◎〔アナリストの目〕天然ゴム、価格低迷で市況対策を促す時間帯

東京商品取引所の天然ゴム先物相場(先ぎり継続足)は、5月22日の1キロ当たり202円10銭を高値に、7月5日には166円90銭まで下落するなど値位置を切り下げている。2016年10月以来の安値水準となり、数カ月スパンで発生する戻り圧力をこなしながらも、ダウントレンドの継続が確認できる。上海ゴム相場も、5月の1トン=1万2000元台に対し、7月は1万元の節目を維持できるかが問われる局面に移行している。

天然ゴム生産国連合会(ANRPC)によると、1〜5月期の国際需給は、消費が前年同期比6.2%増の582.2万トンに対し、生産は7.7%増の525.2万トンとなり、57.0万トンの供給不足だった。季節トレンドに沿った動きだが、需給タイト化圧力が、特に減産期のピークとなる5月のゴム相場を押し上げたことを裏付けるデータと言える。

一方、5月下旬以降の産地集荷量は安定しており、供給不足は急速に解消に向かっているとの信頼感が、産地主導でゴム相場を圧迫している。タイ中央ゴム市場のRSS(くん煙シートゴム)の集荷量を見ても、減産期前の水準をほぼ回復、相場も5月22日の1キロ=52.99バーツをピークに、足元では45バーツ水準での攻防となるまで下落している。タイ南部では、イスラム過激派がゴム農園を狙った爆破テロを仕掛けるといった地政学リスクも再浮上したが、特に目立った影響は確認できていない。

コモディティー市場全体を見渡すと、米中貿易戦争化の直撃を受けた商品も目立ったが、ゴム相場に関しては、大きな影響は見られなかった。非鉄金属相場は軒並み急落したが、上海ゴム市場では人民元相場の急落がポジティブ材料視され、需給緩和圧力の上値圧迫は続くが、大きな値崩れは回避されている。

マクロ需給環境からは、ゴム相場が本格的なリバウンドを試す必要性は乏しい。異常気象による生産トラブルが広がりを見せるような事態にならなければ、産地主導の下押し圧力は継続しよう。ただ、産地現物相場の45バーツ水準はコストの議論が求められ、ここ数カ月のゴム相場低迷局面でも沈黙を保っていた生産国政府がようやく動きを見せ始めていることには注意が必要だ。

16日には、タイで副首相と農業協同組合省の高官が協議し、補助金交付による他農産物への作替え促進を促す案が浮上していることが明らかになっている。1800万〜2000万ライ(1ライ=1600平方メートル)のゴム作付面積に対して、年間20万ライのペースで今後5年にわたって面積削減を進めることが検討されているもようだ。過去を振り返ってみると、この種の施策は十分な市況対策効果を得られていないが、これが第一歩となって輸出規制などの、より強力な市況対策を巡る議論が活発化すれば、ゴム相場は下げ渋る可能性が浮上することになる。

ゴム相場は、マクロ需給要因に基づく下押し圧力に対し、政策調整による価格防衛を促す時間帯に移行する。170円の下は16年上期に防衛された150円水準まで目立った支持線は見当たらないが、徐々にダウントレンドから安値もちあいへの移行が打診されよう。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】


(2018/07/18執筆)
(出所)時事通信社「アナリストの目」2018/07/19

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