小菅努の商品アナリスト日記

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対イラン制裁でも大きな混乱はないとみたトランプ政権

No more waivers: The United States will try to force Iranian oil exports to zero
On Monday morning, Secretary of State Mike Pompeo will announce to the media that, as of May 2, the State Department will no longer grant sanctions waivers to any country that is currently importing Iranian crude or condensate, two State Department officials told me. Last November, the State Department issued 180-day waivers to eight countries to give them more time to find alternative sources of oil. Now, their time is running out.

米紙ワシントン・ポストは、米政府が対イラン経済制裁の猶予措置の延長を行わない方針を固めたと報じています。昨年11月には、原油需給・価格へのショックを警戒して最大180日間の猶予措置を導入しましたが、原油需給・価格の安定化が進む中、今回は完全制裁が可能との判断です。

石油輸出国機構(OPEC)などが減産によって、大量の増産余力を抱えていることで、今が制裁強化の好機と捉えている模様です。当然に原油価格にとってはポジティブな動きですが、あくまでもOPECやロシアが増産対応を実施するまでの期間限定の上昇圧力との評価に留まります。ドライブシーズンにガソリン価格が高騰し、米国内でトランプ政権批判が高まるような事態は想定していないのでしょう。

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対イラン制裁強化のジレンマ

アメリカ政府は昨年11月5日に対イラン経済制裁を発動しましたが、その際は余りに原油市場に対する影響が大きいとして180日間の例外認定を日本や韓国など一部の国に対して行いました。この180日の期限は5月に訪れることになり、トランプ政権は難しい判断を迫られることになります。

2020年の大統領選に向けて対イランの強硬姿勢を打ち出そうと思えば、例外認定の延長を行わず、一気にイラン産原油に対する締め付けを強化すれば良いだけです。実際に3月時点ではこの方向性で調整が進んでいましたが、ベネズエラに対しても正解を強化する必要性が高まり、しかも、リビアでも供給不安が高まる中、対イラン制裁の強化は原油需給・価格に対して必要以上に大きなインパクトを与えかねない状況になっています。このため、原油高による景気減速リスクを警戒するトランプ大統領としては、どのような判断を下すべきなのか、ジレンマに陥っていることでしょう。

NYMEX原油先物が期近限月にプレミアムを加算しているのは、将来的な供給不足リスクに対する警戒感を反映しています。例外認定の延長の有無を判断するために残された検討期間は2週間だけです。ちょうど日本はゴールデン・ウィークを迎えるタイミングですが、イラン産原油の行方が決まる重要な時間帯になります。

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GWのガソリン価格は5年ぶりの高値

 4月27日から5月6日まで、今年のゴールデン・ウィーク(以下、GW)は10連休になる。異例の長さとなる大型連休とあって、自動車を使った旅行やレジャー、外出などの計画を立てている人も多いだろう。そこで気になるのがガソリン価格だが、今年のGW中のガソリン価格は5年ぶりの高値になり、家計にとっては少し負担感が強まる見通しだ。

 資源エネルギー庁の石油製品価格調査によると、直近の4月15日時点では1リットル=147.2円となっており、昨年の同じ時期の143.3円からは2.7%の値上がりになる。ここ最近で最も安かったのは2016年の116.3円だったが、GW中のガソリン価格と言う意味では、3年連続の値上がりがほぼ確実な情勢になっている。14年の164.2円以来の高値になる。

 昨年10月22日時点の160.0円と比較すると値下りはしているが、依然として高値での取引きになっている。特に2月中旬以降は9週連続で値上り中であり、昨年5月14日以来の高値を更新している。


■国際原油価格が依然として高い
 背景にあるのは原料である国際原油価格の高騰である。NY原油先物価格は昨年12月24日の1バレル=42.36ドルで底入れした後に反発局面に移行しており、4月9日には64.79ドルと昨年11月1日以来の高値を更新している。原油価格が安値から53%も値上がりしている以上、ガソリン価格の上昇は必然的である。

 世界経済の減速や米国のシェールオイル増産に対応するために石油輸出国機構(OPEC)やロシアなどが大規模な協調減産を実施していることに加えて、米政府がイランとベネズエラに対する経済制裁強化に動いていること、リビアで内戦化の危機が高まっていることなどが、国際原油価格を押し上げている。

 ここにきてOPECやロシアなどの間では、過度な需給ひっ迫化や原油高のリスクに対応するために増産対応の必要性を巡る協議も始まっているが、仮に増産が決まるとしても6月25~26日の産油国会合になる予定であり、当面の原油価格は高値水準を維持するとみられている。仮にリビアからの原油供給が停止するような状況になると、更に原油価格が高騰し、つれてガソリン相場も一段高になる可能性がある。

 国内のガソリン価格指標には東京商品取引所(TOCOM)のガソリン先物価格があるが、最も受け渡し時期が近い期近物と言われる価格だと、昨年12月26日に値下りが止まったのに対して、ガソリン小売価格の下げ止まりが今年1月21日になったように、概ね3~4週間程度のタイムラグが存在している。

 そして、そのガソリン先物価格は4月26日までの週も8週連続で値上り中であり、GW中のガソリン価格は現在よりも値上りすることはあっても大きく値下がりする可能性は低い。GW後も、ガソリン価格は緩やかな上昇傾向が続く可能性が高い。給油するのであれば、早めの方が良いだろう。


■秋の行楽シーズンまでには値下りか?
 原油市場関係者の間では、年後半にはいずれにしてもシェールオイルの増産が加速するため、原油価格は徐々に値下がりするとの見方が強い。OPECやロシアも市場シェアの低下を警戒して産油量を増やすことに意欲を示しており、年後半は増産対応が行われる可能性が高い。逆に大きな値崩れを想定している向きは少ないが、夏場にかけては高値圏での取引が続いた後、中東産油国とロシア、シェールオイルなど、新旧産油国が共存できる価格水準を模索する動きが、原油価格の上値を抑えるとみられている。

 ガソリン価格についても、年間の高値圏に近付いているとみて良いだろう。秋の行楽シーズンには、GWよりもガソリン価格は値下がりしている可能性が高い。ただ、10月1日には消費税の引き上げが行われる予定であり、140円台を大きく割り込むような可能性は低いだろう。

 一方、仮にイラン、ベネズエラ、リビアなどの原油供給が同時多発的に大きく落ち込む事態になると、昨年後半と同様に150~160円水準まで値上がりする可能性が高まることになる。特にイランとベネズエラ産原油の供給動向は、米国のトランプ政権がどこまで強い経済制裁を科すかに依存しており、ドライバー目線だとトランプ大統領の国際融和姿勢が期待されることになる。

【マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努】

(出所)GWのガソリン価格は5年ぶりの高値(Yahoo!ニュース)
    ※図表付き

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。為替、株価指数などもカバーしています。

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