石油輸出国機構(OPEC)の7月月報が公表されました。6月のサウジアラビアの産油量は前月の日量1,001.5万バレルから1,042.0万バレルまで、40.5万バレルの急増となりました。6月22日開催のOPEC総会では7月1日から協調減産順守率の引き下げを実施することで合意していたはずですが、サウジに関しては6月中に政策調整を実施していたことが確認できます。

問題は、サウジがこれだけの大規模増産を実施しても、OPEC産油量は前月の日量3,215.4万バレルから3,232.7万バレルまで、17.3万バレルの増加に留まっていることです。リビア、アンゴラなどの減産圧力が強く、サウジアラビアが早めに増産カードを切ったにもかかわらず、需給緩和圧力は限定されることになります。

【OPEC産油量】
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(出所)OPEC

サウジに関しては、基準産油量1,054万バレルに対して1,006万バレルまでの減産が要請されていましたが、今回の大規模増産によって、基準産油量まで残り12万バレルまで一気に減産を解除した格好になります。本来は49万バレルの減産が割り当てられていましたが、12万バレルの減産に留まっています。順守率を計算すると24%であり、過剰な増産カードを切ってしまった格好です。

イランは、各国に割り当てられた産油水準を上回ることはできないとしていましたが、サウジとしてはあっさりとこのイランの主張を否定した格好です。政策調整の詳細を詰めていなかっただけに、必ずしも合意違反とは言えませんが、サウジアラビアとしては打てる手は打った状態と評価できます。今後はサウジに残された増産余力は限定され、供給ショックに対する脆弱さが目立つことになります。サウジの大規模な追加増産に期待することはできず、供給障害の早期解消が求められることになります。この状況でイラン産原油の供給削減リスクに直面することは、気持ちが良いものではありません。

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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

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