小菅努の商品アナリスト日記

金、プラチナ、原油、天然ゴム、農産物などのコモディティ市場を中心に、仮想通貨、為替、株価指数なども幅広くカバーしています。

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ラジオNIKKEI「マーケット・トレンド」(8月22日)

ラジオNIKKEI「マーケット・トレンド」(18:00~18:15)にゲスト出演しました。
イラン情勢の現状、見通しを中心に原油市況についてお話しました。

宜しければオンデマンド(※配信は放送から数日間のみです)でお聴き下さい。
8月22日(水)放映分になります。

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 【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

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コスト割れでも買えないプラチナの論理

◎〔アナリストの目〕コスト割れでも買えないプラチナの論理

内外のプラチナ相場が急落している。円建てでは2009年1月以来、ドル建てでは08年10月以来の安値を記録しており、世界同時金融危機という異常時に形成された価格水準が約10年ぶりに再現されている。

短期の視点であれば「通商リスクと新興国リスクに伴う非鉄金属相場の急落」と「ドル高に伴う金相場の急落」という二つのロジックでほぼ説明がつく。7月初めから8月17日までのドル建て相場の相関係数(マイナス1〜プラス1の間で相関を示す)を計算すると、金とプラチナがプラス0.85、銅とプラチナがプラス0.76、金と銅がプラス0.82となっている。すなわち現在の相場環境は、金とプラチナと銅がほぼ同じ価格トレンドを形成している状態にあり、必ずしもプラチナ相場の独自材料が材料視されて急落しているわけではない。

プラチナ相場の急落局面においては、生産コストの視点に基づく下げ過ぎや割安といった議論が活発化するのが恒例行事になっている。確かに、貴金属調査会社GFMSの推計だと、17年の世界のプラチナ生産コストは925ドル、南アフリカでは979ドルであり、800ドル台を割り込むような価格水準が許容できる余地はほとんど存在していない。しかし、コスト割れの議論は14年後半の急落局面から既に4年以上にわたって展開され続けているものであり、コスト割れでプラチナ相場が底入れするとの専門家の予想が外れるのは、もはや恒例行事になった感すらある。

この辺の議論については1)ディーゼル車市場に対する悲観的な報道2)電気自動車(EV)普及への警戒感3)パラジウム価格高騰に伴う減産対応の遅れ4)地上在庫の還流による需給タイト化圧力の抑制5)価格連動性の強い金相場のダウントレンド―など、幾つかのロジックが指摘されている。いずれも重要な論点になるが、供給不足状態がつくり出されても相場が全く反応しないことから「地上在庫の存在」と「金相場急落」の二つが特に重要だと考えられる。

14年に南アフリカでは過去最大規模のストライキが発生したが、それがなぜプラチナ相場の急伸を促さなかったのかは、地上在庫の存在でほぼ理解されている。すなわち、鉱山部門からの供給が大幅に縮小したことで、地上在庫がバッファ(緩衝材)としての役割を果たしたのだ。マーケットでは、早ければ15年中にも地上在庫の還流は鈍化し、プラチナ相場は上昇に転じるとの予想も有力だったが、その後の展開を見る限りは、マーケットの想定を大きく上回る地上在庫の存在が確実視される。

では一体どれだけの地上在庫が存在するのか。それは各種調査によって数値が大きく異なる。このため、当面は供給不足状態で地上在庫の圧縮を進め、供給不足が素直にプラチナ相場を押し上げる相場環境への移行を打診する局面が続くことになろう。その意味では、インパラ・プラチナが8月2日に大規模なリストラ策を発表したことは、プラチナ相場の底入れ時期を加速させる可能性がある。ただ、マーケットの反応を見る限りは、プラチナ相場の底入れのためには、さらに同様の動きを繰り返していく必要がありそうだ。

◇瞬間的に700ドル台割れも

需給以外の視点で重要なのが金相場の動向である。金相場とプラチナ相場との間には、短期と中長期どちらにも強い連動性が認められており、金価格の底入れが確認できるまでは、プラチナ相場は下値不安を抱え続けることになる。

現行価格が割安であることは間違いない。実際に7月以降はプラチナ上場投資信託(ETF)購入の動きが報告されており、長期マネーがプラチナ市場に流入している可能性がある。定期市場では、実需筋が買いポジションの拡大と売りポジションの縮小を進めていることも重要である。また、通商リスクや新興国リスクの軽減が実現すれば、非鉄金属や金相場と連動して自律反発的な動きが実現する可能性もあろう。ただ、プラチナ相場安の本質は膨大な地上在庫の存在と金相場低迷の二つにあり、これらの問題が解決されるまではコスト割れでも底打ちは先送りされることになる。

必ずしも既にコスト割れが決定的になった現行価格から、さらに大きく値下がりする必要はないが、安値低迷状態を維持することは必要不可欠であり、その過程において瞬間的に700ドル台を割り込むような展開は想定しておきたい。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(2018/08/20執筆)
(出所)時事通信社「アナリストの目」2018/08/21

イラン経済制裁がスタート

イラン経済制裁がスタート
原油価格は再び高騰する

NY原油相場は7月3日に一時75.27ドルまで上昇するも、7月下旬以降は60ドル台中盤から後半をコアとしたボックス相場に留まっている。依然として高値圏での取引ではあるが、急伸地合は一服しており、概ね6月下旬の価格水準に回帰している。

背景にあるのは、1)リビアなど短期供給トラブルの解消、2)石油輸出国機構(OPEC)やロシアの増産対応、3)通商リスクと新興国リスクに伴う需要減退懸念などを受けて、国際原油需給のひっ迫化に対する警戒感が後退していることである。これまで積極的に買い進んできた投機筋が利益確定に動いており急騰相場に対する反動圧力が強くなっている。
 マーケットの関心は、これで原油相場がピークアウトしたか否かであるが、まだ上昇リスクを残した相場とみるべきだろう。象徴的だったのが、国際エネルギー機関(IEA)が公表した8月月報であり、そこでは今後の国際原油需給について現在よりも安定性を大きく損なった状態になるとの警戒感が示されている。すなわち、現状は一時的な需給バランスの鎮静化状態に過ぎず、今後は改めてタイトな需給環境に回帰するとの見方になる。

マーケットで最も注目されているのが、イラン情勢である。8月7日に米政府によるイラン経済制裁の一部が再開され、11月5日には原油・石油製品の生産・輸送・決済などの幅広い分野にも経済制裁が行われることが予定されている。イラン産原油供給がどの程度まで落ち込むのかは議論が割れているが、マーケットでは日量100万バレル規模の供給減少リスクまで想定されている。一方で、OPECやロシアなどの増産余力は限られており、現行価格水準ではシェールオイルの増産ペースが加速することもない。これから需給バランスの帳尻をどのように合わせるのか、ぎりぎりの調整が行われる状況が続く中、原油相場は大きな上振れリスクを抱えている。

仮に米国の経済制裁が想定以上の効果を発揮し、イラン経済が崩壊状態に近づくと、イランはホルムズ海峡封鎖といった強硬姿勢に打って出る可能性がある。ホルムズ海峡は日量1900万バレルの原油・石油製品が通過するいわゆる「チョーク・ポイント」であり、ホルムズ海峡封鎖を現時点で前提にする必要はないものの、必ずしも無視できないリスクとしては認識しておく必要がある。

単純に米原油在庫とNY原油相場との相関から考えても、4億バレルの大台割れ目前に迫った現在の在庫水準からは、70~75ドル水準の原油価格は十分に正当化できる。60ドル台後半の値位置は束の間の休息状態で実現した割安な価格水準であり、改めて需給タイト化圧力を背景に70ドル台確立に向かう方向性でみておきたい。一気に80ドル台にトライする環境にもないが、冬の需要期まで60ドル台後半で低迷状態が続く可能性は低いとみている。現行価格水準での物色妙味は大きい。
(2018/08/15執筆)

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)中部経済新聞2018年8月20日「私の相場観」

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IEA8月月報は強気派を支持しています

国際エネルギー機関(IEA)の8月月報が公表されました。マーケットでは貿易戦争化で石油需要に対して悲観的な見方が広がりを見せていますが、IEAは強気の需要見通しを支持しました。2018年は前年比で日量140万バレルと前月から横ばい、19年については10万バレル上方修正の150万バレルとしています。貿易戦争の展開状況を不確実性として指摘していますが、現時点では需要見通しの下方修正は要求されていません。

一方、足元では短期供給懸念の緩和が原油相場を圧迫していますが、IEAは「the market outlook could be far less calm at that point than it is today.(現時点よりマーケットの見通しは安定してない)」として、改めて供給懸念が強まる可能性を指摘しています。今後はイランに対する米国の経済制裁が本格化し、更には産油国の生産余力は限定されています。こうした中で、安定した供給環境を想定するのは難しいとのロジックです。

The recent cooling down of the market, with short term supply tensions easing, currently lower prices, and lower demand growth might not last. When we publish our next report in mid-September, we will be only six weeks away from the US's deadline for Iran's customers to cease oil purchases. As oil sanctions against Iran take effect, perhaps in combination with production problems elsewhere, maintaining global supply might be very challenging and would come at the expense of maintaining an adequate spare capacity cushion. Thus, the market outlook could be far less calm at that point than it is today.

強気の需要見通し、そして不安定な供給見通しを確認する内容と言えます。なお、経済協力開発機構(OECD)の商業在庫は6月に720万バレル減少して28億2,300万バレルになりました。5年平均は3,200万バレル下回っています。

【OCED商業在庫】
無題











(出所)IEA

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H29年度の食料自給率は38%、前年度から横這い

農林水産省によると、平成29年度の食料自給率は、カロリーベースで38%になりました。前年度からは横這いですが、過去2番目の低水準になります。小麦の増産が実現しましたが、穀物全体に占める米の比率低下、食肉需要増加に伴う輸入肉の増加などの影響が指摘されています。

農林水産省=日本の食料自給率

食料自給率をカロリーベースで計算することには否定的な見方もありますが、生産額ベースでも前年度の67%に対して65%であり、厳しい状況に変化はありません。もちろん、いざとなれば穀物生産比率を引き上げ、食肉生産を取りやめれば自給率の大幅な向上も可能ですが、政府目標45%を達成する目途が立っていません。
無題












(出所)農林水産省

この問題を解決する手法は二つあり、一つが国内の食料生産量を引き上げることです。農振水産省は国も別に生産目標を設定していますが、29年度に目標を達成しているのは米とてん菜、鶏肉、鶏卵くらいです。

一方、需要サイドでは国内市場の開拓と輸出拡大があります。

無題















(出所)農林水産省

全国民が、毎日、ごはんを一口(17グラム)多く食べるだけで食料自給率が1%上昇します。糖質制限ダイエットに逆行するものですが、意識して国産の食料を消費したいものです。


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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。仮想通貨、為替、株価指数などもカバーしています。

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