◎〔アナリストの目〕産地主導の上昇を打診する天然ゴム相場

東京天然ゴム先物相場は、2月16日の1キロ=179円20銭をボトムに190円水準までコアレンジを切り上げる展開になっている。トランプ米政権の引き起こす貿易戦争に対する懸念からコモディティー市況全体の上値の重さが目立ち、しかも、為替市場で円高圧力が強まる逆風が吹き荒れる中にあっては、一定の底堅さを示したと言えよう。上海ゴム先物相場も、中国市場における鉄鉱石や石炭相場などと比較すると、相対的な底堅さが目立つ状況にある。

消費国の在庫積み増し圧力が続く中、一時的なリバウンドにすぎないとの見方も強い。例えば、全国営業生ゴム在庫は昨年10月10日の5302トンをボトムに、緩やかな増加傾向が続いており、直近の2月28日時点で1万5206トンに達している。前年同期に比べ3.3倍の規模であり、期近限月主導の値崩れ期待も強い。ただ、実際には当ぎりも急伸こそないが底堅く推移しており、順ざや形成に関しては「期近限月の弱さ」というよりも、「期先限月の強さ」との評価が妥当と評価している。

では、なぜゴム相場が底堅く推移しているかだが、産地主導の上昇圧力である可能性が高い。生産地では2月現在でタイ北部、カンボジア、ラオスなどで乾燥傾向が報告されていたが、3月入りしてからタイ南部やベトナムなどでも雨期から乾期への移行が確認されている。インドネシアとマレーシアではまだ安定した降水量が確保されており、必ずしも集荷量が大きく落ち込んでいるわけではない。

しかし、タイ中央ゴム市場の現物相場は、過去1カ月でUSSが4.9%高、RSSが4.0%高と底堅く推移している。ドル建てオファーもタイ産RSSを中心に上昇圧力が目立つ状況にある。

しかも、主要生産国は1〜3月期の最大35万トンの輸出規制を柱とする市況対策を、減産期のピークに向けてさらに継続する方向で調整を行っている。まだ正式決定には至っておらず、シームレスに4月も市況対策を継続するのかは不透明感が残されるが、輸出規制、作付面積の削減、需要喚起策といった各種市況対策が検討されている。タイ当局からは、現行価格を27%上回る1キロ=60バーツ台を目指す方針も再確認されている。

2018年の世界天然ゴム需要に関しては2.8%の増加予想だが、何らかの生産調整を実施しない限りは、需給が引き締まる余地はほとんど存在しない。ただ、コスト論の視点でも産地相場の大幅な値崩れは要求されておらず、このまま4〜5月の減産期に向けて産地相場が強含み、上海ゴム相場も底固く推移するのであれば、東京ゴム相場も200円台までコアレンジを切り上げる余地が浮上することになる。

今年の国際ゴム相場は、上海ゴム市場における投機マネーの動向に強く依存しており、方向性の把握が極端に難しい相場環境が続いていた。足元でも先行き不透明感の強さから売買見送りムードが目立つことは否めない。ただ、産地主導で消費地相場を押し上げるトレンド形成が打診される重要局面を迎えていることは間違いなさそうだ。

※小菅 努(こすげ・つとむ) マーケットエッジ代表 

(2018/03/18執筆)
(出所)時事通信社「アナリストの目」2018/03/19