小菅努の商品アナリスト日記

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2018年10月

高尾山みた富士山

久しぶりに高尾山に登ってきました。前日の豪雨、その後の快晴、気温は低めと理想的な富士山ビューの日になりました。ここまできれいに見えるの、珍しいですね。まだ紅葉シーズン前ですが、大混雑でした。

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【小菅努】

 

サウジが示唆した「武器としての石油」

サウジが示唆した「武器としての石油」

サウジアラビアの反体制派記者がトルコのサウジ領事館に入ってから行方不明になり、殺害されたとの疑惑が強まる中、トランプ米大統領はもしサウジ政府の関与が明らかになった場合には「厳しい罰を科す」方針を示した。これに対してサウジアラビア政府は、「いかなる脅しも敵対行為も、一切を拒絶する」として、更に「我々に対するいかなる行動にもそれよりも大きい対応で応えるつもりだ」として、何らかの制裁が行われればそれを上回る報復を行う方針を明らかにした。

具体的なことは何ら明らかにされていないが、マーケットはサウジアラビアが「武器としての石油」を使う可能性を示唆したのではないかとの緊張感が走った。

現在、トランプ政権は原油価格動向に神経を尖らせており、原油高、そして石油輸出国機構(OPEC)批判を繰り返している。トランプ政権が決断したイランに対する経済制裁が原油価格の高騰を促す中、中間選挙を前に「トランプ大統領の政策がガソリン高で消費者を苦しめている」とのストーリーを打ち消すことに躍起になっているためだ。

一方、サウジアラビアは米国の要請に応える形で増産対応を行っており、イラン産原油の供給が市場から失われる中で、そのショックを吸収する重要な役割を果たしている。ここ最近は、OPECの合意を無視するかのような過剰増産を行い、合意違反をイランから厳しく責められている最中である。

こうした中で、サウジアラビアが報復を行うとすれば、それは間違いなく原油に絡んだ政策になる。サウジアラビア政府は「サウジ経済は世界経済にとって不可欠で、影響力のある役割を担っている」と直接的な言及は避けているが、明らかに原油を念頭においた脅しを行っている。仮にサウジアラビアがトランプ大統領の「厳しい罰を科す」に抵抗を示すのであれば、それは(特に米国向けの)原油供給を絞ることになる。もしそのような制裁・報復が現実化すれば、国際原油価格はWTI原油ベースで1バレル=70ドル台の現行価格から、一気に100ドル、150ドルと急騰する可能性も排除できなくなる。世界経済環境も激変する可能性がある。

現実問題としては、米国がサウジアラビアに対して「厳しい罰を科す」可能性は低い。現在の中東政策の要である対イラン政策ではサウジアラビアの協力が必要不可欠であり、またサウジアラビアは米国の重要な武器購入先(お客様)でもある。実際に、トランプ大統領も1,100億ドル相当の武器を輸出する合意に関しては維持したいとして、対中国政策などとは明らかに異なる態度を見せている。

その後、CNNは「ならず者が尋問中に誤って殺害した」との報告書をサウジが準備していると報じ、トランプ大統領は「行きずりの殺し屋のせいではないか」など、明らかに論理がおかしい幕引きを急ぎ始めている。両国ともに、米国-サウジアラビアの対立には発展させることができないとの警戒感があるのだろう。

NYMEX原油先物相場も、10月15日の取引では前日比0.44ドル高の71.78ドルと限定的な反応に留め、16日のアジアタイムにはこの上昇幅を完全に相殺する71ドル台前半まで軟化する動きをみせている。サウジアラビアが「武器としての石油」を使うことはないだろうとの評価に傾いていることが確認出来る。

サウジアラビアとしても、具体的に「武器としての石油」に言及している訳ではないが、もしそれが実行に移されるとすれば、1973年にイスラエル支持国に対する経済制裁として、禁輸措置が実施された第一次オイルショック以来の大きな出来事になる。

ただ、オイルショックは省エネルギーや脱石油エネルギーなどの脱石油を促し、中東産油国にとっては必ずしも好ましい結果を生み出さなかった。それ以降、「武器としての石油」は一種のタブー化していたが、サウジアラビアというOPEC最大の産油国がそれを使う可能性を示唆したことは、それだけで消費国の石油に向ける視線を厳しいものにさせる可能性がある。サウジアラビアとしては、「反政府記者殺害という不名誉」を得るのに留まらず、「安定した原油供給国としての信頼」を今回の事件で失うことになるのかもしれない。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)サウジが示唆した「武器としての石油」(Yahoo!ニュース)

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米金利上昇が抑える金相場

米金利上昇が抑える金相場
市場は金利上昇に耐えている

米国債利回りが急伸している。10年債利回りは8月下旬の2.8%水準に対して、10月入りしてからは3.2%台まで水準を切り上げている。これは2011年5月以来の高金利環境が実現していることを意味する。背景としては、良好な米実体経済環境がインフレリスクを高めているとの理解が基本になるが、その一方で米国と対立する中国やロシアが米国債売りを仕掛けている可能性も指摘されており、マーケットも何が起きているのか明確なコンセンサスを形成できていない。

ただ確かなことは、インフレ見通しの上昇を上回るペースで名目金利が上昇していることであり、実質金利は1%の節目を突破した状態が確立している。すなわちマーケットにおける金利の存在感が一気に高まっている。これは無金利資産である金価格に対しては強力な逆風になるものであり、金利環境からはドル買い・金売り対応が基本になる。

9月25~26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、2020年にも利上げサイクルが終了する見通しが示された。一方で、その後の米金融当局者の発言は極めてタカ派色が強いものになっている。例えば、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)は当面の経済成長に極めて強い自信を示し、景気に対して緩和的でも引き締め的でもない中立金利ゾーン、更にはそれを上回る水準までの利上げサイクル継続が続く可能性を強く示唆している。同議長は、失業率低下が進む中でインフレ圧力が抑制されている現状について「異例」との認識を示し、インフレ防衛的に段階的に利上げサイクルを進める必要性を強く訴えている。

現状では、中立金利を上回る水準までの利上げが米金融当局者のコンセンサスとまでは言えない。しかし、複数の当局者から当面の強力な利上げサイクルを支持する発言が相次いでおり、マーケットはFRBの利上げに対する本気度を織り込む必要性を迫られている。

もちろん金価格は金利環境だけで決まるものではない。しかし、実質金利と金価格との間には歴史的に見ても強い逆相関関係が確認でき、金利上昇圧力の強さは金価格の下振れリスクを高めることになる。

 一方で、金利上昇圧力は金市場以外のマーケットにも大きな影響を及ぼすことになる。例えば、株式市場において金利上昇圧力は資金調達コストの上昇圧力に直結し、企業業績の下振れリスクを高めることになる。特に原油高で原材料価格に上昇圧力が強まる中、金利上昇は無視することができない。また、米国の金利上昇圧力は新興国や資源国といったいわゆるハイリスク通貨からの資金引き揚げを促すことで、新興国市場に不測のトラブルを引き起こす可能性もある。安全資産に対する投資ニーズが高まれば、金利環境に変わらず金が買われる可能性はある。その意味では、金価格の安値低迷が続く限りは、マーケットは米金利上昇圧力を許容していると言えよう。
(2018/10/10執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年10月15日「私の相場観」

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2018年のガソリン価格が急騰している背景

2018年のガソリン価格が急騰している背景

資源エネルギー庁が10月11日に公表した「石油製品価格調査」によると、レギュラーガソリンの全国平均価格は1リットル=157.5円となった。前週の155.2円から2.3円の大幅な上昇であり、これで6週連続の値上がりになる。

今年最初の調査となる1月9日時点では141.7円だったのが、5月28日時点で約3年半ぶりに150円台に乗せたが、早くも160円台到達が現実味を増し始めている。現在の価格よりも高値は2008年と13~14年にかけて経験しているが、「歴史的なガソリン価格高」であることは間違いなさそうだ。

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では、なぜガソリン価格は高騰しているのだろうか。

マクロな視点で言えば、米国のシェールオイル産業の成功で大きな混乱を見せた国際原油需給が、正常化方向に向かっていることがある。2014年はシェールオイルの急激な増産を受けて、石油輸出国機構(OPEC)が需給・価格安定化の役割りを放棄したことが原油価格の急落を促がした。しかし、その後は主要産油国の協調減産、良好な世界需要環境などを背景に需給環境が適正化に向かっていることが、原油価格の上昇と言うよりも安値修正を促している。

実際にガソリン価格の上昇はここ最近になって突然に始まったものではなく、2016年3月7日時点の112.0円を起点とした2年半以上にわたる上昇局面の延長線上に位置付けられるものである。

一方で今年中盤以降にガソリン価格の上昇ペースが加速しているのも間違いのない事実である。年初の時点では前年比で10円強の値上がりだったが、直近では22.6円もの値上りになっている。

これは、世界の石油市場からイラン産原油が急速に姿を消している影響である。米国のトランプ政権は、2015年7月に最終合意したイラン核合意について、イランの核兵器やミサイル開発を阻止できないとして、今年5月に同合意からの離脱を決定した。それに伴い、11月4日を以ってイラン産原油に対する制裁停止状態を解除するとして、各国に対してイラン産原油取引の完全停止を求めている。イラン核合意はオバマ政権時代の遺産(レガシー)の一つだが、米政府はイラン産原油取引のみならず、輸送、保険、決済などの幅広い分野に対する制裁をちらつかせ、各国に対してイラン産原油の取引停止を強く促している。

この結果、日本を含むイラン産原油の取引相手国は一斉にイラン産原油取引から手を引き始めており、ある調査会社の試算だとイラン産原油の輸出量は4月の日量250万バレルが、10月第一週時点で110万バレルまで、実に140万バレルも減少している。日本の原油・石油製品の純輸入量が約380万バレルであることと比較すると、国際原油市場に激震が走っていることが理解できよう。

国際原油市場は今、イラン産原油の供給減少分をカバーできるのかを真剣に議論している。サウジアラビアやロシア、ブラジルなどの増産対応で大きな問題にならないとの見方がある一方、もはや代替供給を早期に確保するのは難しいといった見方もある。今年中盤以降のガソリン価格の高騰は、イラン産原油の供給が失われるショックを解消できないのではないのかという危機感の表れであり、ある意味では世界を不安定化させる「トランプ・ショック」の一類型と言うことができる。

価格が高騰すれば世界のどこからから供給が増えるというのが経済学の理論だが、イラン産原油の供給減少ペースは極めて早く、代替供給先を確保する目途が立つまで、ガソリン価格の上昇は続くことになる。過去数年、もはや原油価格は上がらないと投資を怠ってきたツケを払っているのかもしれない。【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)2018年のガソリン価格が急騰している背景(Yahoo!ニュース)

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TOCOMにTSR上場、日本が発信する天然ゴムの国際指標

TOCOMにTSR上場、日本が発信する天然ゴムの国際指標

東京商品取引所(TOCOM)は10月9日、「TSR」を新規上場した。TSRと言われても一般の人(多くの投資家にとっても)には分かりづらいが、自動車タイヤなどに使用される天然ゴムの区分の一つになる。現在、TOCOMのゴム市場にはRSS(Ribbed Smoked Sheet)が上場されているが、これに加えてTSR(Technically Specified Rubber)も上場することで、ラテックスなどを除いた国内に流通する天然ゴムのほぼ全てをカバーできる体制を整えることになる。

RSSとTSRはともに用途としては自動車タイヤが8~9割を占めているが、RSSが「視覚的格付けゴム」、TSRが「技術的格付けゴム」とも言われるように、グレードの格付け手法に違いがある。天然ゴムは、ゴムの樹液から作られるためにどうしても品質にばらつきが生じるが、RSSは国際品質包装規格に準拠した視覚検査によって格付けを行う。一方、TSRは技術的に標準規格が定められており、客観的な技術検査によって格付けを行う。

両者には格付け手法の他に製造過程にも違いがあるが、基本的にはユーザーにとって必ずRSSでなければならない、または、TSRでなければならないといったものではない。しかし、国内メーカーは伝統的にタイ産RSSを志向していたため、日本の商品先物市場において天然ゴム先物と言えば、それはRSSとほぼ同義だった。しかし、近年は国内メーカーのTSRシフトの動きが強くなっており、「国内に流通する天然ゴム」と「TOCOMに上場する天然ゴム」との間に微妙なギャップが発生していた。

具体的な数値でみてみると、2000年時点で国内に流通する天然ゴムはRSSが53%、TSRが31%となっていたが、2017年時点だとRSSが19%、TSRが79%となっており、ほぼ8割がTSRになっている。このため、市場関係者からはTSR上場の必要性を訴える声が強くなっていたが、ついに上場が実現して取引が開始されたのが10月9日である。

■日本が発信する天然ゴムの指標価格
世界には幾つかの天然ゴム先物市場が存在しており、有名なのだと中国・上海期貨交易所(SHFE)とシンガポール取引所(SGX)がある。中国は出来高としては最大のゴム市場になるが、グローバルに解放された市場ではないため、極めて投機色が強いマーケットになっている。一方、SGXはRSSとTSRを既に同時上場しているが、特にRSSの出来高が少なく、指標価格としては疑問の声も強い。

一方、TOCOMの天然ゴム先物は1952年の東京ゴム取引所から続く伝統もあって、国際指標として高い評価を受けている。コモディティ(商品)価格は一般的にニューヨークかロンドン市場に国際指標が存在するが、天然ゴムは日本が国際指標を提示している数少ないマーケットの一つになる。世界のゴム取引はここで形成される価格を指標にしていると言っても過言ではない。こうした中で、TOCOMがRSSに加えてTSRも上場することは、リアルタイムにRSSとTSRの国際指標価格が世界に発信されることを意味する。

世界に向けて指標価格を提示すると同時に、実需や投資家の市場参加を促すことで、RSSとTSRの大きなゴム市場を作り出すことができるか、TOCOMゴム市場の大きな挑戦が始まっている。
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)TOCOMにTSR上場、日本が発信する天然ゴムの国際指標(Yahoo!ニュース)

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。仮想通貨、為替、株価指数などもカバーしています。

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