小菅努の商品アナリスト日記

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2018年09月

天然ゴム、市況対策見送りで安値低迷続く

〔アナリストの目〕天然ゴム、市況対策見送りで安値低迷続く=小菅努氏 

東京ゴムは1キロ=170円水準で、ボックス気味の展開となっている。産地相場の値下がり傾向が続く中、当ぎりは明確なダウントレンドを形成しており、約2年3カ月ぶりに150円の節目を割り込んでいる。しかし、期先は上海ゴム相場の下げ渋りで値崩れに抵抗を示し、上値が重いものの明確なトレンドを形成するには至っていない。当先スプレッドは20円近くに拡大しており、限月間のバランスが大きくゆがんでいる。

産地相場は明確なダウントレンドを形成している。増産期の季節要因から需給緩和圧力が強まり、それが相場を下押しする教科書的な値動きとなっている。タイ中央ゴム市場の未薫製シート(USS)現物相場は、生産コスト割れが警戒される30バーツ台突入さえ警戒される状況にある。しかし、生産国政府の市況対策が望めない状況になっていることが、産地相場の下げをエスカレートさせている。

40バーツ割れ目前の現状は、過去を振り返ってみても、本来であれば価格防衛の議論が活発化してしかるべき状況と言える。ただ、トルコリラを起点とした新興国通貨安が東南アジア通貨にも本格波及する中、東南アジア諸国の政策優先度は「ゴム農家を支援するためのゴム市況対策」よりも「通貨防衛のための財政健全化」になっており、巨額の予算計上が要求される直接的な市場介入は見送られ続けている。

既に、タイ政府は市場介入見送りの方針を公式に確認しており、少なくとも国際協調の枠組みを使った大規模な市況は見送られ続ける可能性が高い。

また、ゴム生産国の現地通貨安は、他国通貨建てゴムの割安感を強めることで、ゴム相場の値下がり要因にもなる。ブラジル通貨レアル安を受けての砂糖やコーヒー相場の急落がシンボリックだが、東南アジアでも例えばマレーシアリンギット建てのパーム油相場が年初来安値を更新する動きをみせている。

ゴム相場は例年10〜12月期に下げ渋る傾向があり、特に12月と翌年1月は上昇リスクが高まる月になる。このため、現行価格水準から一気に値崩れを起こす必要性は乏しい。しかし、季節要因に基づく需給緩和圧力が続き、それを是正する政策調整が見込めない中、下値は150円水準まで見ておく必要があり、リバウンドしても180円水準が上値めどだろう。下振れリスクを残した安値ボックス気味の展開が基本になる。

◇10月9日にTSR追加上場

なお、東京商品取引所(TOCOM)は10月9日にTSRを追加上場し、今後のゴム市場はRSSとTSRの二本立てになる。日本のゴム輸入は伝統的にタイ産RSSに強く依存していたが、インドネシア産TSRへのシフトが進んでいることに対応するものである(ただし、RSS同様にTSRも標準品はタイ産)。

昨年の通関実績によると、日本の生ゴム輸入の78.7%がTSRになっており、RSSは18.9%にとどまっている。TSRはシンガポール市場などにも上場しているが、新たな指標価格とヘッジ、投機の場をTOCOMでも提供できるかが問われることになる。

流動性の分散化に終わってゴム市場全体が縮小するのか、それとも流動性向上に加えて新たな投資対象、裁定機会の提供が可能になるのか、今回のTSR上場は投資家目線でも重要なイベントになる。
【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(2018/09/25執筆)
(出所)時事通信社「アナリストの目」2018/09/26

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ラジオNIKKEI「マーケット・トレンド」(9月26日)

ラジオNIKKEI「マーケット・トレンド」(18:00~18:15)にゲスト出演しました。
TSRの新規上場についてお話しました。

宜しければオンデマンド(※配信は放送から数日間のみです)でお聴き下さい。
9月26日(水)放映分になります。


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 【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

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過去最高の豊作が実現

過去最高の豊作が実現
シカゴ穀物相場は軟調

米穀倉地帯では2018/19年度産の収穫が本格化し始めている。春先の作付けから夏の受粉期を過ぎ、成熟した穀粒を農地から回収する時期を迎えている。今年は世界的に熱波が深刻化し、それは米国においても例外ではなかった。主要穀倉地帯ではノースダコタやサウスダコタ州などでも土壌水分不足が深刻化し、十分な収量を確保できるのか疑問の声も上がっていた。しかし、天候相場を通じてみると不作を招くまでの深刻な干ばつ被害が発生した訳ではなく、最終的には豊作実現がほぼ確実な情勢になっている。

米農務省(USDA)の最新報告によると、トウモロコシのイールド(単収)見通しは181.3Bu/エーカーであり、前年度の176.6Buを2.7%上回る過去最高の豊作状態が報告されている。これでトウモロコシのイールドが過去最高を更新するのは3年連続であり、多少の天候トラブルでも傾向イールドを大きく上回るのが可能な状態になっている。品種改良や農業技術進展の影響などが指摘されているが、従来の気象環境とイールドとの関係性を見直す必要性さえ浮上している。

大豆のイールド見通しも52.8Buであり、前年度の49.1Buからは7.5%の上振れになる。これは16/17年度に次ぐ過去最高の更新であり、今年はトウモロコシと大豆がともに過去最高のイールドを記録する歴史的な豊作環境が実現したことになる。

ただ、マクロ需給環境の評価はトウモロコシと大豆とで大きく異なる。トウモロコシに関しては、2年連続で作付面積を削減していることもあり、総供給量ベースだと16/17年度の169.37億Buをピークに168.79億Buまで小幅ながら減少する見通しになっている。即ち、作付面積の減少が豊作ショックをある程度まで相殺する見通しになっている。一方、総需要は3年連続で過去最高を更新する見通しであり、期末在庫だと16/17年度の22.93億Buから17/18年度が20.02億Bu、18/19年度が17.74億Buと、急ピッチな在庫減少傾向が想定されている。

例年、収穫時期を迎える9月のトウモロコシ相場は軟化し易いが、過去の在庫率と価格との関係性をみると、9月の1Bu=350セントを割り込むような展開には過熱感が強い。例年9月前後にトウモロコシ相場は底入れする傾向にあり、現状は年間最安値を出し尽くす時期との評価になる。

一方、大豆は作付面積の十分な削減が進まないこともあり、5年連続で在庫積み増しが想定されている。期末在庫見通しは17/18年度の3.95億Buから8.45億Buまで急増する見通しであり、大豆相場が大きく上昇する余地は殆んど存在しない。しかも、米中貿易摩擦で中国向け輸出に不透明感が強く、更にはアフリカ豚コレラ(ASF)といった飼料需要環境に対する不透明感を高める動きもある。仮に底入れしても本格反発は難しく、安値低迷状態が続こう。
(2018/09/19執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年9月24日「私の相場観」

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原油価格の高止まりが続く

原油価格の高止まりが続く
イラン産の供給減が加速

NY原油先物相場は1バレル=70ドル台確立を打診する局面になっている。イラン産原油の供給減少圧力が本格化する中、需給ひっ迫リスクが価格に反映され始めている。米政府は11月4日までにイラン産原油・石油製品に対する制裁猶予期間を終了させる。イランにおける原油生産のみならず、タンカーによる輸送、保険契約、取引の銀行決済など、あらゆる関連分野が制裁対象になる。

前回の経済制裁時には、必ずしもイラン産原油の完全な取引停止は求められなかった。取引量を縮小する方向性を示すことができれば、米政府がイラン産原油の取引国に対して経済制裁を乱発するような事態は回避されていた。しかし今回は、トランプ米大統領があくまでもイラン産原油取引をゼロにすることを強く求めており、マーケットの想定よりも早いペースでイラン産原油の取引規模は縮小している。まだ詳細な数値は明らかになっていないが、5~8月にかけてイランの産油量統計は明確に下振れしており、米系メディアでは9月中にイラン産原油の取引はその三分の一が停止するといった報道が行われている。韓国は8月中にイラン産原油の取引をほぼ停止し、日本も10月にはイラン産原油取引を終える見通しになっている。中国やインドなどはイラン産原油の取引継続方針を示しているが、イラン産原油取引にかかわると当該企業も米国の制裁対象になるため、少なくとも従来のような取引量を確保し続けることは難しい。早ければ9月中にも日量100万バレル規模のイラン産原油が市場から排除されることになる。

マーケットでは、石油輸出国機構(OPEC)の他加盟国や米国のシェールオイルが増産されることで、大きな問題は生じないといった楽観的な見方も存在している。しかし、OPECは既に増産能力の殆どを使い果たしており、大規模な増産を実施するのは難しい状況にある。ここで無理に増産を行うと、増産余力がゼロに近づくことが逆に原油価格の急騰を招きかねない。一方、米国のシェールオイルは増産傾向が一服している。米産油量は日量1100万バレル前後での横這い状態が3カ月以上にわたって続いており、石油リグ稼働数の増加も止まっている。主要生産地であるパーミアン地区などの生産効率が低下する中、シェールオイル企業が現行価格での増産加速に慎重姿勢を強めている。

既にイラン産原油の供給が落ち込むことは規定路線化する一方、その供給減をカバーする代替供給先が見つからない状況に陥りつつある。もちろん、原油価格が上昇すれば現時点では想定されていない追加供給が行われる可能性はある。マーケットでもカナダやブラジル、中国などのタイトオイル生産が鍵を握るとの見方が強い。特にブラジルなどの深海油田はここにきて開発計画が増えており、注目度が高まっている。しかし、イラン産原油が日量100万バレル規模で喪失され、しかもベネズエラやリビアなどでも供給不安を抱える中、年末に向けて需給不安定化がエスカレートするリスクは着実に高まっている。
(2018/09/12執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年9月17日「私の相場観」

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(セミナー告知)【TSR上場記念セミナー】 勝つトレーダーになるために必要なこと

東京商品取引所が主催するイベントです。「コモディティ・フェスティバル 2018」のスピンオフで、ゴム相場に限定したセミナーを行います。私は「ゴム取引の基礎知識と需給&アノマリー」を担当致します。

◆2018/10/06(土)13:30~16:00 東京

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。仮想通貨、為替、株価指数などもカバーしています。

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