小菅努の商品アナリスト日記

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2018年10月

ガソリン小売価格が160円台に

ガソリン小売価格が160円台に
11月は値下りする見通しだが

資源エネルギー庁が発表した石油製品の店頭小売価格調査によると、直近の10月22日時点のレギュラーガソリン価格は、全国平均で1リットル当たり前週比0.4円高の160.0円となった。8週連続の値上がりであり、160円台乗せは2014年11月4日以来のことになる。16年3月には一時112.0円まで値下がりしていたが、そこからの2年半で48.0円(43%)もの大幅な値上がりになる。

米国が5月にイランに対する経済制裁を決定したことで、国際市場からイラン産原油の供給が排除されており、需給ひっ迫化が国際原油相場を大きく押し上げた結果である。指標となるNY原油先物相場の場合だと、16年2月の1バレル=26.05ドルをボトムに、今年10月には一時76.90ドルまで上昇している。原油調達コストの値上がりが進む中、ガソリン価格が急騰しているのは当然である。
一方で、目先のガソリン価格は値下がりが必至の状況にある。国際原油相場は10月3日にピークを打っており、その後は3週間にわたって急落しているためだ。原油価格がガソリン小売価格に反映されるには数週間のギャップが必要だが、足元の原油相場は60ドル台中盤まで、直近高値から13%を超える下落率を記録している。このまま原油相場の急反発がなければ、ガソリン小売価格が160円台定着から更に上昇することはなく、少なくとも11月にかけては150円台前半から中盤まで軟化する方向性になる。

なぜ原油相場が急落しているのかだが、直接的なきっかけは世界的な株安傾向である。投資家のリスク選好性が後退する中、株式市場と同様に原油市場からも投機マネーが流出している。また、サウジアラビアやロシアがイラン産原油の供給減少をカバーする増産を進めていること、製油所のメンテナンスシーズンで米国内原油在庫が積み上がっていることなども、原油相場の上値を圧迫している。

ただ、既にサウジアラビアやロシアなどの増産対応は限界が近づいており、国際エネルギー機関(IEA)は余剰生産能力を犠牲にした増産について、価格高騰リスクを高めると警告を発している。また、今後は冬の需要期が始まることになり、製油所稼働率の上昇と連動して米国内在庫も再びタイト化するリスクが高まる。サウジなども、足元の増産対応によってイラン産原油の代替供給を完全に行い、原油価格の100ドル台乗せを回避できるのかは不透明としている。このままガソリン価格が本格的な値下り局面に転換するには、乗り越えるべきハードルが数多く残されている。

なお、サウジアラビアの反政府記者の殺害を巡って、国際世論がサウジアラビアに対して批判的になっている。サウジアラビアは制裁が行われれば報復を行うと警告しており、いわゆる「武器としての石油」を巡る議論が活発化している。現時点で原油の供給削減措置などは現実の脅威になっていないが、今後の動向には注意が必要である。
(2018/10/24執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年10月29日「私の相場観」

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ゴルジュを登る棒ノ折山

秩父山域の南端に位置する棒ノ折山です。沢沿いの登山道で、岩に挟まれたゴルジュの中を通って山頂を目指します。

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【小菅努】
 

ガソリン価格高騰で、給油を急ぐべきか否か

ガソリン価格高騰で、給油を急ぐべきか否か

資源エネルギー庁が10月24日に公表した「石油製品価格調査」によると、レギュラーガソリンの全国平均価格(10月22日時点)は1リットル=160.0円となり、3年11ヶ月ぶりに160円台に乗せた。2016年3月7日時点の112.0円をボトムに僅か2年半という期間で48.0円(43%)も値上りしたことは、一般メディアでも家計への負担を高める動きとして大きく報じられている。これで8週連続の値上りであり、150円水準から160円台までの値上りペースの速さは注目に値する。

秋の行楽シーズンとあって早く給油した方が良いのか、それとも給油を少し待った方が良いのかは難しい問題だが、現在のガソリン価格環境においては、出来る限り給油時期を先送りするのが正解である。

ここ最近、中東ではサウジアラビアの反政府記者がトルコ領事館で殺害された事件が大きく取り上げられていることもあり、25日午前のTV番組ではこの事件の影響でガソリン価格が高騰していると解説しているものも多く見掛けた。つまり、今回のサウジを巡る混乱状態が原油高を通じてガソリン価格を押し上げているとのロジックである。

しかし、ガソリン小売価格は国際原油価格の値動きを瞬時に反映するものではなく、原料価格の高騰が反映されるまでには、一定のタイムラグを有している。さすがに10月上旬に発生した事件が直ちにガソリン価格の高騰を促すことはない。今回のガソリン価格高騰は、あくまでも米政府の対イラン制裁が11月4日をもって再開されることに伴う供給不安を反映したものであり、サウジの記者殺害事件は関係ない。

寧ろここ最近の国際原油価格は急落傾向にあり、現在のガソリン価格環境はいつ原油安の影響が反映されるのかといった視点にシフトしている。小売業者が、値上げよりも値下げに慎重なのはガソリンに限ったものではないが、ガソリンの原料である原油価格は10月に大きく値下がりしている。例えば国際指標であるNY原油先物価格は10月3日の1バレル=76.90ドルをピークに、現在(10月25日)では66ドル台まで最大15%の急落となっている。

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■10月のガソリン先物価格は急落している

より国内ガソリン価格を正確に表すものには東京商品取引所(TOCOM)のガソリン先物市場が存在しているが、そこで最も受け渡し時期が近い期近物と呼ばれる価格は、1kl当たりで10月5日の7万6,240円をピークに、現在は6万5,000円台まで急落している。1リットル当たりでは10円以上の値下りだが、このTOCOMガソリン価格は小売価格を決定する際の指標の一つになるものであり、徐々に末端のガソリン小売価格にも値下り圧力が発生することになる。

実際に今週の小売価格統計でも、34道府県で値上りしたのに対して、11都府県では値下りしている。早ければ、10月31日に発表される次回統計では、「ガソリン小売価格が9週間ぶりに値下り」といった報道が行われる可能性も十分にある。

現在の原油価格の急落に関しては、1)世界的な株安、2)サウジとロシアなどの増産対応、3)製油所メンテナンスによる需要減退時期などの幾つかの要因が指摘可能であり、必ずしも原油価格がピークアウトした訳ではない。

サウジアラビアのファリハ・エネルギー鉱物資源相も、再び原油価格が100ドル台まで上がることを阻止できるかは「保証できない」と慎重姿勢を示している。世界各地で原油供給障害が発生し、現状はサウジやロシアなどが生産余力をフル活用することで増産対応を行っている状態であり、国際エネルギー機関(IEA)などは極めて危険な状態にあり、こうした生産余力が失われた状態では価格上昇を伴うことが多いと警告を発している。

また、サウジ情勢によっては、世界各国が政治経済制裁に踏み切り、それにサウジが報復を行うことで国際原油市場が大混乱に陥る可能性も残されている。現時点のサウジ公式見解としては政治と石油は分けるとして、信頼できる原油供給国としての役割は果たすとしているが、将来は不透明である。

このため、160.0円がガソリン価格のピークとまでは言えないが、例えば11月23~25日の連休頃のガソリン価格は、今よりも安値である可能性が高い。160円台乗せのニュースに慌てて給油を行うような必要性はない。


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【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)ガソリン価格高騰で、給油を急ぐべきか否か(Yahoo!ニュース)

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金利上昇で不安定化する市場環境

金利上昇で不安定化する市場環境
金価格の上昇・下落パターンは?

10月の米株式相場は、2月に続いて今年2回目となる急落を経験した。ともに米長期金利の急伸が一つの要因になっており、良好な実体経済環境を背景に米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクルが着実に進展する中、金融市場に対するストレスが強まり始めていることが確認出来る。ただ、金利上昇圧力が市場から流動性を吸収する役割を有している以上、これまで緩和マネーの恩恵を受けてきた各種資産価格に影響が生じるのは当然であり、今後も利上げサイクルの終了時期に向けて金融市場が徐々に不安定化するリスクは想定しておく必要がある。

一方で、金利上昇はそれだけ実体経済環境が引き締まっていることの裏側展開であり、通常は金利上昇局面において株式市場が大きく値崩れを起こすことはない。寧ろ警戒されるのは、利上げサイクルを打ち止めにしなければならない程に実体経済環境が悪化する展開になる。現状では、米連邦公開市場委員会(FOMC)は2020年にかけて利上げサイクルを継続し、21年に利上げサイクルの終了、更には利下げへの転換を見据えた状態にある。景気に対して抑制も刺激もしない中立金利は3.0%とされているが、20年にはそれを上回る3.4%までの利上げが現時点で米金融当局者が描いている金利軌道である。この通りの展開が実現するのであれば、過熱した経済を寧ろ引き締め政策が抑制する方向性が想定されており、金市場にとっては今後2年近くにわたって強力な逆風が吹き続けることになる。

しかし、マーケットでは実際に20年まで利上げを継続できるのかは懐疑的な見方も強く、仮に19年に利上げサイクルの終了時期が前倒しされるような経済環境・見通しに移行しているのであれば、株価のピークアウト、金相場の底入れ時期が19年の中盤から後半に前倒しされることになる。最近の米指標や当局者発言などを見る限りは、ドル買い・金売りの大きな枠組みが修正を迫られる必要性は乏しい。

こうした中、金相場の急伸シナリオとして警戒されているのが、米政治環境である。11月6日の米中間選挙まで残り1か月を切っているが、仮に米世論がトランプ政権に「ノー」の判断を下して議会で民主党の勢力が大きく拡大すれば、トランプ米大統領の政策遂行は難しくなり、「決められない政治」の時代に逆戻りする可能性が高まる。米政治が各種課題に対応することができず、特に債務問題や予算を巡って身動きが取れない状態に陥ると、米金融政策環境と関係なく安全資産としての金に対する資金流入が促される可能性がある。また、トランプ政権は日欧中などの為替政策に批判の声を強めており、強引にこれらの国に通貨価値上昇を促すことがアメリカの国益と判断されると、トランプ政権の意向に沿ったドル安圧力が改めて金市場に対する資金流入を促す可能性はある。金融政策要因でこのまま金相場は下落するのか、政治要因で上昇に転じるのかが、今後の焦点になる。
(2018/10/17執筆)

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高尾山からみた富士山

久しぶりに高尾山に登ってきました。前日の豪雨、その後の快晴、気温は低めと理想的な富士山ビューの日になりました。ここまできれいに見えるの、珍しいですね。まだ紅葉シーズン前ですが、大混雑でした。

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【小菅努】

 
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小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。仮想通貨、為替、株価指数などもカバーしています。

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