過去最高の豊作が実現
シカゴ穀物相場は軟調

米穀倉地帯では2018/19年度産の収穫が本格化し始めている。春先の作付けから夏の受粉期を過ぎ、成熟した穀粒を農地から回収する時期を迎えている。今年は世界的に熱波が深刻化し、それは米国においても例外ではなかった。主要穀倉地帯ではノースダコタやサウスダコタ州などでも土壌水分不足が深刻化し、十分な収量を確保できるのか疑問の声も上がっていた。しかし、天候相場を通じてみると不作を招くまでの深刻な干ばつ被害が発生した訳ではなく、最終的には豊作実現がほぼ確実な情勢になっている。

米農務省(USDA)の最新報告によると、トウモロコシのイールド(単収)見通しは181.3Bu/エーカーであり、前年度の176.6Buを2.7%上回る過去最高の豊作状態が報告されている。これでトウモロコシのイールドが過去最高を更新するのは3年連続であり、多少の天候トラブルでも傾向イールドを大きく上回るのが可能な状態になっている。品種改良や農業技術進展の影響などが指摘されているが、従来の気象環境とイールドとの関係性を見直す必要性さえ浮上している。

大豆のイールド見通しも52.8Buであり、前年度の49.1Buからは7.5%の上振れになる。これは16/17年度に次ぐ過去最高の更新であり、今年はトウモロコシと大豆がともに過去最高のイールドを記録する歴史的な豊作環境が実現したことになる。

ただ、マクロ需給環境の評価はトウモロコシと大豆とで大きく異なる。トウモロコシに関しては、2年連続で作付面積を削減していることもあり、総供給量ベースだと16/17年度の169.37億Buをピークに168.79億Buまで小幅ながら減少する見通しになっている。即ち、作付面積の減少が豊作ショックをある程度まで相殺する見通しになっている。一方、総需要は3年連続で過去最高を更新する見通しであり、期末在庫だと16/17年度の22.93億Buから17/18年度が20.02億Bu、18/19年度が17.74億Buと、急ピッチな在庫減少傾向が想定されている。

例年、収穫時期を迎える9月のトウモロコシ相場は軟化し易いが、過去の在庫率と価格との関係性をみると、9月の1Bu=350セントを割り込むような展開には過熱感が強い。例年9月前後にトウモロコシ相場は底入れする傾向にあり、現状は年間最安値を出し尽くす時期との評価になる。

一方、大豆は作付面積の十分な削減が進まないこともあり、5年連続で在庫積み増しが想定されている。期末在庫見通しは17/18年度の3.95億Buから8.45億Buまで急増する見通しであり、大豆相場が大きく上昇する余地は殆んど存在しない。しかも、米中貿易摩擦で中国向け輸出に不透明感が強く、更にはアフリカ豚コレラ(ASF)といった飼料需要環境に対する不透明感を高める動きもある。仮に底入れしても本格反発は難しく、安値低迷状態が続こう。
(2018/09/19執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年9月24日「私の相場観」

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