小菅努の商品アナリスト日記

金、プラチナ、原油、天然ゴム、農産物などのコモディティ市場を中心に、仮想通貨、為替、株価指数なども幅広くカバーしています。

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GS=原油価格は上昇リスク抱える

米金融大手ゴールドマン・サックス・グループは、原油価格に対して依然として強気あることを明らかにしました。サウジアラビアやロシアなどの増産を前提にしても、今後数カ月の原油価格は強含みに推移し、年末にはブレント原油ベースで75ドルまでの上昇を見込んでいるとしています。

基本的には、タイトな需給見通しが維持されるというのが根拠です。サウジアラビアやロシアなどが年後半に日量100万バレルの増産を行うことが想定されていますが、ベネズエラやイランの減産によって実質的な増産幅は45万バレルに留まるとしています。一方、需要は前年比で175万バレル増とコンセンサスを大幅に上回る強気見通しになっており、少なくとも19年第2四半期までまタイトな状態が想定されています。

19年にはサウジアラビアやロシアなどが更に50万バレルの増産を行うことが想定されていますが、協調減産参加国全体でみると18年が30万バレル減、19年が10万バレル減と十分な増産ができず、需要拡大への対応が厳しい状態が続くとの予想になります。

シェールオイルは18年が130万バレル、19年が110万バレルの増産を想定していますが、パイプライン輸送の制約でこの辺が限界ラインになるとの保守的な予想です。

需要がかなり楽観的に過ぎる印象ですが、仮にサウジアラビアやロシアが増産で合意しても、イランやベネズエラなどの減産圧力を相殺して、更に産油水準を大きく引き上げるのが難しいというのは確かでしょう。JPモルガンなどの弱気見通しとは正反対の価格予想になりますが(参考:JPM=原油価格は今年、来年と下落する)、投資家マインドの改善効果が注目されます。
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通商リスクが高まる中での金相場急落を考える

米中通商リスクの高まりを背景に6月14日の取引では約1カ月ぶりの高値を更新していた金相場ですが、トランプ米大統領が対中制裁を発表した15日の取引では急落しました。「ドル高」が金相場の方向性を下向きにさせ、「ストップロスの誘発」が下げ幅を拡大させた格好です。

下は5分足ですが、1,300ドル割れでストップロスの第一弾、1,290ドル割れで第二弾が発動されました。1,300ドルよりも1,290ドル割れの際の出来高が多く、ここ最近のボックス下限である1,290ドルをストップロスに設定して打診買いを入れていた向きが多かったことが確認できます。

【COMEX金先物相場 15分足】
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(出所:CME)

こちらは日足です。5月中旬以降は1,300ドル絡みの展開が続いていましたが、1,290ドルが一応の下限になっています。1,300ドル割れはまだ許容範囲でしたが、1,290ドル割れで自動的に買いポジションをクローズする動きが広がった模様です。

【COMEX金先物相場 日足】
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(出所:CME)

以上が金相場急落の背景ですが、ではなぜ1,290ドルを割り込んだかといえば、ドル高でしょう。日米欧の金融政策会合が相次で開催されましたが、政策正常化への道筋を示したという意味では、ドルが一人勝ちでした。実際の所は、年4回利上げには疑問が残る状況ですが、欧州中央銀行(ECB)は資産購入は年内終了を確認したものの、現行の低金利政策は少なくとも来年夏までは維持することをフォワードガイダンスで示し、ユーロの強気派を失望させました。

ドルインデックスの年初来高値更新、金相場の年初来安値更新は、マーケットが安全資産性を巡る議論を活発化させていないことを示しています。象徴的なのが、金上場投資信託(ETF)市場がこの重要イベントに一切の反応を見せていないことです。米国債は安全資産として買われていますが、金市場は退避ニーズ、ヘッジニーズ、分散投資ニーズの受け皿になれていません。僅かなきっかけで流れが変わる可能性もある状況ですが、とりあえずは金ETF市場に資金流入が再開されるまでは、金価格は厳しい状態が続きます。

ここで注目されるのが18~20日のECB年次フォーラムになります。今月のECB理事会はユーロ安を促しましたが、昨年はこの年次フォーラムでのドラギ総裁の発言が強力なユーロ高トレンドを発生させ、ドル建て金相場の年初来高値を促しました。その当時に関しては北朝鮮の地政学リスクもありましたが、ECB理事会後のユーロ安を是正する動きがみられるか否か、昨年のユーロ高再現があるのかが注目される局面に移行することになります。

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日本橋日枝神社のかぶ守り

兜町の東京証券取引所近くに日本橋日枝神社が鎮座しています。稲荷大臣も境内の中に祭られています。日枝神社の摂社になりますが、日本橋は「証券の街」とあって、株にちなんだお守り「かぶ守り」がここだけで授与されています。株価が上がるように、自分の株が上がるようにとのご利益があるお守りです。2018年6月17日時点で初穂料は800円でした。日本橋、茅場町付近に来られることがありましたら、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。休日でも人が途絶えない人気スポットです。

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【小菅努】

バイオ燃料も環境にやさしくない、EUは規制強化へ

欧州連合(EU)の交渉担当者は、輸送用燃料としてのパーム油使用を2030年までに中止することで合意したことを明らかにしました。政治的な影響も大きいためにまだ難航が予想されますが、2023年までは19年の水準に抑制し、その後は30年までに中止する方向で調整が進みます。

Reuters=EU to phase out palm oil from transport fuel by 2030

EUは温室効果ガス排出量を30年までに1990年比で40%以上削減することを法律で規定していますが、その一環になります。一般的には、植物を使うバイオ燃料は環境にフレンドリーと認識されていますが、欧州委員会の「2015年調査」では、パーム油や大豆油は直接的な温室効果ガスの排出は抑制されますが、生産のための森林破壊、泥炭地の排水による農地整備などで、間接的に温室効果ガスを大量に排出していると結論づけています。

温暖化対策が化石燃料からバイオ燃焼にも広げないと温室効果ガス削減目標は達成できない程に厳しい状況と言えますが、成長が続いてきたバイオ燃料にとって初めてともいえる大きな逆風が吹いています。現時点では、環境への影響が最も大きいとされるパーム油と大豆油に限定された議論ですが、バイオ燃料の生産環境にまで政策担当者の視線が向かっていることは大きな変化です。

こうしたEUのパーム油輸入停止については、昨年10月に2021年以降にパーム油を域内のバイオ燃料計画から外す方針が固まっていたことで規定路線に沿った動きともいえますが、マレーシア、インドネシア、タイなどの農村部に与える影響も大きそうです。

かといって、コーヒーや天然ゴムに作替えしても、現状では収益環境の厳しさは変わらない見通しです。ここ数年は価格低迷を嫌った天然ゴムからパーム油への生産シフトの動きも報告されていましたが、東南アジアの農家にとっては何を生産するのがベストなのか、難しい判断が求められます。

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原油高を批判するトランプ大統領が、原油高の原因という批判

トランプ米大統領は4月に続いて、改めて原油高について石油輸出国機構(OPEC)を批判しています。前回よりも簡単に「石油は非常に高い。またOPECだ。良くない!」として、最近の原油価格軟化にも満足していないことを示しています。

これに対してイランのアルデビリOPEC理事は、「OPEC設立国の2つに制裁を科しながら、原油相場のボラティリティーについてOPECを非難することはできない」と反論しています。つまり、イランとベネズエラに対して米国が経済制裁を科していることが原油価格のボラティリティが高まっている理由なのに、OPECを批判するのはお門違いという訳です。

Reuters=Trump, Iran spar over oil prices ahead of OPEC meeting

アルデビリ理事の反論はトランプ大統領にとっては再反論が難しいものですが、だからこそトランプ大統領は(国際)政治的に増産プレッシャーを強めて原油高、高ボラティリティを抑制する必要性が高まっています。自らの施策による原油高とボラティティの高まりに危機感とまでは言えませんが不安を抱いているからこそ、異例の原油高批判、増産要請が行われているのでしょう。

そして経済制裁解除・緩和の選択肢がない以上、この不安・危機感を解消するには中東産油国に増産対応を促す以外の選択肢はありません。あとはOPECサイドがこうした米国の要望・圧力にどこまで応えるのかが焦点になります。6月22日のOPEC総会まで、残された時間は多くありません。

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(画像出所)OPEC

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プロフィール
小菅 努(こすげ つとむ)

1976年千葉県松戸市生まれ。筑波大学卒。商品先物・FX会社の営業本部、ニューヨーク事務所、調査部門責任者等を経て、現在はマーケットエッジ(株)代表取締役。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)。貴金属、金属、エネルギー、ゴム、農産物などの商品先物市場全般が主なカバー対象です。商社、事業法人、金融機関向けに分析レポートを配信しています。仮想通貨、為替、株価指数などもカバーしています。

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