トランプ米大統領のOPEC批判がエスカレートする中(参考:今すぐ価格を下げろ!、トランプ大統領の警告が無意味な理由)、OPECはなし崩し的に増産対応を迫られていました。OPECのバルキンド事務局長は6月22日のOPEC総会(参考:変化球になったOPEC総会)後に、トランプ大統領の要請に応えたと明言していました。完全な失言と考えていますが、それだけトランプ大統領の圧力に強く怯えたのでしょう。

しかし、その後もトランプ大統領のOPEC批判が続く中、OPECの対応が変わり始めたのかもしれません。マズルーリ議長は、下記のように発言しています。

“OPEC alone cannot be blamed for all the problems that are happening in the oil industry(石油業界で起きている全ての問題をOPECのせいにすることはできない)”、

"I feel OPEC is doing its part(OPECは役割を果たしている)"

Reuters=Do not blame OPEC, oil producer group says of Trump criticism

【マズルーリOPEC議長】
HE_AlMazroueiUAE




(画像出所)OPEC

トランプ大統領の圧力でOPECの政策が歪められることに対して、いよいよ本格的な危機感が高まり始めた可能性があります。OPEC内でもイランを中心に、米国の下部組織になり下がることに対する批判の声が強くなっていることにも配慮したのでしょう。マズルーイ議長は12月の次回定例総会まで臨時総会を招集する必要はないと、必ずしも必要がないことにまで言及しています。

本来であれば、6月にトランプ大統領がOPEC批判を行った際に、OPECとしては必要な政策調整は十分に行っており、米国の圧力に応じて政策調整は行わないと明言すべきでした。しかし、バルキンド事務局長が6月のOPEC総会においてトランプ大統領の圧力の影響を認めてしまう失言を行ってしまったばかりに、トランプ大統領は「圧力を掛ければOPECは動く」ことを学習してしまいました。

安全保障上の観点からも米国との関係を過度に悪化させたくない地政学環境、トランプ大統領の圧力に屈してOPECの存在意義を喪失するリスクの回避、必要以上の増産対応を迫られる需給の歪みに対する恐怖心と、様々な計算がOPECに混乱をもたらしています。

必要なのは、OPECの需給見通しに基づき、できる限り需給を安定化させる供給政策を採用することですが、トランプ大統領の増産要請圧力にどのように対応するのか、需給よりも政治的文脈の影響が大きくなっています。

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