2018年のガソリン価格が急騰している背景

資源エネルギー庁が10月11日に公表した「石油製品価格調査」によると、レギュラーガソリンの全国平均価格は1リットル=157.5円となった。前週の155.2円から2.3円の大幅な上昇であり、これで6週連続の値上がりになる。

今年最初の調査となる1月9日時点では141.7円だったのが、5月28日時点で約3年半ぶりに150円台に乗せたが、早くも160円台到達が現実味を増し始めている。現在の価格よりも高値は2008年と13~14年にかけて経験しているが、「歴史的なガソリン価格高」であることは間違いなさそうだ。

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では、なぜガソリン価格は高騰しているのだろうか。

マクロな視点で言えば、米国のシェールオイル産業の成功で大きな混乱を見せた国際原油需給が、正常化方向に向かっていることがある。2014年はシェールオイルの急激な増産を受けて、石油輸出国機構(OPEC)が需給・価格安定化の役割りを放棄したことが原油価格の急落を促がした。しかし、その後は主要産油国の協調減産、良好な世界需要環境などを背景に需給環境が適正化に向かっていることが、原油価格の上昇と言うよりも安値修正を促している。

実際にガソリン価格の上昇はここ最近になって突然に始まったものではなく、2016年3月7日時点の112.0円を起点とした2年半以上にわたる上昇局面の延長線上に位置付けられるものである。

一方で今年中盤以降にガソリン価格の上昇ペースが加速しているのも間違いのない事実である。年初の時点では前年比で10円強の値上がりだったが、直近では22.6円もの値上りになっている。

これは、世界の石油市場からイラン産原油が急速に姿を消している影響である。米国のトランプ政権は、2015年7月に最終合意したイラン核合意について、イランの核兵器やミサイル開発を阻止できないとして、今年5月に同合意からの離脱を決定した。それに伴い、11月4日を以ってイラン産原油に対する制裁停止状態を解除するとして、各国に対してイラン産原油取引の完全停止を求めている。イラン核合意はオバマ政権時代の遺産(レガシー)の一つだが、米政府はイラン産原油取引のみならず、輸送、保険、決済などの幅広い分野に対する制裁をちらつかせ、各国に対してイラン産原油の取引停止を強く促している。

この結果、日本を含むイラン産原油の取引相手国は一斉にイラン産原油取引から手を引き始めており、ある調査会社の試算だとイラン産原油の輸出量は4月の日量250万バレルが、10月第一週時点で110万バレルまで、実に140万バレルも減少している。日本の原油・石油製品の純輸入量が約380万バレルであることと比較すると、国際原油市場に激震が走っていることが理解できよう。

国際原油市場は今、イラン産原油の供給減少分をカバーできるのかを真剣に議論している。サウジアラビアやロシア、ブラジルなどの増産対応で大きな問題にならないとの見方がある一方、もはや代替供給を早期に確保するのは難しいといった見方もある。今年中盤以降のガソリン価格の高騰は、イラン産原油の供給が失われるショックを解消できないのではないのかという危機感の表れであり、ある意味では世界を不安定化させる「トランプ・ショック」の一類型と言うことができる。

価格が高騰すれば世界のどこからから供給が増えるというのが経済学の理論だが、イラン産原油の供給減少ペースは極めて早く、代替供給先を確保する目途が立つまで、ガソリン価格の上昇は続くことになる。過去数年、もはや原油価格は上がらないと投資を怠ってきたツケを払っているのかもしれない。【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)2018年のガソリン価格が急騰している背景(Yahoo!ニュース)

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