◎〔アナリストの目〕天然ゴム、減産期終了で安値低迷か

5月の東京天然ゴム先物相場は一時、上海ゴム相場高と円安の支援を背景に1キロ=202円10銭に上昇し、1月29日以来の高値を更新した。1トン=1万1000元台でこう着状態が続いていた上海ゴム相場が、約2カ月ぶりに1万2000元台を回復する動きを見せたタイミングと円安が重なったことが、素直に好感された結果である。東南アジアの生産地が減産期のピークを迎えたことも、心理的な支援材料と言えよう。

需給面では、中国とインドのタイヤ向け需要が想定を上回った影響が、この時期のゴム相場押し上げ要因として指摘可能である。例えば、中国の4月新車販売台数は前年同月比11.5%増となり、旧正月の影響を排除すると2016年11月以来となる2桁の増加率を記録している。

インドも17年4月に新たな排ガス規制が導入される前の駆け込み需要の影響がほぼ解消され、新車販売は6カ月連続で2桁増となっている。天然ゴム生産国連合(ANRPC)の最新予測では、18年通期で需要が前年比6.4%増の1430万トン、生産が同6.4%増の1420万トンとなり、おおむね需給のバランスが取れるとの見通しになっている。

一方で、4〜5月は乾期に伴う減産圧力がピークとなる時期であり、この時期の高値が200円水準にとどまったことは、今後もゴム相場の安値低迷が続く可能性が高いことを示している。東南アジアではモンスーンも警戒されているが、タイやインドネシア、マレーシア、ラオス、カンボジアなどの広範囲にわたって潤沢な降水量が確保されており、タイ中央ゴム市場の集荷量も明確に上向き始めている。

価格水準が低いため、例年と比較するとタッピング(ゴム樹液採取)の再開が遅れているといった報告も一部で聞かれるが、大きな問題は確認できない。実際に、これまで消費地相場の動向にかかわらずじり高の展開が続いていた産地相場も、天井形成型の値動きを見せている。タイ産RSSの場合だと、5月22日の高値から3%強の値下がりになっている。

5月下旬以降は上海ゴム相場の反落と円高が東京ゴム相場を下押ししており、180円台後半まで軟化している。特に当ぎりの値崩れ傾向が顕著であり、170円台前半の値位置は4月18日以来となる約1カ月半ぶりの安値となる。消費国の在庫は潤沢であり、日本の営業生ゴム在庫は昨年末から39%増、上海期貨交易所の認証在庫は同24%増と、急増傾向が続いている。

コスト論の視点では、現行価格水準から大きな値崩れが要求されず、期先限月ベースで180円水準を大きく下抜くのであれば、急激な円高や米中貿易戦争化といった追加のネガティブ材料が必要不可欠である。このため、170〜200円水準の安値低迷状態が基本になろう。

 【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(2018/06/04執筆)
(出所)時事通信社「アナリストの目」2018/06/04

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