10月には一時76.90ドルまで上昇している。原油調達コストの値上がりが進む中、ガソリン価格が急騰しているのは当然である。
一方で、目先のガソリン価格は値下がりが必至の状況にある。国際原油相場は10月3日にピークを打っており、その後は3週間にわたって急落しているためだ。原油価格がガソリン小売価格に反映されるには数週間のギャップが必要だが、足元の原油相場は60ドル台中盤まで、直近高値から13%を超える下落率を記録している。このまま原油相場の急反発がなければ、ガソリン小売価格が160円台定着から更に上昇することはなく、少なくとも11月にかけては150円台前半から中盤まで軟化する方向性になる。

なぜ原油相場が急落しているのかだが、直接的なきっかけは世界的な株安傾向である。投資家のリスク選好性が後退する中、株式市場と同様に原油市場からも投機マネーが流出している。また、サウジアラビアやロシアがイラン産原油の供給減少をカバーする増産を進めていること、製油所のメンテナンスシーズンで米国内原油在庫が積み上がっていることなども、原油相場の上値を圧迫している。

ただ、既にサウジアラビアやロシアなどの増産対応は限界が近づいており、国際エネルギー機関(IEA)は余剰生産能力を犠牲にした増産について、価格高騰リスクを高めると警告を発している。また、今後は冬の需要期が始まることになり、製油所稼働率の上昇と連動して米国内在庫も再びタイト化するリスクが高まる。サウジなども、足元の増産対応によってイラン産原油の代替供給を完全に行い、原油価格の100ドル台乗せを回避できるのかは不透明としている。このままガソリン価格が本格的な値下り局面に転換するには、乗り越えるべきハードルが数多く残されている。

なお、サウジアラビアの反政府記者の殺害を巡って、国際世論がサウジアラビアに対して批判的になっている。サウジアラビアは制裁が行われれば報復を行うと警告しており、いわゆる「武器としての石油」を巡る議論が活発化している。現時点で原油の供給削減措置などは現実の脅威になっていないが、今後の動向には注意が必要である。
(2018/10/24執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年10月29日「私の相場観」

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