小菅努の商品アナリスト日記

金、プラチナ、原油、天然ゴム、穀物、農産物などのコモディティ市場をメインに、為替、株価指数などもカバーしています。

金融機関、商社、事業法人、ベンダー様向けにマーケット分析情報の配信業務を行っています。コモディティ市場のレポート配信サービス(法人向け)、寄稿・講演のご依頼などは、下記E-Mailまでお問合せ下さい。

マーケットエッジ株式会社 https://www.marketedge.co.jp/
E-mail  kosuge.tsutomu@outlook.com

ベネズエラ産原油の二次調査と自主申告

石油輸出国機構(OPEC)の4月月報が公表されましたが、ベネズエラ産原油の数値が興味深いものになっています。OPECは「二次調査」と「自主申告」の二つの数値を発表していますが、その二つの数値が大きく異なっています。二次調査だと前月から日量28.9万バレル減の73.2万バレルですが、自主申告だと47.2万バレル減の96.0万バレルです。

からくりは単純であり、ベネズエラが昨年以降の減産が行われている事実をなかなか認めずに、高めの産油水準を公表していた反動です。まだ、自主申告と二次調査の数値には22.8万バレルのかい離がありますが、これは他のOPEC加盟国にはみられない異常さです。

ベネズエラとしては産油量が減少していることを認めたくないのでしょうが、米政府の経済制裁が本格化する中、一気に現実の数値に近付ける修正を行った模様です。ただ、ニュースとしては「ベネズエラの産油量が日量50万バレル近く減少した」と報じられてしまうため、マーケットインパクトは必要以上に大きくなってしまいます。二次調査でもついに100万バレルの大台を割り込んでいますが、自主申告の数値修正のタイミングの悪さが、原油価格の押し上げ要因として機能しています。


無題





























(画像出所)OPEC


【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

******************************************

マーケットエッジ(株)では、コモディティ市場と金融市場のレポート配信の他、講演のご依頼も承っています。まずはご相談下さい。

【お問合せ先】
マーケットエッジ株式会社 https://www.marketedge.co.jp/
E-mail  kosuge.tsutomu@outlook.com 


ベネズエラ中銀が金準備を売却か?


The government source said the central bank’s reserves had fallen by 30 tonnes since the start of the year before U.S. President Donald Trump tightened sanctions, leaving the bank with around 100 tonnes in its vaults, worth more than $4 billion.

At that rate of decline, the central bank’s reserves would nearly disappear by the end of the year, leaving Maduro’s government struggling to pay for imports of basic goods.

出典:Reuters

ベネズエラ中央銀行が金準備8トン、年初からだと30トンを売却したとの政府筋の発言が報告されています。2月にもこれ同様の動きが報告されていましたが、米政府の経済制裁で原油輸出などの外貨獲得手段が乏しくなる中、金準備の売却によって外貨を獲得しようとしている模様です。

米政府はこうした動きに神経を尖らせており、2月にはボルトン大統領補佐官がベネズエラ国民から「盗まれた」金は宝石などの売買に携わらないようにトレーダーに警告していました。その際は、米国からの圧力を受けて、中東の取引会社がベネズエラ中銀の金取引から手を引きました。しかし、金は匿名性の高い資産であり、どうやら売却に成功している模様です。

ベネズエラ経済の崩壊が最終段階に差し掛かっていることが確認できると同時に、金の安全資産性が再確認できるイベントでもあります。ベネズエラでさえ、金を売却すれば外貨の獲得には困らないのです。独裁者であるほどに、持つべき安全資産は金ですね。

Quarterly official gold reserves














(画像出所)WGC

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

******************************************

マーケットエッジ(株)では、コモディティ市場と金融市場のレポート配信の他、講演のご依頼も承っています。まずはご相談下さい。

【お問合せ先】
マーケットエッジ株式会社 https://www.marketedge.co.jp/
E-mail  kosuge.tsutomu@outlook.com 




リビア内戦化に怯える原油市場、それでも深刻な供給不足は起きない

リビア内戦化に怯える原油市場、それでも深刻な供給不足は起きない

 東部を拠点とする軍事組織と暫定政権の戦闘が激化しているリビア情勢を受けて、国際原油価格が騰勢を強めている。リビアは石油輸出国機構(OPEC)にも加盟している北アフリカの主要産油国であり、このままリビアが本格的な内戦に陥れば、2010~12年の「アラブの春」がリビアにも波及した際と同様に、同国からの原油供給出が一気に落ち込む可能性を抱えているためだ。

 OPECによると、3月時点のリビアの産油量は日量109.8万バレルとOPEC全体の3.7%を占めており、今後のリビア情勢によっては、国際原油供給環境が一変する可能性がある。特に、現在は米政府がイランとベネズエラに対する経済制裁強化の動きを見せているだけに、世界各地で同時多発的な減産圧力が発生するリスクに、国際原油市場は緊張感を高めている。

 国際指標となるNYMEX原油先物相場は、昨年12月24日の1バレル=42.36ドルをボトムに、既に60ドル台中盤まで値上がりしているが、これは昨年11月1日以来の高値更新となる。昨年10月の70ドル台中盤からは大きく値下がりした状態に変化はないが、約3ヵ月半で50%を超える値上りは、ガソリン価格はもちろん世界経済に対するインパクトも大きなものになる。

 一方で、これから国際原油市場が深刻な供給不足状態に陥り、原油価格が本格的に高騰するとみている向きは少ない。例えば、米金融大手のゴールドマン・サックスは2019年のWTI原油価格予想を従来の55.50ドルから59.50ドルまで引き上げたものの、今夏以降には原油価格が再び弱含むとの慎重な見方を示している。

 背景の一つが、OPECやロシアなどが大量の増産余力を有していることがある。OPECやロシアなどは現在、1~6月期に日量120万バレルの協調減産を実施することで合意しており、シェールオイル増産や世界経済の減速で緩んだ国際原油需給を正常化させるため、大規模な減産対応を行っている。しかも、実際には合意以上の大規模な減産が実施されており、OPECのみでも200万バレル規模の減産が行われている。これは、いざとなれば増産対応に踏み切る余地が多く存在することを意味し、国際エネルギー機関(IEA)も供給障害に対して「保険」があると指摘している。

 つまり、OPECやロシアが減産を取りやめる、ないしは縮小する決断を下すだけで、例えリビアが内戦化して同国からの原油供給が途絶える最悪の事態になっても、対応は可能な状態にある。

 もちろん、OPECやロシアなどの産油国にとって、原油高は望ましい現象である。原油価格は高ければ高いほどに好ましいという面があることは間違いない。一方で、従来と異なるのはシェールオイルの存在であり、過度に原油価格を押し上げてシェールオイル増産ペースが加速すると、漸く安定化し始めた国際原油需給環境が再び大きく供給過剰に触れてしまう可能性がある。

 実際に、ロシアのプーチン大統領はコントロール不能な原油高は望んでいないとして、早くも年後半の協調減産体制見直しの可能性を示唆している。原油高が加速すれば、OPECやロシアはシェールオイル増産の脅威に再び直面することになるが、少なくともロシアは適度な原油高に留めることで、伝統的産油国とシェールオイル産業が共存できる環境が望ましいと考えている。

 現在のOPECやロシアは、過度の原油安と同様に過度の原油高も望んでおらず、原油高を鎮静化させるための政策調整が行われる可能性が高まっている。OPECやロシアがいつ、「これ以上の原油高は危険」との評価を固めるのかを打診しているのが現在の国際原油相場である。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)リビア内戦化に怯える原油市場、それでも深刻な供給不足は起きない(Yahoo!ニュース)

******************************************

マーケットエッジ(株)では、コモディティ市場と金融市場のレポート配信の他、講演のご依頼も承っています。まずはご相談下さい。

【お問合せ先】
マーケットエッジ株式会社 https://www.marketedge.co.jp/
E-mail  kosuge.tsutomu@outlook.com 

記事検索
 
sponsored link
QRコード
QRコード
プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

【URL】
マーケットエッジ株式会社

【E-mail】
kosuge.tsutomu@outlook.com

【SNS】
Twitter

【連絡先】
E-mailでお願い致します。相場動向に関する質問への個別対応は行っていませんのでご了承下さい。
小菅努のコモディティ分析
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」

会員制の有料メルマガです。コモディティの基礎知識から専門的な分析まで提供しています。1,944円/月、週2回以上の発行です。

詳細や購読のお申し込み方法は
http://foomii.com/00025
をご覧下さい。
アナリストの視点
Yahoo!ニュース コモディティアナリストの視点

Yahoo!ニュースに不定期で寄稿しています。

過去のレポートはこちら をご覧下さい。
sponsored link
Twitter
amazon.co.jp