6月22日の石油輸出国機構(OPEC)総会まで残り2週間を切っていますが、未だにどのような政策対応が講じられるのか、そもそも政策調整が行われるのかも、よく分からない状況が続いています。ベネズエラ産原油の供給減少、イラン産原油の供給不安などへの対応の必要性が協議されていますが、ここにきてイラクが(米国などの)増産圧力に屈しで政策調整を行うことに異議を唱えるなど、OPEC内でも不協和音が観測されています。

Reuters=Iraq says oil producers should not be influenced by calls to boost output

米政治は秋の中間選挙への対応が全てに優先される状況になっており、米政府内からは自らの対イラン政策によるガソリン価格高騰を回避するため、OPECに対する増産プレッシャーが強くなっています。具体的に日量100万バレルといった数値も報じられていますが、OPECのバルキンド事務局長はこうした米国の声に応えるために政策調整を行うことに支持を表明しています。

一方、米国の国益のためにOPECが政策調整を行うことには疑問の声もあり、既にイランは明確に反対の立場を表明しています。そして、11日にはイラクのルアイビ石油相も現在の政策調整を巡る議論の状況に疑問を投げ掛けています。

本来であれば、OPECの需給見通しに基づいて政策調整を議論する所を、供給増加ニーズを過度に強調する米国からのプレッシャーでなし崩し的に増産対応を迫られることを批判しています。イラクとしては、まだ政策調整による下支えが必要な需給環境・見通しとの認識であり、それにもかかわらずサウジアラビアなどの一部加盟国が先走って政策調整を規定路線化するような動きに強い不満が表明されています。

ルアイビ石油相の発言は完全な正論です。本来は、今後の需給見通しに基づいて政策調整の是非、レベルを議論し、合意形成を進める所ですが、全ての手続きを省略して米国からの圧力が増産を規定路線化しようとする動きは異常です。サウジアラビアやUAE、クウェートなどとしては、改めてイランやイラクと十分な対話を進めて政策調整の合意を取り付けることが必要な手順と考えていますが、サウジアラビアの視線は専らロシアの方向に向かっており、OPEC加盟国と非加盟国のトップ会談で協調減産政策修正を合意に持っていく方向に進んでいます。

OPEC総会は「タフ(tough)なものになる」、「非常にタフではないが」とのルアイビ石油相の発言は、まだ十分なコンセンサス形成が進んでおらず、大きな不確実性が残されていることを示唆していると言えそうです。


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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

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